“大型移籍”や異色の新外国人も。2025年スーパーフォーミュラ・トラックエンジニア一覧

2025年2月17日(月)19時12分 AUTOSPORT web

 2月17日、公式テスト開始を翌日に控えた鈴鹿サーキットで、全日本スーパーフォーミュラ選手権のメディアデーの取材セッションが行われた。このセッションにはチームごとに監督、エンジニア、ドライバーが出席するため、すべてのチームのチーフエンジニア(トラックエンジニア)が明らかになった。


 ここでは注目の移籍・新任エンジニアについて触れるとともに、全22台を担当するチーフエンジニアの名前を紹介したい(エンジニア一覧表は記事末尾)。


■「業界から離れることを考えていた」一瀬エンジニア


 まず、このシーズンオフで大きな話題となったのが一瀬エンジニアの移籍だ。2021年と2022年にチャンピオンを獲得した野尻智紀の担当エンジニアで、ここ数年はTEAM MUGENにとって欠かせない存在だったが、昨年末で同チームを離れて今季はThreeBond Racingのトラックエンジニアを務める。


「昨年MUGENでやっていた時はチャンピオンを獲れず、シーズンの後半にかけて尻すぼみの結果になりました」と移籍の経緯を説明する一瀬エンジニア。


「もともと業界から離れることとかをいろいろ考えているなかで、仲の良かったメカニックから声をかけてもらって『もう1回やってみようかな』と。チャンピオンを獲りたいという想いは抱いていますけど、(その目標達成は)すぐではないというところがあるので、まずは優勝を目標にして……あとはチームビルディングという点ではやることも変わってきますし、そっちの楽しみもあったので、今回加入させていただきました」


 この他話題となったのが、ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL。オリバー・ラスムッセンの19号車担当として、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でキャデラックLMDh車両(キャデラックVシリーズ.R)のエンジニアリングに携わっていたオスカー・ゼラヤ氏が加入。チームとは、昨シーズンからコンタクトをとっていたとのことだ。


「エンジニアの募集は以前から行っていて、いろいろな人からメールが来ていたのですけど、彼は少し違ったというか……『ギャラはいらないから、まず僕の能力をみてほしい』というメールを見て、『コイツだ!』と思いました」と星野一樹監督。


 試用期間のような形でスーパーフォーミュラとスーパーGTの最終戦でチームに帯同してもらい、その取り組む姿勢を見て今季の契約に至ったという。


 ゼラヤ氏は「非常にレベルの高い選手権だと思っている。日本のドライバーは長年日本のサーキットを走って経験豊富だし、エンジニアのレベルも高くて、非常に細かいところに目を向けているというのも特徴だと感じている」と、スーパーフォーミュラに対して興味津々の様子。ルーキーのラスムッセンとともに、どんな活躍を見せるのか注目だ。

オリバー・ラスムッセン担当エンジニアとしてITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULに加入したオスカー・ゼラヤ氏。


 また20号車担当には、昨年までKONDO RACINGにいた村田卓児エンジニアが入り、それと入れ替わるようにして大駅俊臣エンジニアがTEAM IMPULからKONDO RACINGに移って山下健太の3号車を担当する。


 新体制チームであるKDDI TGMGP TGR-DCは小高一斗の28号車が上城直也エンジニア、平良響の29号車は平野亮エンジニアが務め、Jujuを擁するHAZAMA ANDO Triple Tree Racingは昨年までKCMGにいた笠井昭則氏が加入した。


 その他、今季から初めてトラックエンジニアを務めるのが、San-Ei Gen with B-Max。村井寛太エンジニアが同ポジション初挑戦のシーズンを迎える。


 そして、一瀬エンジニアが抜けた野尻智紀の16号車には、田口顕人エンジニアが務める。田中洋克監督によると「田口は新卒で入って、ずっとエンジニアをやってきましたが、トラックエンジニアのサポートとしてやってきていました。かなりデータを見る力を持っていて、いつでもトラックエンジニアとしてデビューすることはできましたけど、サポートをしたいという本人の希望もありつつ『どこかでデビューさせたいな』という思いがあって、今年満を持してチーフエンジニアをやります」とのこと。こちらも、どのようなコンビネーションになっていくのか楽しみなところだ。

今季から野尻智紀(TEAM MUGEN)を担当する田口顕人エンジニア。昨年は岩佐歩夢車のパフォーマンスエンジニアを務めていた。


 2025年の各号車担当のエンジニア一覧は、以下のとおり。


■2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権 エンジニア一覧(編集部調べ)























































































































No.Driver(Team)Chief Engineer
1坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)小枝正樹
37サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)大立健太
3山下健太(KONDO RACING)大駅俊臣
4ザック・オサリバン(KONDO RACING)阿部和也
5牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)杉崎公俊
6太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)吉田則光
7小林可夢偉(Kids com Team KCMG)コシュモ・プリシアーノ
8福住仁嶺(Kids com Team KCMG)田坂泰啓
10Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)笠井昭則
12三宅淳詞(ThreeBond Racing)一瀬俊浩
14大嶋和也(docomo business ROOKIE)木谷彬彦
15岩佐歩夢(TEAM MUGEN)小池智彦
16野尻智紀(TEAM MUGEN)田口顕人
19オリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)オスカー・ゼラヤ
20高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)村田卓児
28小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)上城直也
29平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)平野亮
38阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)渡邊信太郎
39大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)岡島慎太郎
50小出峻(San-Ei Gen with B-Max)村井寛太
64佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)加藤祐樹
65イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)岡田淳


近年、TEAM IMPULで仕事をしてきた大駅俊臣エンジニアが、山下健太担当としてKONDO RACINGに加入。入れ替わるような形で、村田卓児エンジニアがIMPULへと移籍し高星明誠担当となる。

小出峻(San-Ei Gen with B-Max)担当の村井寛太エンジニア

小林可夢偉(Kids com Team KCMG)のエンジニアは昨年途中に加入したコシュモ・プリシアーノ氏が務めるが、怪我のため今回のテストでは来日がかなわずリモートで指揮を採るという。メディアデーには代理として関口雄飛チームコーディネーター、そして今季から加入した浦野夢希データエンジニアが出席した。


投稿 “大型移籍”や異色の新外国人も。2025年スーパーフォーミュラ・トラックエンジニア一覧autosport webに最初に表示されました。

AUTOSPORT web

「エンジニア」をもっと詳しく

「エンジニア」のニュース

「エンジニア」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