2019年SBK、開幕。レース1はルーキー、バウティスタがパニガーレV4 Rでデビューウインの快挙
2019年2月23日(土)17時10分 AUTOSPORT web
2019年シーズンのスーパーバイク世界選手権(SBK)、その戦いの火ぶたがオーストラリアのフィリップ・アイランド・サーキットで切って落とされた。2月23日に行われた開幕戦レース1を制したのは、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)。MotoGPからスイッチしたSBKルーキーが、優勝という鮮烈なデビューを飾った。
レースフォーマットが大きく変わり、新しいスケジュールでスタートした2019年シーズンのSBK。土曜日は予選にあたる“スーパーポール”と、午後にレース1が実施される。
■スーパーポールはカワサキファクトリーふたりがフロントロウ獲得
スーパーポールは土曜日の午前中、約25分のセッションで行われた。このスーパーポールは全車出走による計時予選で、レース1のグリッドとともに、日曜日に開催されるレース2の10番手以降のグリッドが決定する。
まずターゲットタイムをマークしたのは、3回のフリー走行で総合トップタイムをマークしたバウティスタ。1分30秒054のタイムでトップをキープする。
しかし残り時間5分で、2015年ぶりにSBKフル参戦復帰を果たしたレオン・ハスラム(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が1分29秒624をマークしてバウティスタからトップを奪取。
このままハスラムが開幕戦レース1のポールポジションを獲得するかと思われたが、4連覇王者、ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が、セッション最終盤のアタックでコントロールラインに飛び込んだ。タイムは1分29秒413で、トップに浮上。このタイムは2017年、レイ自身が記録したポールポジションのレコードタイムを更新するものだった。
レイはそのままポールポジションを獲得。2019年シーズンの幕開けとなるレースを、ポールポジションの位置からスタートすることになった。
2番手に続いたのはハスラムで、レイにはわずか0.2秒及ばなかったものの、十分な速さを見せた。カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのふたりがフロントロウに並び、盤石の強さと速さを示した。
1列目の最後の一席を仕留めたのは、フリー走行で好調さを見せていたバウティスタ。今季から再びファクトリー体制となったBMWのトム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が4番手、アレックス・ロウズ(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)が5番手に続いている。
2009年ぶりにSBKに参戦する清成龍一(モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム)は、1分31秒626で17番手を獲得。6列目からレース1に挑むことになった。
■レース1、SBKルーキー、バウティスタが独走優勝
迎えた開幕戦レース1は気温21度、路面温度41度のドライコンディションのもと、行われた。シグナルがレッドからグリーンに変わるとともに3番手のバウティスタが好スタートを切るが、1コーナー飛び込みではポールポジションのレイが先頭を守る。しかしバウティスタはレイの後方にしっかりとつけると、直後の3コーナーでレイをオーバーテイク。トップに浮上する。
レイは2周目、ハスラムにも交わされ3番手に後退するが、すぐにポジションを奪い返す。2番手のレイと3番手のハスラム。カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのふたりが激しく火花を散らす間に、バウティスタはただひとり、1分30秒台のラップタイムを連発。5周目を終えるころには、2番手以下に対し約4.6秒のアドバンテージを築いていた。
4周目には再びハスラムがレイをオーバーテイクして2番手に浮上。ハスラムとレイのテール・トゥ・ノーズの戦いが続く。ふたりはその後、何度もポジションを入れ替えながら2番手を奪い合い、これが結果的にバウティスタのひとり旅を許すことになった。
レイとハスラムの戦いにより4番手以下の差が詰まり、トプラク・ラズガットリオグル(ターキッシュ・プセッティレーシング)やロウズ、サイクスが接近。ワンパックになって周回が重ねられる。
そんな後方の激しいポジション争いに対し、トップを走るバウティスタのペースは変わらない。バウティスタはレース折り返しの11周目を終えたころ、2番手以下に対して約9秒の差を積み上げていた。
13周目、レイとハスラムによる激しい2番手争いに、唐突に終止符が打たれた。2番手を走行中だったハスラムが、4コーナーで転倒を喫したのだ。スリップダウンしてグラベルに滑っていくハスラム。ハスラムはその後レースに復帰したものの、完全に表彰台争いからは脱落した。
ハスラムのクラッシュにより2番手となったレイだが、今度は3番手に浮上してきたロウズに迫られる。15周目、レイのラップタイムは1分32秒490。対してロウズのラップタイムは1分32秒591で、ふたりの差はわずかに0.196秒。しかし、その後ロウズはレイに先行を許し、次第に引き離されていく。
