投手コーチを愕然とさせた14球 ブルペンで証明した大谷翔平の人知を超えた肉体「正直、肩の手術を受けたなんて信じられない」
2025年2月16日(日)16時0分 ココカラネクスト

ブルペンでの投球練習を終え、満足げな表情を浮かべる大谷。(C)Getty Images
わずか14球。それでも復活の兆しは見えた。
現地時間2月15日、米アリゾナ州グレンデールで行われている春季キャンプで、ドジャースの大谷翔平が、昨年11月の左肩手術後初では初のブルペン入り。オフから改善を図ってきたノーワインドアップフォームでの感覚を確かめながら力強いボールを投じた。
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投じたのは負担の少ない直球系のみで、球数も決して多くない。さらに記録された球速も最速94マイル(151.3キロ)と実践に向けてギアを高める必要はある。それでも23年9月に右肘を痛めて以来、懸命にリハビリを重ねてきた背番号17の投球は、誰もが待ち望む二刀流復活への大きな前進と言えた。
首脳陣も復活に大きな手ごたえを口にする。デーブ・ロバーツ監督をはじめとする50人近い球団スタッフとともに、大谷の一挙手一投足に熱視線を注いだマーク・プライアー投手コーチは、米スポーツ専門局『ESPN』の取材に「臨機応変に対応していく必要がある」と回答。その上で、熱心なリハビリに取り組んできた偉才のプロフェッショナルな姿勢を称えた。
「我々は昨年に彼がリハビリをしながらヒットを打とうとしたのを見た。素晴らしいのは、ショウヘイは自分の仕事のために本当に集中していて、自分のやることに本当に細心の注意を払っていること。彼は準備のために何が必要かをとてもよく伝えてくれる。だから、我々も機敏に行動し、適応していかなければならない」
投手だった現役時代にプライアーコーチは、複雑な故障を抱えた経験もある。肘や肩など投手にとって消耗品と言える箇所に痛みを覚えたことなど数限りない。そうした投手の苦悩を熟知するからこそ「正直に言うと、彼が11月に左肩の手術を受けたなんて信じられない。クレイジーだ」と目を丸くして語る。
「彼は全く何のちゅうちょもなく投げていた。もはや驚くようなことではないが、今の彼は本当に調子がいい。手術を受けた選手とは思えない驚きだ。痛めたのは投げる方の肩(左肩)ではないことは分かっているが、少なくとも肉眼では左肩の影響が出ているようにも見えない。あちこちに痛みがあるのは確かだが、全体的にはすごく調子がいい」
無論、課題は少なくない。ここから投球の質力を上げ、実践投球を行うなど、二刀流再開に向けた具体的なプランニングを練っていく必要がある。『ESPN』によれば、5月中の本格復帰を模索しているというドジャースは、アメリカでの開幕を控える3月下旬にマイナーリーガーを相手にしたケース打撃での登板を画策。そこで複数回の試投を行わせる想定をしているという。
もっとも、大谷は打者としても調整をしなければならない。ゆえに通常のリハビリプランとは異なり、より細かく状態をチェックしていく必要がある。ゆえにプライアーコーチは「今はリズムやタイミングを模索している段階だと思う。ここから彼が100%の準備ができた段階で、何が起こるかは試合次第だ。肉体的、精神的、そして感情的に対処できる状態であることを確認する必要がある」と語っている。
人知を超えたパフォーマンスに期待は高まった。そんな大谷の一挙手一投足に興味は尽きない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]