トッテナム周辺で“単語の定義”をめぐる論争…『オックスフォード英語辞典』が火種に

2020年2月13日(木)11時3分 サッカーキング

ユダヤ系のサポーターをコア層に抱えるトッテナム [写真]=Getty Images

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 オックスフォード大学が出版し、イギリスで最も権威ある英語辞典の一つである『オックスフォード英語辞典(OED)』の最新版がサッカー界で物議を醸している。12日、イギリスメディア『BBC』が報じた。

 OEDは最新版で、本来は非ユダヤ人がユダヤ人を指す差別用語として用いていた『Yid』という単語に、次のような定義を追加した。

「トッテナムのサポーター、またはトッテナムの選手を指す」

 トッテナムはユダヤ系のサポーターを基盤としており、彼らは他クラブの反ユダヤ主義的なサポーター集団から軽蔑的な意図を持って『Yid』と呼ばれていた。一方で、トッテナムのサポーターも、自らや選手たちをあえて『Yid』や『Yiddo』と呼ぶことでアイデンティティを確立した。トッテナムが公式にこれらの「Yワード」を使用したことは一度もないが、ファンは非公式グッズやチャントを通じて用語を使用してきた。それを受け、トッテナムは一部のユダヤ人の人権団体などから用語の使用を止めるように要請されている。

 トッテナムの広報担当は、「私たちのファンは、(ユダヤ人・非ユダヤ人ともに)決して攻撃的な意図を持って『Yid』という言葉を使用したことがない」とコメントし、定義が攻撃的かどうかの文脈を区別できていないとOEDに不快感を示した。一方で、OED側は声明を通じて、定義は「言葉の使われ方」ではなく、「慣用法や発達の記録」を意味していると主張した。

 また、ユダヤ人の人権団体の一つは、「辞書には、反ユダヤ的あるいは攻撃的な言葉がそのように明記されていることを保証する特別の責任がある。『トッテナムを指す』といった表現を含めたいなら、卑劣な差別用語であることを十分に明確にしなければならない」と、強い口調でOEDの定義追加に難色を示した。

 加えて、ライバルクラブのサポーターも「OEDの定義が他クラブのサポーターが『Yワード』を使用することを容認するものなら、彼らはもはや人種差別主義者とは見なされなくなってしまうのではないか」とSNS上で疑問を投げかけたようだ。

 トッテナムは昨年12月、「Yワード」に関する調査結果を発表。2万3000以上の回答のうち、回答者のほぼ半数がチャントなどでの使用回数を減らすべきだとし、その94%が『Yid』がユダヤ人差別に当たると答えた。一方で、33%は「サッカーの中で」定期的に用語を使用していると答え、12%が日常的に利用していると答えていた。

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