競馬の降級制度廃止で導入された「リステッド格付け」の意味

2月24日(日)7時0分 NEWSポストセブン

「リステッド格付け」とはいったい何なのか

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 降級制度が廃止され、秋競馬での未勝利戦の編成取りやめ、さらに3走連続で9着以下だった場合の2か月間出走停止など、3歳馬をとりまく環境も厳しくなってきた。『週刊ポスト』での角居勝彦調教師による連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、お届けする。


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 おかげさまで角居厩舎の3歳馬では、シーザリオの子サートゥルナーリアが2歳GIホープフルSを含む3戦3勝で、クラシック戦線の主役にあげられています。現在16頭がデビューし、うち10頭が勝ち上がりました(2月11日終了時点)。その他の未出走馬、未勝利馬についても、早い時期に目処を立ててやりたいと思います。未勝利戦がなくなるのが昨年より1か月も早くなったことで、プレッシャーを感じています。


 もちろん、今年からの制度の変更は、3歳馬にとって悪いことばかりではありません。


 身も蓋もない言い方になりますが、強ければいい。強い馬ならば忙しさから解き放たれてじっくりと力をつけられる。1つ勝ちさえすれば、6月になって古馬と走るようになったとき、降級してくる馬がいないので、かなり勝ちやすくなるはずです。4歳の降級馬は昨年6月だけで、60勝近く稼いでいましたが、2着が3歳馬だったケースが3割ほどもあったそうです。“格上”の4歳馬がいなくなることで、特に500万円以下(=1勝クラス)では、3歳馬の勝ち星が増えると見ています。


 また、昨年は古馬と走る平地の重賞競走で、3歳馬が10勝もしています。手厳しい情況の中でも、強い3歳馬は必ず抜けてくる。この傾向がさらに広がるのではないでしょうか。



 そういった“抜けてくる”強い馬の育成も少し変わってきます。


 秋に菊花賞を使いたいと思えるような馬ならば、昨年までは夏くらいから長い距離を走らせました。そのとき、1000万円以下クラスでは、準オープンから降級してきた馬がいて、かなりレベルの高いレースを強いられた。


 そこで勝ち抜けば相当の見込みがあるものの、長距離馬は夏を越えたあたりで一気に完成することも多いのです。だから早めに仕上げようと鼻息を荒くしてきたわけですが、今後は1000万円以下の相手関係がぐっとラクになる。長距離馬の仕上げに、昨年までほど焦らなくていいということになりそうです。


 ぽんぽんとレースを使わずに、格上挑戦などピンポイントで走らせたほうが良くなる可能性も大きくなります。


 さらに、3歳馬の使い方にも関連することですが、「リステッド格付け」が導入されます。降級制度の廃止によってオープン馬が増加する試算を受けての改革です。重賞とオープン競走の間に、もうひとつのランクを入れ込む。増加するオープン馬の出走を円滑化し、実力拮抗の白熱したレースを行う目論見でしょう。リステッド競走の勝者は、セリ名簿などでもブラックタイプで記されるようになります。


 3歳戦ではクラシックに直結する芝の中距離のほとんどがリステッド競走となります。3歳リステッド競走1着馬の収得賞金算入額は1200万円となるため、GI出走馬を決定する段階で重要になってきます。


 まさに優勝劣敗。ファンの視点で「強い馬なのか、それほどでもないのか」という見極めが、制度改革によって分かりやすくなった。それは間違いなさそうです。


●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。2000年に調教師免許取得、2001年に開業。以後17年で中央GI勝利数24は歴代3位、現役では2位。2017年には13週連続勝利の日本記録を達成した。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカなど。本シリーズをまとめた『競馬感性の法則』(小学館)が発売中。2021年2月で引退することを発表している。


※週刊ポスト2019年3月1日号

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