レース終盤にはそのふたりの後方、4番手争いも厳しさを増した。17周目、ここで4番手に浮上してきたのがマルコ・メランドリ(GRTヤマハ・ワールドSBK)だ。さらにマイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)、ラズガットリオグル、サイクスの4台がワンパックの状態となる。
その集団を率いていたメランドリは、残り3周で遅れ始めた3番手のロウズの背後に迫ると、ロウズをオーバーテイク。3番手に浮上する。しかし最終ラップ、ロウズも負けじとメランドリに勝負を仕掛ける。ロウズはぎりぎりのブレーキングでメランドリのインに飛び込み、3番手に浮上する。
SBK開幕戦レース1、先頭でチェッカーフラッグを受けたのは、レース序盤から速さを見せた、バウティスタ。2位に14秒以上の大差をつける完全独走で、バウティスタはSBKのデビューレースでポディウムの頂点に立った。SBKルーキーがデビュー戦で優勝するのは、2007年のマックス・ビアッジ以来の快挙である。また、この勝利はドゥカティ パニガーレV4 Rにとっても、デビューウインとなるものだった。
2位表彰台を獲得したのは、ディフェンディングチャンピオンのレイ。ハスラムとの一騎打ちは思わぬ幕引きとなったが、その後、自身が獲得しうるベストポジションをキープしたと言えるだろう。
3位に入ったのは最後の最後でロウズを交わし、わずか0.05秒差で表彰台の最後の一角を手にしたメランドリ。4位にはメランドリと接戦を繰り広げたロウズ、5位にはファン・デル・マークが続いた。
中盤に追い上げを見せたBMWモトラッド・ワールドSBKチームのサイクスは表彰台に迫ることはできなかったものの、6位に入ったラズガットリオグルとの差約0.3秒で7位入賞を果たしている。また、2位争いでレイと激しい攻防を繰り広げたハスラムは、15位でフィニッシュした。
日本人ライダーの清成は17番手からスタートし16位でチェッカーを受け、SBK開幕戦レース1を終えた。チームメイトのレオン・キャミアはクラッシュ後にリタイアを喫しており、モリワキ-アルティア・ホンダ・チームにとっては厳しい門出となった。
SBK開幕戦オーストラリアのスーパーポール・レースは日本時間の24日10時、レース2は13時から行われる。
以下、SBK第1戦オーストラリア レース1決勝順位結果。
■SBK第1戦オーストラリア レース1決勝順位結果
Pos. | No. | Rider | Team/Machine | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 19 | A.バウティスタ | Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) | 33’38.901 |
2 | 1 | J.レイ | カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) | 14.983 |
3 | 33 | M.メランドリ | GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) | 16.934 |
4 | 22 | A.ロウズ | パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) | 16.984 |
5 | 60 | M.ファン・デル・マーク | パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム(ヤマハYZF-R1) | 19.179 |
6 | 54 | T.ラズガットリオグル | ターキッシュ・プセッティレーシング(カワサキZX-10RR) | 21.203 |
7 | 66 | T.サイクス | BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) | 21.488 |
8 | 11 | S.コルテセ | GRTヤマハ・ワールドSBK(ヤマハYZF-R1) | 23.018 |
9 | 21 | M.ルーベン・リナルディ | バーニーレーシングチーム(ドゥカティ パニガーレV4 R) | 25.58 |
10 | 7 | C.デイビス | Aruba.it レーシング-ドゥカティ(ドゥカティ パニガーレV4 R) | 27.124 |
11 | 81 | J.トーレス | チーム・ペデルチーニ・レーシング(カワサキZX-10RR) | 28.214 |
12 | 50 | E.ラバティ | チーム・ゴーイレブン(ドゥカティパニガーレV4 R) | 30.055 |
13 | 28 | M.ライターベルガー | BMWモトラッド・ワールドSBKチーム(BMW S1000RR) | 31.859 |
14 | 36 | L.メルカド | オレラック・レーシングVerdNatura(カワサキZX-10RR) | 34.793 |
15 | 91 | L.ハスラム | カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(カワサキZX-10RR) | 41.009 |
16 | 23 | 清成龍一 | モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) | 45.523 |
17 | 52 | A.デルビアンコ | アルティア・ミエ・レーシングチーム(ホンダCBR1000RR) | 1 Lap |
RET | 17 | T.ヘルフォス | ペンライト・ホンダ・レーシング(ホンダCBR1000RR) | 6 Laps(リタイア) |
RET | 2 | L.キャミア | モリワキ-アルティア・ホンダ・チーム(ホンダCBR1000RR) | 14 Laps(リタイア) |