エジソン流の天才?新記録達成トッテナムFWハリー・ケイン

2023年2月22日(水)18時0分 FOOTBALL TRIBE

トッテナム・ホットスパー FWハリー・ケイン 写真:Getty Images

日本時間2月6日は、イングランドの長いサッカーの歴史にまた新たな記録が刻まれる日となった。プレミアリーグ第22節トッテナム・ホットスパー対マンチェスター・シティの試合が行われ、イングランド代表のキャプテンも務めるトッテナムのFWハリー・ケインが、同クラブ公式戦通算267ゴール目を達成。クラブ史上最多の記録を打ち出した。


プレミアリーグ通算では200ゴール目となり、1992年のリーグ開催時からで最多得点選手第3位に君臨することになったケイン。多くのサポーターからは「天才」という言葉も飛び交い、伝説のストライカーとして絶対の地位が築き上げられつつある。


ところで、この「天才」プレイヤーとはどんな人物のことを指すのだろうか?この記事では、ケインを例に「天才」の意義も含めて少し深掘りしていこう。




トッテナム・ホットスパー FWハリー・ケイン 写真:Getty Images

「99パーセントの努力」とケインの幼少期


アメリカ出身の発明家トーマス・エジソン(1847-1931)の名言に『天才とは1パーセントのひらめきと、99パーセントの努力である』という非常に有名な言葉がある。


さまざまな異論も存在するが、仮にこの名言を「天才」と定義するとしよう。エジソン流の天才とは、安易ではあるが先天的にずば抜けた才能を秘めて誕生した人物というよりも、日々熱心に経験を積み、後天的に実力を身につけた人物ということが言える。


これに準えてケインの幼少期を遡ってみよう。ケインは、2001年わずか8歳の時点で大人と共に既にサッカー業界に足を踏み入れているのだが、当時所属していたアーセナルのユース・アカデミー(2001-2002)から、実力不足のため契約解除されるという経験を味わっている。


この時に体験した複雑な感情について、自身が立ち上げたハリー・ケイン財団(メンタルヘルスケアを目的とした財団)のPR動画では『子供の頃の拒絶は厄介なもの。8歳の時、アーセナルから離脱させられ、それを教えてくれたのは父だった。僕はまだ拒絶の感情を完全に理解できる年齢ではなかったし、父も失望している様子は見せなかった。ただ頑張ろうと腕を組んでくれた』と説明している。


その後、2004年から現在も所属し続けるトッテナムで、長い茨の道とも言える数々の難関を潜り抜けてきたケイン。特にトップチームに上り詰めるまでの過程ではレンタル移籍を繰り返し、何度も挫折と戦い自問自答を繰り返してきたという。現在は、休みの日だろうがトレーニングを日々怠らず過ごしているそうで、現地のサポーターからは真面目過ぎるという声も多いほどだ。


まさに、エジソンの「99パーセントの努力」と合致する経歴と言えるのではないだろうか。


ハリー・ケイン(左)ソン・フンミン(右)写真:Getty Images

「1パーセントのひらめき」が天才の分かれ道


気になるのがエジソンの天才定義に含まれる「1パーセントのひらめき」である。実はこの名言に隠された別の意味として「1パーセントのひらめき(アイデア)があってこそ、99パーセントの努力が活かせる」というものがある(諸説あり)。


ケインの「1パーセントのひらめき」と言えるものとは一体なんだろうか?もちろん多様な意見があるであろう中、筆者は自分自身の売り込みの上手さ(アイデア)だと考える。売り込みといっても移籍マーケットに対してではない。また打算的なものでもない。純粋にクラブの仲間や関係者に対する表現を指す。


サッカーは、監督やチームメイト、関係者たちが、全員で闘うようなものだ。例えケインだけが「99パーセントの努力」で得たプレー技術があっても、チームとして仲間と良い関係性が構築できていなければ、おそらく試合中にも個々の良さは活きてこないだろう。


そういう面で、ケインは自身の得意としている技術を上手く引き出してくれる仲間との繋がりをつくる能力が非常に長けていると感じる。実際に、同クラブの韓国代表FWソン・フンミンとの歴史的最強コンビが生まれているのは、その良い例だ。


この自分自身の売り込みの上手さがケインの「1パーセントのひらめき」なのではないかと考える。




アルゼンチン代表 FWリオネル・メッシ 写真:Getty Images

メッシやネイマール、エジソン流ではない天才も


ケインのように努力が大部分を占めているエジソン流の天才に対し、先天性のずば抜けた才能がある場合はどうだろうか。努力をする以前のスタート地点が、他の人々よりも遥かに高い位置にある天才ももちろん存在する。


アルゼンチン代表パリ・サンジェルマン(PSG)所属のFWリオネル・メッシ、そして同クラブのブラジル代表FWネイマールなどが、先天的な天才の例として一般的に耳にする選手と言えよう。


しかしながら、彼らも幼少期はまだまだ天才の卵の状態だった。彼らが果たして自分の才能にどのように気づき、どのように努力をしてその能力を活かせるかどうかは、周囲の環境が大きく影響してくる。


そう考えると、サッカークラブのユース・アカデミーの役割は、非常に重要だ。今後、数十年間でどのような天才たちが飛躍していくのか、楽しみである。

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