可夢偉、福住、次生、関口。“贅沢”布陣で背水の陣のKids com team KCMG「勝てなかったらすべて私の責任」と土居監督

2024年2月22日（木）12時1分　AUTOSPORT web

　2024年シーズンの開幕に向けて鈴鹿サーキットで公式テストが始まっているスーパーフォーミュラ。今季はルーキードライバーが4人いるほか、多くのドライバーが移籍し話題の多いドライバーズラインナップとなっているが、その中でもKids com Team KCMGは、ドライバー以外のチーム体制でも注目を集めている。

　すでに昨年12月に発表されているとおり、ドライバーは7号車が小林可夢偉、8号車が福住仁嶺というラインアップになる。加えて、2月19日に配信されたチームからのプレスリリースでは、昨年まで監督を務めていた松田次生がチームアンバサダーに就任し、昨年12月の合同テストにも参加した関口雄飛がリザーブドライバーとチームコーディネーターを担当することが明らかとなった。

　両者とも、なかなか聞き慣れない役職ではあるが、これについてチーム代表も務める土居隆二監督がテスト初日の朝に行われたチームごとの囲み会見で、次のように説明してくれた。

「昨年まで松田次生がチーム監督として頑張ってくれていましたけど、彼に関してはもっと“チームの顔”として活動してもらいたい」と土居監督。アンバサダーとしてチームの魅力などを発信して行きつつ、昨年導入されたSFgoを駆使しての情報収集を行い、チームへの貢献するという部分も担うことになるという。

「もちろんチームの中では走行中にいろいろな部分でアドバイスをしてもらって、他チームの情報を逐次収集してもらう。『SFgo』を彼の目で見て、得られる情報をフィードバックしてもらって、チームにプラスになる部分で動いてもらいたいなと思います」と土居監督。

「今までウチでいろいろとやってくれた経験と、彼自身の知名度をさらに活かして、チームのアンバサダーとしてだけじゃなくて、スーパーフォーミュラをよりもっと多くの皆さんに知っていただくための『顔』として活躍してもらいたいなと思います」と、松田チームアンバサダーへの期待を寄せていた。

メディアデーでのKids com Team KCMGの囲み取材の様子。左端が土居監督

　一方、リザーブドライバーでありチームコーディネーターを担当する関口に関しては「12月のテストでは（福住）仁嶺選手と関口選手で18号車を分けて1日ずつ乗ってもらって。ふたりともトップタイムで走ってくれました。テストが終わった後も、『本当に良いチャンスをありがとうございました』と言っていただいたんですけど、これで終わりにするのではなくて、『引き続き何かお役に立てれば一緒にやって行きたい』ということを、彼からも言っていただきました」と土居監督。

「私たちともしても『ぜひとも！』という感じでしたし、彼は（スーパーフォーミュラで）8年の経験があって、7回優勝を飾ったドライバーです。彼が感じるドライバー目線での『今のセットアップの進め方』や『この車がどういう状況で進んでいっているのか』というところ。やはり各々のエンジニアというのは自分の車に集中していきますので、そこを（関口選手に）全体的に俯瞰して見てもらって。ドライバー目線で『ドライバーが今どういう情報があると助かるのか』というものも、よく分かっていますから」

「また、SFライツではコーチングとか、ドライバーとエンジニアの間に入っていろいろなアドバイスをする経験を持っていて、それを得意としています」と、関口コーディネーターへの期待を寄せていた。

　関口はスーパーフォーミュラの全日程でチームに帯同し、ミーティング等にも参加。加えてリザーブドライバーとして、何かあった時に即戦力として対応できるように準備も整えるとのことだ。

　さらに、可夢偉車のエンジニアとしては田坂泰啓氏も迎え入れており、今季の体制について土居監督は、SNSでは「贅沢だ」という反応があった、と明かす。

「可夢偉選手はF1で表彰台に上がった経験がありますし、仁嶺選手はスーパーフォーミュラでランキング2位（2021年）を獲得し、あとはチャンピオンだけというドライバーです。リザーブには7回優勝している関口選手がコーディネーターを務め、国内トップフォーミュラで2回チャンピオンを獲得している松田次生がアンバサダーを務め、そして数々の経験と成績を収めてきたエンジニアがいます」と土居監督。

「昨年からチームメンバーはあまり深く変えていませんので、上積みがあるはずです。メカニックたちも経験者がそろっています。これで勝てなかったら……という状況で、まさに『背水の陣』という状況です。ここで勝てなかったら、すべて監督の責任です」と、土居監督も覚悟を持って今季に臨もうとしている姿勢が見て取れた。