【レッドブルF1密着:テスト4日目】他チームには目もくれずデータ収集を徹底。マシンの仕上がりに確かな手ごたえ

2019年2月22日(金)16時43分 AUTOSPORT web

 第1回バルセロナ合同テストの4日間が終わり、レッドブル・ホンダの走りとラップタイムに物足りなさを感じる向きは多いかもしれない。


 結局、ピエール・ガスリーがドライブした最終日もトップであるルノーのニコ・ヒュルケンベルグから1.387秒差の計14台中11位。レッドブル・ホンダの名前がタイムシートの上位に来ることはなかった。


 この日も朝一番は空力テストに使い、左リヤタイヤ前方のサイドポッドにかなり大型の気流センサーを装着してコークボトル部周辺の気流データを収集。コントロールラインを通過することなく、1周ずつピットインを繰り返してセッティングを変えながらデータを収集していった。


 1時間が過ぎたところでようやく本格的な走行を開始し、ピレリのC3タイヤ(※C1タイヤが最もハード、C5が最もソフト)を履いてセミロングランで52周まで周回を重ねていった。摩耗とグリップ変化の少ないC3タイヤは、車体側のセッティングを変えながらその違いを見るのに最適なタイヤだからだ。


 この日はテスト前半の最終日とあって、ランチブレイク前の12時台には多くのマシンがC5やC4タイヤを履いてタイムアタックを行なったが、レッドブル・ホンダはただ淡々と走り続けた。そのため午前を終えた段階で52周を走りラップタイムは1分19秒495で10台中7位。


 午後に入ってもC3タイヤのままロングランを続け、146周まで周回数を伸ばしたが、やはりセッション終了直前のアタックにも参加せず、ロングランの中で出た1分18秒780で14台中11位のタイムで終えた。


 前半2日間はマイレージを稼いで信頼性確認を行なうことに主眼を置いていたレッドブル・ホンダは、後半2日間で様々なセッティングでデータ収集を行ない、RB15のセッティングと開発をどの方向性へ進めていけばどのような性能とマシン特性が引き出せるのかということを徹底的に分析していっているところだ。


■生産的な1日に上機嫌なピエール・ガスリー


第1回F1バルセロナテスト4日目:ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)

 セッションを終えたガスリーは、相変わらずリラックスした様子でにこやかだった。チームから箝口令が敷かれているようで、ぐるりと取り囲んだ取材陣からの質問に対して具体的なことはほとんど語らない。


 フルアタックをしていないもどかしさはあるにせよ、自分たちの燃料搭載量やパワーユニット(PU/エンジン)のモード、タイヤグリップの差を逆算すれば、ラップタイムがどこまで伸びるのかはおおよそ分かっているだけに余裕が感じられる。


「多くのロングランとセットアップ作業を行なって、とても生産的な1日だったよ。自分たちのクルマで何が上手く機能するのかしないのか、それを試して確認する作業に集中しているし、他チームのことは見ていない」


「僕らはテストに専念しているからラップタイムには表われていないけど、マシンの全体的なフィーリングはとても良いよ。これから車体、パワーユニットからどれだけ性能を引き出せるのかを見てみないとね。ペースはまだまだ上げられる」


 この日の午後4時頃からRB15のリヤウイングのセンターピラーには新たなパーツが追加された。排気管の上から左右のディフューザー上へ、かなり太めの支柱を装着してきたのだ。リヤウイングまたはディフューザーの強度に不安を抱えているという説もあるが、いずれにしても2月26日から始まる第2回目のテストまでに対策が施されるはずだ。


 レッドブルの車体にしてもホンダのパワーユニットにしても、大きなトラブルを出すこともなく、一度もコース上に止まらず4日間のテストを終えた。


「シートが少し動いてしまっているんだ。でもそれも来週のテストに向けて新しいのを作れば解決するだろう。今のところ問題というのはそのくらいだね」


■ホンダ製パワーユニットの性能はトロロッソがすでに証明


第1回F1バルセロナテスト4日目:ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)

 同じパワーユニットを積むトロロッソ・ホンダが、C5タイヤでアタックすればルノーやアルファロメオと同等のタイムを記録している。ホンダのRA619Hは信頼性も性能も充分なレベルに達していると言えそうだ。


「まだ全開でプッシュしてはいないけど、今のところとても良いと思うよ。もちろん去年よりもパフォーマンスは向上しているし、信頼性の問題もない。ホンダ・エンジンを積んだトロロッソを見てもものすごく速い。来週のテストでもまだまだやることはあるけど、ひとまず最初の4日間のテストはとても上手くいったと言えると思うよ」


 前半4日間のレッドブルは、まだ実力を出し切るどころか出そうともしていない。ただ闇雲にタイムアタックをしてみるのではなく、マシンを完璧な状態に仕上げてからタイムアタックをするつもりだ。


 それはロングランデータの正確性にも繋がる。遠回りをしているようで、実は最も近道を行くアプローチだ。メルセデスAMGとレッドブルがタイムシートに目もくれず淡々とテストを続けているのは、そういうことだ。


 来週のテスト4日間を終えたときにレッドブル・ホンダがどこにいるのか、非常に楽しみだ。


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