“やりたかった変更”を加え正常進化を遂げた新型BRZ GT300。ドライバーふたりも悲願へ挑む

2021年2月22日(月)15時10分 AUTOSPORT web

 2月22日、スバル/STIは富士スピードウェイで2021年のモータースポーツ体制発表を行った。スーパーGT GT300クラスに挑む新型スバルBRZ GT300は、2021年からグローバルにデビューする新型BRZをベースに作り上げられたが、パワーユニットを含め、2020年の“正常進化”であるという。


 これまでその姿が予告されてきた新型BRZ GT300が、2月22日に行われたスバル/STIのモータースポーツ体制発表のなかで、ついにその姿が公開された。中央にSTIの“魂”と言えるチェリーレッドのラインが一本入り、その両脇に水平対向をイメージしたラインが入れられたBRZ。両サイドはブラックが入り、“今にも走り出しそう”なカラーリングに彩られた。


 そんな新型BRZについて、2021年からチームを率いることになった小澤正弘総監督は、「2012年にレガシィからBRZに変更した際、また2017年にトランスアクスル化した際と、クルマを新しく作り、セットアップに苦労しています。2020年のマシンが非常に速いマシンだったことから、正常進化を狙って作り込みました。気になるところ、こうしたいところを変えたので、大きな変更は入っていません」と、2020年も速さをみせてきたBRZの『正常進化』であると語った。


 もちろん、そのまま外板が換えられただけではない。サードダンパーの位置を中央にしたり、ドライサンプ用のオイルタンクの位置を変更し重心を下げたり、ドライバーが操作するスイッチ類についても作り込まれるなど、「細かいところですが、我々がやりたかったかたち」を盛り込み製作されたという。


 また気になるパワーユニットについては、エンジン形式等の発表はないが、「性能調整をしながら、ブースト規制で性能を拮抗させているところなので、エンジンについては性能変わらず、というところで作り上げています」とのこと。


「空力については、サイドビューのピンクのピックアップラインの意匠が市販車と同じもので、ダウンフォースを稼ぎやすくなっています。またリヤフェンダー後方のカナードがついているところなど、従来よりもダウンフォースを出す方向で進化しています。またベース車両が変わったことで、フロントは空力が有利になっています」


 なお、GTAが定めるGT300車両規定(2021年からGTAが規定を発行しているため、『JAF-GT』とは呼ばないことになりそう)に則って作られたBRZ GT300だが、規定のなかには「車両に搭載できる燃料の総容量は120ℓ以下とする。GTAは事前予告をもって、燃料タンクの総容量を減じることがある」と定められている。


 これについて小澤総監督は「GTAの規則説明会では『変わるだろう』と言われています。これに対応する準備も進めています」と語っている。

2021年のスーパーGTに参戦する新型スバルBRZ GT300
ピットアウトする新型スバルBRZ GT300
富士スピードウェイを走る新型スバルBRZ GT300


■「すでに期待がもてる状態」。井口、山内も悲願成就へ挑む


 実際のドライバーたちのフィーリングも、小澤総監督の発言どおり、“正常進化”を裏付けるものとなった。


「すごく良いです(笑)。小澤総監督が言うように正常進化したBRZなので、乗り味としては2020年のような感覚で乗れています」というのは井口卓人だ。


「そのなかで新しくなった部分がたくさんあるので、セットアップを合わせている段階です。しかしながら、すでに期待がもてる状態なので、あとはいかにタイヤとクルマを調整して合わせ込んでいけるかだと思っています」


 そんな新型BRZ GT300でシリーズに挑むことになる井口は、「新型BRZは何より、ドライバーのふたりがカッコいいと思っています。また新しいクルマということで、皆さんの期待も大きいと思っているので、その期待に応えられるようにしたいと思います」と意気込みを語った。


「2020年は皆さんがサーキットに来られず、現地で応援していただけない状況が続きましたが、今年の目標はただひとつ。ファンの皆さんと一緒にサーキットで笑顔を分かち合うということです。その後に結果はついてくると思うので、精一杯がんばりたいと思います」と井口。


「余談ですが、妻と結婚して5年目。山内選手とコンビを組んで7年目になります。妻より長いこのコンビでなんとか結果を出したいと思っています(笑)」


 その山内も「2020年は1勝もできず、残念な結果となってしまいましたが、今年はしっかりと結果を出して、これがスバルの力だと応援してくださる皆さんにみせられるよう、頑張っていきたいと思っています」と語った。


「ニュルブルクリンク24時間は残念ながら現段階で参戦できないことになりましたが、なんとか(コロナ禍が)落ち着いて、ディーラーの皆さん、ファンの皆さんも待ってくれていると思っているので、そのときに備えてスーパーGTをしっかり戦いたいと思います。チャンピオンを獲れるようチーム一丸となって頑張っていきたいと思っています」


『ライトウエイト・コーナリングマシン』をコンセプトに作り上げられた新型BRZ GT300は、今季のスーパーGTのなかでも最も注目のマシンの一台だ。開幕からどんな活躍をみせてくれるのか、気になるところだろう。

2021年からチームを率いる小澤正弘総監督
富士スピードウェイを走る新型スバルBRZ GT300
新カラーリングに彩られたトランスポーター。ドライバーの居住性も快適だそう。
BRZを応援する『BREEZE』のメンバーも発表された。左から津田知美さん、須藤セリナさん、あやきいくさん、平野杏梨さん
富士スピードウェイを走る新型スバルBRZ GT300

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