トヨタのタナク「このラリーでは路面コンディションを正確に知ることは困難」/WRC第2戦スウェーデン 事前コメント

2019年2月14日(木)11時53分 AUTOSPORT web

 2月14〜17日に行われる2019年のWRC第2戦スウェーデンに向けて、参戦するドライバーたちが意気込みを語った。


 2019年のWRC第2戦となるラリー・スウェーデンはシリーズ唯一のフルスノーイベント。スウェーデンを中心に、隣国ノルウェーを含む北欧を舞台に争われる1戦だ。

シリーズ唯一のフルスノーイベントとして行われるラリー・スウェーデン


 競技は雪が積もるなかで行われるが、凍った路面をスタッドタイヤで走行すること、コース脇の雪だまりにマシンを寄りかからせることでコーナリングスピードを稼げることなどから、シリーズ屈指のハイスピードバトルが展開する1戦でもある。


 また、今年は競技3日目の16日(土)に組み込まれた“ヴァルゴセン”は、かつてコリン・マクレーが大ジャンプを演じたコリンズクレストが含まれるステージ。2016年には45メートルの跳躍距離が記録されており、サーキットレースでは見られない迫力あるシーンも展開される。


 このラリー・スウェーデンのもととなるイベントが初開催されたのは1950年。当時は『ラリー・トゥ・ザ・ミッドナイトサン』の名称で行われ、開催時期も夏季だった。現在の冬季開催に移行したのは1965年からだ。


 フルスノーイベントで他大会とは異なる特徴を持っていることもあり、これまでのウイナーはスカンジナビア半島出身のドライバーがほとんど。北欧圏外出身のウイナーはセバスチャン・ローブとセバスチャン・オジエ、ティエリー・ヌービルの3名だけだ。


 2019年大会のルートは一部ステージでフィニッシュ地点が変更されているが、昨年大会とほぼ同じ構成で争われる。全19SSの合計距離は316.8km、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は1460.59kmとなっている。


 大会が行われるスウェーデン近郊はここ数日、日中の最高気温が4〜5度まで上がったため、ドライバーからは積もった雪や凍結路面の融解について懸念の声も出ていたが、大会側は2月12日、Facebookに「(SSに組み込まれる)リケナスなどは朝の気温がマイナス17度だった」と投稿。一度溶けた雪が凍ることで、よりしっかりした路面ができあがるとしている。


 最上位クラスを争う4チームは、シトロエンを除く3チームが3台体制で参戦。Mスポーツ・フォードはポンタス・ティデマンドに3台目のフィエスタWRCを託す。ヒュンダイは第1戦と同じくヌービル、アンドレアス・ミケルセン、ローブの布陣だ。

4台目のトヨタ・ヤリスWRCをドライブするマーカス・グロンホルム


 プライベーターとしては、元WRCチャンピオンのマーカス・グロンホルムがトヨタ・ヤリスWRCで参戦。シリーズに4台目のヤリスWRCが参戦するのは今回が初めてだ。プライベーターのロレンツォ・ベルテリもフィエスタWRCでエントリーしている。


 下位クラスでメーカーが争うWRC2プロにはマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 R5)やカリ・ロバンペッラ(シュコダ・ファビアR5)が参戦。プライベーターが争うWRC2には前年ウイナーの勝田貴元(フォード・フィエスタR5)が名を連ねている。




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■トヨタ


●オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)


「スウェーデンに向けて充分な準備ができていると思うけど、このラリーでは週末を通してどのような路面コンディションとなるのかを正確に知ることは困難だ」


「昨年は多くの降雪があり、路肩には大きな雪壁ができるなど典型的なウインターラリーのコンディションだった。しかし、新雪によってタイヤのグリップが充分に得られず、早い出走順だった我々にとっては厳しい状況だったんだ」


「今年はトップ争いができることを期待している。スウェーデンのステージは流れるように高速で、もし条件が合えば本当に楽しめるラリーだし、我々のクルマもきっと力を存分に発揮できるだろう」


●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)


この第2戦スウェーデンでWRC最多出場数を更新するヤリ-マティ・ラトバラ

「今年のラリー・スウェーデンは私にとって特別な意味を持つ1戦となる。かつて私は2008年のスウェーデンでWRC史上最年少優勝ドライバーとなり、それから11年後の今年はもっとも経験豊かなWRCドライバーとなるんだ」


「今、フィンランドでは充分な積雪があるから、ラリー・スウェーデンでも同様のコンディションとなることを願っている。もしそうなれば、素晴らしいウインターラリーとなるだろうね」


「2017年にヤリスWRCで初優勝した時のように、優勝争いをできることを期待しているよ。ただし、そのためにはモンテカルロでは完全には得られなかった、良いフィーリングをつかむ必要がある」

魚釣りを楽しむヤリ-マティ・ラトバラ


●クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)


「開幕戦のモンテカルロは私にとってポジティブなスタートとなったが、当面の目標は変わらない。クルマについて学び、そしてドライビングを楽しむこと。それが、開幕戦から続くそれぞれ大きくタイプが大きく異なる3つのラリーを戦う上での私の目標だ」


「この前、スウェーデンに向けての充実したテストを、フィンランドで3日間行なった。雪道用のセットアップで初めての走行だったけど、それは素晴らしい経験だったよ」


「とても良いフィーリングが得られたけど、ラリー本番では気温の変化によってコンディションが大きく変わることを忘れてはならない。できれば、安定した良いコンディションで、皆が楽しめるようなラリーになることを願っているよ」

