貴乃花「捨て身の爆弾告発」で八角退陣、大乃国理事長誕生か

2月19日(月)7時0分 NEWSポストセブン

次の理事長は誰になるのか(時事通信フォト)

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 3月11日に初日を迎える大相撲春場所。先場所、途中休場に追い込まれた横綱・白鵬稀勢の里は復活を遂げるのか、平幕優勝を果たした栃ノ心はどんな相撲を取るのか──そういった土俵上の動きとは、全く別のところに関係者の注目が集まっている。春場所後に待つ「理事長選」の行方である。


 相撲協会の理事長は10人の理事による互選で決定する。メディアの大きな注目を集めた2月2日の理事選では、昨年11月の日馬富士暴行事件以来、執行部との対立が先鋭化していた貴乃花親方(45)が獲得票数「2票」で落選した。


「当選した理事で貴乃花親方に近いとされるのは、同じ一門の阿武松親方(元関脇・益荒雄、56)と前回理事長選で貴乃花親方に投票した山響親方(元前頭・巌雄、47)の2人だけ。だから当初は、『八角理事長続投』は確実視されていました。それが、ここにきて風向きが変わりつつある」(協会関係者)


 きっかけは理事選翌週、貴乃花親方がテレビ局のインタビューに相次いで応じたことだった。協会側がまとめた暴行事件の調査報告書が事実と異なると主張し、被害届を取り下げるよう要請してきたことまで“暴露”したのである。


「執行部側の親方の一部にも、『理事選後は貴乃花親方と協力して協会を立て直そう』という声があったが、この“爆弾告発”でそんなムードは一気に吹き飛んだ。執行部は貴乃花親方への追加処分を検討しているとさえいわれます。一方で、理事選が終わっても混乱が収束しないことから、『八角理事長(元横綱・北勝海、54)のままでいいのか』という危機感が協会内に出てきたのも事実だ」(同前)


 そもそも、八角理事長は“求心力の強いトップ”ではない。2015年11月、当時の北の湖理事長が急逝したことを受け、事業部長から理事長代行に昇格。小勢力の高砂一門の所属ながら、最大派閥の出羽海一門や二所ノ関一門、時津風一門が支えることで成立してきた体制だ。若手親方の一人はこういう。


「亡くなった北の湖理事長と対立関係にあった当時の九重親方(元横綱・千代の富士=故人)を除けば、“元横綱の適当な後継者”が八角親方くらいしかいなかった。バランス感覚に長けていて理事長職をそつなくこなしてきたと思うが、今回のような緊急事態では北の湖理事長のような強いリーダーシップが発揮できない。このまま批判の応酬とスキャンダル合戦が続けば、公益財団法人である協会を所管する文科省からも、何か指導や処分が入るかもしれない。そうならないためには、別の理事長を立てる必要がある。そこで名前が挙がっているのが、元横綱・大乃国の芝田山親方(55)なのです」


 今回の理事選では貴乃花親方が落選し、伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士、57)が出馬を断念。その結果、3月にスタートする新体制の理事10人のうち“元横綱”は八角理事長を除けば、二所ノ関一門から初当選した芝田山親方だけなのである。


◆ガチンコとスイーツ


 2010年、力士による野球賭博が発覚した責任を取って当時の武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海、70)が辞任した際、後を継いでトップの座に就いたのが大乃国の師匠だった放駒(はなれごま)親方(元大関・魁傑=故人)だった。


 前出の若手親方は、「当時のことを振り返っても、負の連鎖が続く今の協会のトップになるべきは、芝田山親方だろう」と続ける。


「放駒親方は現役時代、一切八百長に手を染めなかった“変人”で、『クリーン大関』の異名を取った人です。“大関互助会”にも関わらず、1975年に大関から陥落した後は、一度、平幕まで落ちて2年後に大関に返り咲くという離れ業をやってのけた唯一の力士。野球賭博や八百長の発覚で揺れた協会がなんとか立ち直れたのは、ガチンコ相撲の放駒理事長がトップにいたからです。1期限りで勇退し、理事長経験者の“天下り指定席”である相撲博物館館長の就任も固辞した。


 そんな放駒親方の一番弟子であるガチンコ横綱・大乃国こそ、窮地の協会のトップに相応しいはず」


 横綱・大乃国は師匠に倣ってガチンコを貫き、「星の貸し借りがないから、『横綱として15日間皆勤して負け越す』という史上初の不名誉な記録(1989年9月場所)を持つ一方、千代の富士の53連勝を止めたこともある。すべて“ガチンコの勲章”だ」(ベテラン記者)とされている。


 引退後は、甘い物好きの「スイーツ親方」として著書刊行やテレビ出演を重ねたことで“スー女(女性相撲ファン)人気”も高く、国技館内では若い女性ファンからサインを求められる姿がよく見受けられる。期待の声があがるのはよくわかる。


 今回、執行部に反旗を翻した貴乃花親方も、現役時代は孤高のガチンコを貫いた横綱だ。では、角界を二分した対立が雪解けに向かうのかというと、そうともいえないようだ。


「むしろ芝田山親方を担ぐのは八角体制執行部側ですよ」と明かすのは別の協会関係者だ。


「一方的に貴乃花親方を理事から解任したという批判をかわすには、八角理事長が勇退して責任を取った形にするのが一番いい。八角理事長には相談役や最高顧問といった新設ポストを用意して『院政』を敷き、貴乃花派を締め出していくわけです。このプランを仕掛けているのは内外に幅広い人脈を持つ現体制ナンバー2の尾車事業部長(元大関・琴風、60)だとされている。ガチンコの貴乃花親方を封殺するために、執行部側もガチンコの芝田山親方を立てれば改革色が打ち出せて争点も曖昧になる。八角・尾車連合にとっては、うってつけの『神輿』だ」


 準備は着々と進んでいる。


 恒例の大相撲トーナメントが開かれた2月11日、国技館で協会が異例の記者発表を行なった。貴乃花親方のテレビ出演について、〈番組は協会の許可なく放送されたものであり、日馬富士の暴行事件に関して協会が発表した調査報告書に問題があるとの指摘は、事実と異なるものと考えている〉との見解を表明した。


 その場で報道陣に対応したのは、春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌、55)ではなく、広報副部長の芝田山親方だったのだ。芝田山親方は囲み取材に対し、「一親方がテレビで話していたが、協会としてはしっかりと調査して発表している」とコメント。


「春日野広報部長の部屋での暴行事件が理事選直前に発覚した影響もあるだろうが、執行部側には『貴乃花vs大乃国』の構図を印象づけたい思惑もあっての人選だったはずだ」(前出のベテラン記者)


※週刊ポスト2018年3月2日号

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