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【試乗記】ポルシェ、「マカンGTS 」を買う時に「S」と「GTS」で迷うなら、ステイタスだけで「GTS」を選ばない方がよい :山田弘樹

日本版Autoblog2月17日(金)17時0分
画像:【試乗記】ポルシェ、「マカンGTS 」を買う時に「S」と「GTS」で迷うなら、ステイタスだけで「GTS」を選ばない方がよい :山田弘樹
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 世界的なSUVブームのなか、ポルシェが放ったミドルサイズの最適解が「マカン」。兄貴分であるカイエンに対して、後発の利を活かしたボディ剛性の高さや、ひとまわり小さなサイズが功を奏し、「SUV界のスポーツカー」と呼ばれるシャープなハンドリングと動力性能を備え、一躍爆発的な人気モデルとなっているのはご存じの通りだ。

 そして今回は、そのヒエラルキーにおいて、ターボ/ターボ パフォーマンスの下に位置する「マカンGTS」を試した。舞台はJAIA(日本自動車輸入組合)の合同試乗会、コースは西湘バイパスから箱根ターンパイクにかけての往復という王道パターンだ。



 そのベースとなるのはマカン「S」。フロントに搭載されるエンジンはターボ系(といってもみんなターボだけど)よりも608cc排気量が少ない2996ccのV型6気筒ツインターボ。その最高出力は「S」の340ps/460Nmから20ps/40Nm上乗せされた360ps/500Nmを発揮する。駆動方式はもちろん、FRベースの4WDだ。

 さてその印象はというと、ファーストコンタクトは「みっちり」。鍛え上げられたサスペンションがタイヤでグワッ!と路面をつかんでいる感触が、走り出しからすぐに感じられる。しかしそこで「ガッシリ」ではなく「みっちり」なのは、その乗り心地にカドがないから。路面のうねりを乗り越えたときや、レーンチェンジでハンドルを切り返したときに横方向の短い振幅が起こらない。その予兆めいた雰囲気はあるのだが、それが起きそうだな...と思う前に、サスペンションがイナーシャを吸収しきってしまうのだ。

 それはまずこのGTSが、21インチではなく20インチでタイヤを設定していることがひとつ。

そして足下にはエアサスを搭載していることがひとつ(車高が15mm低くなるスポーツシャシー搭載。さらにエアサスを装着すると、車高が10mm低くなる)。例えば兄貴分のカイエンGTSと比べると、GTSの全高は1610mmと、80mmも低いのである。

 カイエンもこうした低級な揺さぶられ感を上手に払拭しているのだが、縦長な分だけ重心移動は多いから、ロール量も多くしてこれに対処している。対してマカンGTSはより浅いロール角でも、慣性重量を受け止めきってしまうわけだ。

よってその乗り味は、「乗り心地はいいけれどみっちり」となる。



 真っ直ぐ走らせているだけでもそのステアリングにはタイヤからの高いグリップ感が伝わってくるし、電動パワステのフィールもドシッとしている。

 感心したのは路面の悪い西湘バイパスでも突き上げを見事に吸収しきっていて、しかしながらエアサス特有の浮遊感を感じさせないことだった。



 だから快適なクルージングを第一に望むならば、いくら"役付き"とはいえボクはGTSを勧めない。快適だけれど底知れぬド安定感。そう、ドイツ的マッスルカーの、ある種物々しい凄みを味わいたい人でなければ、GTSに乗る必要はないと思う。ただの「S」で十分だ。

 ではなぜGTSがこんなセッティングを採っているのか? 言うまでもないことだがそれは、超高速域を補填するためである。いやむしろ、超高速領域こそがこのクルマの生息域と言えるだろう。

 そのハンドリングは"素マカン"や「S」が見せるような、弱オーバーステア傾向の切れ味ではない。トルクベクタリング(PTV Plus)の制御も変えているのだろうか? リアをどっしりと落ち着かせた弱アンダーステアで、狙ったラインをうまくトレースするタイプだ。



 恐れ入ったのは真っ直ぐを走るときと同じで、コーナーでの路面のうねりに対して、バウンシングが最小限に抑えられていること。そしてステアリングを切り込んだまま継ぎ目を乗り越えても、ステアリングのラックや取り付け部が不快に動く素振りもない。

 ダブルウィッシュボーンサスペンションが横力に対してしっかり剛性を確保している。PASMダンパーも高速側での減衰力を素早く立ち上げる。そして何より、ここでエアサスが路面追従性に高い効果を発揮している。パナメーラでも感じたことだが、ポルシェのエアサス技術は、果敢な走りにおいてもドライバビリティを発揮してくれるのである。



またブレーキはターボ用のユニットを搭載していることもあり、制動Gが強烈というほどではないが、1940kgのボディをきちんと減速させてくれる。

 だからその乗り味は、完全なるシャシーファースター。もちろんそのスピードに魅力がないわけではないけれど、俄然面白さは、シャシー性能をたっぷり味わいながらコーナーを曲がることにある。その安定感を使ってグランツーリスモ的にストレートをぶっ飛ばすこともたやすいけれど、やっぱりポルシェはクルマと積極的に対話してこそ楽しい。ここが同じグループで、しかも多くを共有するアウディQ5系とはまた違う部分だ。



 フラットアウトしたアクセルをコーナーの手前で緩めて行くと、"ヴァアララッ!"と乾いたサウンドがマフラーから弾け飛ぶ。やり過ぎだとは思うけれど、やっぱり楽しい。

 ブレーキを踏み込むと、ギューッとブレーキローターをパッドがつかむ感触と同時に、狙ったポイントまで車速が落ちてゆく。「スポーツ」モードでは一段と切れ味を増す7速PDKの変速で、シフトダウンは既に完了。ブレーキをコーナーのアプローチ曲率に併せてリリースして行くと、ノーズがグーッと内側へ入ってゆく。コーナーミドルでリアはしっかりと大地を捕らえ、ロールはピターッと収まる。クリッピングからは4WDのトラクションを活かして、ベカッとアクセルオン!

これを繰り返しているだけで、楽しくて仕方が無い。

 まさに「GTS」は、SUVでポルシェの走りを楽しむための一手だ。SUVがこんな走りをしてよいのかしら? という気持ちもあるけれど、どちらにしろ「ポルシェ」を手に入れたオーナーはこうした走りを望むのだから、それをしっかりサポートしてやらなければいけない、と開発陣は考えているのだと思う。実に安全に、走りを楽しめる。だからシャシーファースターと言ったのである。

 個人的にはマカンSの方が挙動はニュートラルで、ボクはそこが面白いと思っている。普段の乗り心地もこちらの方がコンフォータブルだ。また馬力は少し低いけれど、スタビリティも低い分「S」の方が速く感じる。

 だからマカンを買うとき「S」と「GTS」で迷うようならば、ステイタスだけで「GTS」を選ばない方がよいと思う。呆れちゃうほど安定しているのは「GTS」。普段はすこぶる快適で、ちょっとスリリングに走れるのが「S」。それがハンドリングヲタである、ボクの回答だ。

■ポルシェジャパン 公式サイト

http://www.porsche.com/japan/jp/

【ギャラリー】PORSCHE MACAN GTS (62枚)
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データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア