F1 Topic:メルセデスの『DAS』システムは合法。FIAは詳細語らずも、安全性への懸念なし

2020年2月24日(月)18時7分 AUTOSPORT web

 2020年の1回目のバルセロナ・テストは、2日目以降、タイムよりもメルセデスの2020年型マシン『W11』のオンボード映像から発覚した革新的なシステムに注目が集まった。これは、DAS(デュアル・アクシス・ステアリング=2軸ステアリング)と呼ばれるもので、ステアリングを前後に動かすことによって、走行中に前輪のトー角を調整するシステムだ。


 FIAのあるスタッフは「DASの合法性についてすでにチームと話し合いを重ね、確認済み」だと明かし、こう続けた。


「かなり前から、彼らとDASについて話し合いを行ってきた。彼らがどれくらいの年月をかけてこれを開発したのかは教えられないので、具体的にいつから話し合いを行ってきたのかは言えないが、2、3カ月とかそういうレベルではない」


「我々は、テクニカルレギュレーションの第10条(ステアリングの項)の解釈や、ステアリングシステムで許可されることについて話し合いを重ねた。そして、DASがこれらの要件のすべてに一致していることを確認した」


 ステアリングシステムで許可されることとは何か? テクニカルレギュレーションの第10条の4項1と2に、こんな文言が示されている。


10.4.1
「2輪を超える車輪の操舵を可能とするステアリング装置は禁止される」


10.4.2
「パワーステアリングシステムは、電子的制御がなされることあるいは電気的動力を得ることはできない。そのようなシステムは、車両を操舵するのに必要な肉体的負担を軽減させるという目的以外の機能を実行することはできない」


 メルセデスのDASは、ドライバーがステアリングを押し引きすることによって前輪を操舵しているので、10.4.1で認められている行為の範囲内だとみなされる。つまり、サスペンションの調整機構ではないので違反ではない。


 さらにステアリング上のボタンやスイッチで動かしているわけではないので、電子的制御がなされることあるいは電気的動力を得ることはできないという部分にも抵触しない。


 2月22日のテストが行われていたバルセロナ-カタロニア・サーキットで会見に出席したFIAのレースディレクターのマイケル・マシは、「なぜ合法かについては、個別の案件に関してチームの機密情報保護という観点からFIAが詳細を話すことはできない」と語ったが、「合法であることは確認しており、安全性という観点からも問題はない」と一部で疑問視されている安全性にも懸念を持っていない方針を明らかにした。


 一方で、レギュレーションが変更される2021年以降は、F1マネージングディレクターのロス・ブラウンが、チームが規則の抜け穴を悪用することを防ぐ対策を採り入れることを表明している。さらに2021年以降のテクニカルレギュレーションで、フロントホイールのアライメントは単一ステアリングホイールの回転運動の一定の機能によってのみなされると定められていることから、DASの使用は規制されることになるようだ。

FIAのレースディレクターを務めるマイケル・マシ(左)


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