新規則導入に備え、効率が求められる2025年。フェラーリは序盤4カ月を前身から大幅進化のSF-25に充てる決断

2025年2月18日(火)7時0分 AUTOSPORT web

 2026年のF1レギュレーションの全面刷新が正式に予定されているなか、フェラーリは2025年型マシン『SF-25』の性能を最適化しながら、次世代の“プロジェクト678”マシンの基礎を築くという複雑なバランスを取る作業に取り組んでいる。


 フェラーリがF1の空力テスト制限(ATR)の制約下でリソースを管理する能力は、短期的にも2026年に向けても、競争力を高める上で重要な役割を果たすだろう。テクニカルディレクターを務めるロイック・セラは、割り当てられた風洞実験時間を効果的に活用して、この二重の課題を乗り越えるための戦略的な計画を実行してきた。


 2026年のレギュレーションの導入は、すべてのチームに、本質的にデザインを“リセット”できる機会を提供する。しかしこの機会には、2台の競争力のあるマシンを同時に開発するというプレッシャーが伴う。


■空力テスト制限(ATR):戦略的な決断が必要に


 フェラーリのこのバランス調整へのアプローチは、前シーズンのコンストラクターズ選手権の順位にもとづいて風洞実験時間と走行を割り当てる、F1のATR規則によって形作られる。フェラーリは2024年にコンストラクターズ選手権において2位になったので、2025年前半に900時間の風洞実験を行うことができる。これは現チャンピオンのマクラーレンより60時間多いが、レッドブルより60時間少ない。

2024年F1第21戦サンパウロGP SF-24をドライブするシャルル・ルクレール(フェラーリ)


 ただし、これらのスライディングスケールの割り当ては、6月のカナダGP後のシーズン半ばに更新され、その時の順位を反映した調整が行われる。


 これらのATRによる制約は、シーズン初期の効率性が重要であることを強調している。したがって、フェラーリのエンジニアリング部門は、SF-25の短期的な開発を最大限に行うと同時に、変革をもたらす2026年のマシンのために十分なリソースを確保するという二重の課題に直面している。


『Autoracer.it』の報道によると、セラの指揮の下、フェラーリは少なくとも2025年の最初の4カ月間は、風洞実験と開発努力の大部分をSF-25に集中させることを決定したという。SF-25は前身のSF-24から大きく進化しており、フェラーリのエンジニアが比較できるデータが限られていることを考えると、このアプローチは不可欠なものとみられる。


 さらに、フェラーリはスペインGPまでに発効予定の新たなFIA技術指令書に適応する必要がある。その時点でFIAによるフレキシブルウイングの取り締まりが全面的に施行されるので、必然的に風洞実験の時間が消費されることになる。フェラーリが今年上半期に利用できる風洞実験時間900時間のうち、約3分の2がSF-25に割り当てられる予定だ。これには、昨年の夏にマラネロに設置された最新の風洞で、高速走行に費やされた180時間が含まれる。

スクーデリア・フェラーリに加入したロイック・セラ(左)とジェローム・ダンブロジオ


 2025年に競争力を維持するためには、現在に重点を置くことが重要だが、初期段階では2026年のマシンに使える時間は3分の1しかない。


■プロジェクト678:フェラーリの2026年のビジョン


 フェラーリは短期的なことに焦点をあてているものの、2026年のレギュレーションの重要性を見逃しているわけではない。2024年10月1日に正式にフェラーリに加入したセラは、すでにプロジェクト678に専念するエンジニアとリソースの専任チームの構築を開始している。


 このマシンは、2026年の大幅な変更に対するフェラーリの回答となり、年が進むにつれて開発は加速する。2025年半ばまでに、SF-25への取り組みが縮小されて風洞実験の時間がさらに増えるにつれ、フェラーリの関心は徐々に次世代マシンへと移っていくだろう。この段階的な再配分は、たとえ今シーズン中に犠牲を払うことになっても、フェラーリが2026年もトップランナーであり続けるための長期戦略を反映している。


 フェラーリのバランス感覚は、この過渡期にすべてのF1チームが直面する課題を象徴している。チームは、短期的な成功による利益と、新レギュレーション下での将来の優位性の保証を慎重に比較検討する必要がある。マクラーレン、レッドブル、その他のライバルも同様の戦略的計算を行っているため、F1が新たな時代を迎えるなかで、フェラーリの判断が最終的に彼らの立場を決定する可能性がある。


 フェラーリにとって、この旅はエンジニアリングと同じくらい戦略に関係するものだ。スクーデリアはATRの制約の舵取りをし、FIAの指令に適応し、リソースを長期目標に合わせることで、2025年の競争力という野心を見失うことなく、2026年がチャンピオンシップ争いに加わるシーズンとなることを期待して基礎を築いている。

FIAが発表した2026年F1マシンのレンダリング画像(2024年12月11日版)


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