トップ3チームが同勝点で並ぶ混戦模様! 「鉄のウニオン」はブンデス優勝争いを制することができるのか?

2023年2月26日(日)9時0分 サッカーキング

 今シーズンのブンデスリーガは、いつになく優勝争いが熾烈を極めている。

 先週末の第21節を終えた時点で、勝ち点43で3チームが並んでおり、得失点差の関係でバイエルンがドルトムントとウニオン・ベルリンを抑えて何とか首位をキープしている状況だ。さらに言うと、上位6チームが勝ち点5差の中にひしめき合っており、優勝争いは最後の最後までもつれそうだ。

 ブンデスリーガ史において、シーズン後半戦に入ってから上位3チームが同じ勝ち点で並ぶのは11年ぶりのこと。その時は19節を終えてバイエルン、ドルトムント、シャルケが40ポイントで並んでいたという。一方、21節終了時に3チームが同ポイントで並ぶのは1969−70シーズン以来、実に53年ぶりのことだという。当時はケルン、ボルシアMG、ヘルタ・ベルリンの3チームが同ポイントでしのぎを削り、1ポイント差にバイエルンが控え、ドルトムントも5位につけていた。

 そのシーズン、最終的には頂点に立ったのはボルシアMGだ。彼らにとっては記念すべき初優勝となり、そこから8年間で5度の優勝という黄金期を築いた。もし混戦模様になったことでボルシアMGにチャンスが訪れたのなら、今シーズンは昇格4年目で初優勝を目指すウニオンにも可能性があると言える。今週末にはバイエルンとの首位攻防戦も控えており、そこで勝てれば優勝も夢ではない。

 果たしてウニオンは本当に優勝を狙えるのか? ブンデスリーガの公式HPが「ウニオン・ベルリンが優勝できる5つの理由」を挙げているので紹介しよう。

■要塞化した本拠地

 まずはホームでの圧倒的な強さだろう。2019年に初めてブンデスリーガ1部に昇格したウニオン・ベルリンは、本拠地で何度も難敵を退けている。昇格1年目の2919年8月、ブンデスリーガでの記念すべき初勝利となったのもホームでのドルトムント戦だった。

 その後も本拠地「シュタディオン・アン・デア・アルテン・フェルステライ」で抜群の強さを誇っており、2020−21シーズンはホームでわずかに1敗、2021−22シーズンはわずかに2敗しか喫することがなかった。そして今季は、ライプツィヒやドルトムントを下したほか、王者バイエルンとは1−1のドローゲームを演じており、ここまでホームゲームは10試合を行って「7勝3分け0敗」。未だに負け知らずなのだ。

 この収容人数2万2000人の“要塞”を支えるのはサポーターである。試合中の大声援だけでなく、彼らは実際にスタジアムの建設にも尽力した。2008年に改修工事を行った際、実に2300人以上のサポーターがボランティアとして作業したのである!

 そんな特別なホームスタジアムで、ウニオンはリーグ戦最近43試合でわずか2敗しか喫しておらず、ホームで結果を残し続ける限り、彼らにも優勝の芽がありそうだ。


■鉄壁の守備
 ここまでバイエルンの21失点に次いで2番目に少ない失点数(24失点)を誇るウニオン。彼らほど「鉄壁」という言葉が似あうクラブは他にいない。というのも、クラブの愛称が「Die Eisernen(鉄)」なのだ。クラブは発足時から労働階級のファンベースを持ち、過去に使用していた青いユニフォームが地元の工場作業員の作業着と似ていたため「鉄」が愛称になったという。

 今でもスタジアムには「Eisern Union(鉄のウニオン)」というチャントが鳴り響き、大声援に背中を押された選手たちは労を惜しまない。今季ここまで走行距離はリーグ1位、空中戦の勝利数もリーグ2位と体を張ってハードワークをしている。ドルトムントのエディン・テルジッチ監督も「ウニオンは全ての局面で体を張り、非常にアグレッシブだ。互いを助け合い、決してチームメイトを一人にしない」と、10月の対戦で敗れた際に舌を巻いたという。


■みんなでゴール
 攻撃面もチーム一丸だ。前節のシャルケ戦はゴールレスドローに終わったが、2023年に入りリーグ戦6試合のうち5試合で複数得点をマーク。そんなチームの稼ぎ柱はスリナム代表FWシェラルド・ベッカー(28歳)で、今季チーム最多の7ゴールをマークしている。首位に並ぶクラブで7ゴールは物足りなく感じるが、そこはチーム全員で補えばいい。

 MFヤニク・ハベラーも5得点しているほか、FWジョルダン・シエバチュ、FWケヴィン・ベーレンス、DFダニーリョ・ドゥーヒの3名もここまで4ゴール。こうしてチーム全員でゴールを目指し、今季は実に12名がスコアシートに名を連ねている。誰か一人に頼ることなく、色々な選手がゴールを奪えるのはサポーターにとって心強いだろう。

■ヨーロッパ最高峰に匹敵
 崩れかけた時期もある。第6節で首位に立ち、第10節でドルトムントに勝利した際には「優勝するぞ!」とファンも大合唱した。しかし第13節のレヴァークーゼン戦に0−5で大敗を喫して首位陥落。すると、そこから3試合も白星に見放され、ワールドカップの中断期間を迎えたときは5位まで順位を落としていた。

 それでも2023年に入ってからは、ほぼ完璧な成績。前節シャルケ戦(0−0)に引き分けた以外は全て勝利しており、2023年は5勝1分0敗。欧州5大リーグで2023年に入ってから全勝しているのはバルセロナ(7戦全勝)とドルトムント(6戦全勝)の2チームだけ。ウニオンは、そんな欧州を代表する2クラブに次ぐ成績を残しているのだ!

 加えて、今週ミッドウィークに行われたヨーロッパリーグの決勝トーナメント・プレーオフでは、ホームでアヤックスに3−1で快勝。2戦合計3ー1でベスト16に駒を進めている。


■不屈の精神
 ウルス・フィッシャー監督のチームは諦めることを知らない。2月11日のライプツィヒ戦では、優勝争いのライバルの本拠地に乗り込み、前半に先制点を許しながらも、MFハベラーのゴールで追いつくと72分にDFロビン・クノッヘのPKで見事に2−1の勝利を収めた。実は、ウニオンの逆転勝利は珍しい話ではないという。

 今季ウニオンは、ライプツィヒ戦以外にも、ボルシアMG戦、ホッフェンハイム戦、ブレーメン戦で先制されながら逆転勝利を収めている。先制された試合で「4勝」はリーグ最多。欧州5大リーグを見ても、プレミアリーグで首位に立つアーセナルや、セリエAで独走態勢のナポリ等と並んで最多タイとなっている。

 この勢いのままウニオン・ベルリンは初優勝を果たせるのか? 強い絆で結ばれた「鉄のウニオン」に注目だ。

(記事/Footmedia)

サッカーキング

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