「無礼だった」亀田京之介をなぜ倒せたか。 悪童ネリを再起させたのは井上尚弥戦で得た“経験”「俺はあれから学び、やり方を変えた」
2025年2月24日(月)11時30分 ココカラネクスト

昨年5月に井上に敗れたネリ。その“怪物”との一戦が彼を変えた。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
熱狂のティファナで存在感を示した。現地時間2月22日、プロボクシング元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)が、WBC、WBA、WBO世界フェザー級15位の亀田京之介(TMK)と124ポンド(56.24キロ)契約のノンタイトルマッチ10回戦で対戦し、前者が7回TKOで勝利を飾った。
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初回にダウンにも見えるスリップシーンがあったネリ。だが、最後は地力の差を見せつけた。とりわけ圧巻だったのは7回だ。
4回を過ぎたあたりから亀田を防戦一方にしたネリは、地元メキシコ・ティファナの舞台で躍動。趨勢が定まりかけていた7回もカウンターを狙う相手に反撃の隙を与えずに怒涛の猛攻を展開すると、コーナーに追い詰める。
ここでネリは亀田の顎に左のストレートを食らわせて態勢を崩すと、その刹那、前のめりになった相手の左ボディに強烈なショットを打ち込んだ。これでダウンをもぎ取ったメキシカンは、再開後に猛ラッシュ。左ボディを決め、さらに左フック、右ストレートと追い打ちをかけ、亀田は2度目のダウン。再度立ち上がったが、セコンドがリング内に足を踏み入れたため、レフェリーは棄権の意思表示とみなしてTKOを宣告した。
敵地に乗り込んだ亀田の健闘は称賛に値する。それでも最後は地力の差を見せ、自身の名を叫ぶ地元の大声援に応えたネリも流石と言えよう。
地元紙『El Sol de México』によると、試合後にネリは「カメダは自信過剰で、大口を叩くだけだった。俺に対してだけでなく世間に対しても無礼だったと思った。俺の故郷であるティフアナに敬意を示さねばならなかった」と強調。あわや乱闘の騒動に発展した現地時間2月10日に行われたフェイスオフ会見での“遺恨”を振り返った。
一方でヒートアップした会見とは裏腹にリング上でのネリは「冷静だった」。試合後に「俺はリング上で誰かを恨んだり、不快感を抱いたりするようなファイターじゃない」と語った元世界王者は、昨年5月に行われたスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)との東京ドーム決戦で防戦一方となった経験を生かしたという。
「少しだけ足を止めた。(亀田の)パンチの強さを感じたから、ノックアウトされることを避けるためにジャブを使い、距離を取った。日本(井上戦)でやってしまったように、ディフェンスが開かないようにしたかった。俺はあの経験から学び、やり方を変えたんだ。いつも通りに、何でもありのスタイルでやっていたら1ラウンド、もしくは2ラウンドで俺は終わっていたと思う」
今後はスーパーバンタム級での王座返り咲き、さらには同階級での4団体統一を狙っているネリ。その途方もない目標に向けては、ランキング上位となる必要があり、地道な活動が求められる。
しかしながら、「前よりも知的で思慮深く、より多くのツールを使えるようになっている。もちろん一歩ずつ地道にやっていかなきゃいけない」と変貌ぶりを伺わせるネリならば、タイトル戦線にふたたび殴り込むのではないか。そんな気がしてならない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]