トヨタ・ヤリスWRC


■ヒュンダイ・モータースポーツ


●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)


「(第1戦)モンテカルロは僕たちのポテンシャルを示すような形で終えられた。またスウェーデンでマシンに戻るのが待ちきれないよ」


「過去にもこのイベントでは良い結果を出してきた。去年の優勝も含めて、ここ数年はスウェーデンで高い競争力を発揮してきたんだ。クルーとしても楽しめるラリーだよ」


「僕たちのマシンはいつも調子が良く、地面が凍っているステージでも速いタイムを記録できているし、雪だまりを利用して限界までプッシュできた」


「ライバルたちが強力だということは分かっている。彼らはどのラリーでも強敵だろう。だから僕たちは自分自身に集中し、できる限り最高の仕事をしなければならない」


●アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)


「ラリー・スウェーデンは(出身の)ノルウェーが行程に含まれるから、僕たちにとってはシーズンのハイライトとも言えるイベントだ。ホームイベントのような気分になるよ」


「イベント自体は凍結した路面の上に雪が積もった状態で争われる。そんなシチュエーションをスタッドタイヤで走ると特別なフィーリングを味わえるんだ。まるで浮いているかのような感覚さ」


「モンテカルロではリタイアすることになってがっかりしたけれど、良いリズムをつかめていたし、シーズンを通して優勝争いができ自信を持てた」


●セバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)


「ヒュンダイとの初仕事として、ラリー・モンテカルロは着実なスタートとなった。特に私たちは事前テストの時間に限りがあったことを考えればなおさらだ」


「モンテカルロでは週末を通して表彰台を争う戦いができたし、そこから積み重ねていく用意はできている」


「ラリー・スウェーデンはまったく異なる挑戦になる。もし完全に氷に包まれた良いコンディションで太陽が出ていれば、シーズンでももっともエキサイティングなラリーになるだろう」


「だけど、雨が降って雪が溶けたら非常に難しくなる。当然ながら良いコンディションになることを期待しているよ」

サービスパークでは各チームの準備が進んでいる


■Mスポーツ・フォード


●エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)


「シーズン中唯一のフルスノーイベントだから、ラリー・スウェーデンは本当に特殊なんだ。事前に行ったテストはいい形で終えられたし、雪上を走る感覚を取り戻すために重要な機会になった」


「(ラリー・スウェーデンでは)信じられないような速さで走ることができるし、フィーリングも最高だった。コンディションに恵まれれば、シーズンで一番楽しめるイベントになるんだよ」


「大会期間中、コンディションが僕たちの味方になることを願っているし、そうなったら、そのアドバンテージを最大限に活用することが重要になる。実際、どのようなコンディションとなるか様子を見なければならないけど、たくさんの雪に覆われたクラッシックなラリー・スウェーデンとなることを祈っているよ」


●テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)


「事前にフィンランドで200㎞以上の充分なテスト走行を行った。セットアップに多くの変更があったから、(テストで)前進していることを確認できたよ」


「僕たちがラリー・スウェーデンで競争力を発揮できるかどうかは、天候に左右されるところがある。(出走順が遅いことで)先に走るライバルたちがコースを“掃除”してくれた状況で走ることができ、タイムロスを最小限に抑えるチャンスがあるんだ」


「去年作成したペースノートをもとにラリーを戦うことになるから、モンテカルロと同じくらいタフな戦いになると予想している。誰もがトップポジションを求めているから、僕たちも確実にその争いへ加わるよう努力しなければならない」


●ポンタス・ティデマンド(フォード・フィエスタWRC)


「ラリー・スウェーデンは僕にとって1年のハイライトだよ。いつも楽しみにしているし、ホームイベントに挑む準備は万全だ。僕がこれまで経験してきたなかで最高のマシンで戦えることも大きな意味があるね」


「ハイスピードで森のなかを駆け抜けながら、ファンや焚き火、そしてスウェーデンの国旗が風になびいているのを見るのは、すべてに勝る最高の気分だよ」


「ラリー・スウェーデンは、いつもコンペティティブでトップパフォーマンスを発揮したいと願っているイベントなんだ。コンディションに左右され、チャレンジングなイベントであることは間違いないし、一歩前進した戦いができるように、すぐにリズムを掴まなくてはならないね」


■シトロエン・レーシング


●セバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)


「このラリーをいつも本当に楽しんでいるよ。ここでWRカーをドライブするのはとても良い気分なんだ。楽しみながら戦えるコンディションになることを願っている」


「ただ先頭走者として走ることが不利ということも分かっている。固く凍った地面の上に雪が積もっているせいでね。2回目の走行で路面の状態がどう変化するか様子を見る必要もある」


「氷の層が充分ではない可能性を恐れていて、すぐにグラベル(未舗装路)がむき出しになるかもしれないんだ」


●エサペッカ・ラッピ(シトロエンC3 WRC)


「事前テストを行ったときは、路面を覆う氷の層が薄くて、すぐに地面がむき出しになってしまった。そうなると2回目の走行ではスタッドタイヤの扱いに注意をしなくてはならなくなる」


「いずれにせよ、僕たちは出走順で有利な状況にある。ステージは高速で気に入っているし、テストも納得いくフィーリングだったよ。今回は運に恵まれて、ハードワークが報われることを期待している」

シトロエンC3 WRC


フォード・フィエスタWRC
大会のPRも兼ねてホッケーをプレイしたWRCドライバーたち


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