プロ野球「キャンプ絶好調」報道はなぜいつも大ハズレなのか

2月27日(月)16時0分 NEWSポストセブン

松坂大輔は本当に復活できるのか?

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 2月1日のキャンプイン以降、どのスポーツ紙にも、景気がいい報道ばかり溢れている。だが、昨年のキャンプ報道を検証すれば、「絶好調報道が大ハズレばかり」であることがハッキリとわかる。たとえば、ソフトバンク・松坂大輔(36)の場合はこんな具合だ。


 メジャー帰りの“元”剛腕は“眠れる獅子”となって久しいが、今年は西武黄金時代の「投げ込みフォーム固め」で猛アピール。視察に訪れたWBC日本代表・権藤博投手コーチに〈キューバ戦任せたぞ〉(2月5日、スポーツ報知)といわしめたことが取り上げられた。


 一方、昨年は〈完全復活へ前進!松坂「いい感じ」〉(2016年2月2日、日刊スポーツ)という「絶好調報道」があり、今年の“松坂大輔復活記事”はまるで昨年の引き写しなのだ。


 その松坂の2016年シーズンはどうだったか。一軍初登板は日ハムに11.5ゲーム差を引っくり返されて優勝をさらわれた後、10月2日の消化試合。1回を被安打3、与四死球4、暴投1の5失点(自責点は2、防御率18.00)という成績でファンをガッカリさせた。


 これで今季の復活報道こそは信じてほしいといわれても、さすがにそれは難しい。昨季は松坂同様、メジャーリーグ挑戦からの日本球界復帰(四国アイランドリーグを経由)を果たした、阪神・藤川球児(36)も、“先発転向プラン”で紙面を賑わせていた。


〈藤川、熱投80球!金本監督大絶賛「モノ違う」〉(2016年2月2日、サンケイスポーツ)に続き、〈球児14日先発「再デビュー」決定〉(2016年2月10日、大阪日刊スポーツ)と連日のように報じられたが、ペナントレースでの先発起用は5試合のみ。かといってクローザーにもなれず、藤川渡米後の不動のセットアッパー・呉昇桓(34、カージナルス)が退団した穴も埋められず、5勝6敗3セーブというパッとしないシーズンに終わった。


 昨季は期待のルーキーたちも、春先の派手な報道とは落差のあるシーズンを送った。その筆頭が、楽天・オコエ瑠偉(19)である。


 入団会見で「目標はトリプルスリー」と語った話題性ナンバーワンルーキーは、〈オコエに「ヤクルト山田化計画」〉(2016年2月3日、日刊スポーツ)と、2年連続トリプルスリー・山田哲人(24、ヤクルト)になぞらえられた。


 いくらなんでも煽りすぎである。打率1割8分5厘、本塁打1本、4盗塁という結果に終わり、トリプルスリーは遥かに遠い。


 巨人から単独1位指名を受け、即戦力右腕として期待された桜井俊貴(23)については、


〈桜井 松井(秀喜)氏の腰引かせた〉(16年2月8日、サンケイスポーツ)と報道。藤田元司や堀内恒夫ら、かつての巨人エース右腕が新人時代につけた背番号「21」をつけたが、3月30日のプロ初先発(横浜戦)で、5回途中9安打4失点で降板した。


 翌日、2軍行きとなって以降は肘のケガに泣かされ、今オフに背番号「21」が“剥奪”されたことは周知の通りだ(現在は「36」)。


 ところで、今年は巨人の新外国人投手・カミネロ(29)が「自称・最速166キロ」とされているが、実は昨年も「自称・最速166キロ」と豪語した助っ人がいたことを覚えているだろうか。昨季・オリックスに加入したコーディエ(31)である。〈「最速166キロ」いきなり150キロ超〉(2016年2月2日、デイリースポーツ)という報道に恥じず、オープン戦5試合で被安打ゼロの完璧なピッチングを披露し、抑え候補として開幕を迎えた。


 しかしいざ開幕すると、四球や牽制悪送球でリズムを崩し、そこから打ち込まれるという別人のようなピッチングになり、6月には登録抹消、そのまま日本球界をフェードアウト。13試合に登板し、防御率7.30という数字だけが残った。


◆全球団が「優勝候補」


 この例で見てしまうと、途端にカミネロの今季が不安になってくる。なぜ、キャンプ報道はこれほどまでに“大外れ”が続いてしまうのか。『デイリースポーツ』元編集局長の平井隆司氏が、キャンプ取材の裏側を明かす。


「キャンプ取材の時期だけは『12球団すべてが優勝候補』として報道ができるんです。私もよく、若い記者には『担当チームが優勝する根拠を集めて来い』とハッパをかけたものです(笑い)。


 キャンプの練習風景をルポするだけでは、この時期のスポーツ紙は売れない。だから、ファンが応援するチームが『今年は期待できそう』と思ってくれるような記事を書くしかないんですよ」


 現役のスポーツ紙デスクはこう続ける。


「紅白戦、オープン戦と進んでいくにつれ、各選手の“本当の調子”が分かり始めてきて、ダメなら開幕ローテ・スタメン候補から外れていく。そうなる前に、記事の見出しも徐々にフェードアウトしていくのが恒例なんです」


 なんとも潔い証言だが、野球記事を読んで、“本当のチーム力”が知りたいと思うのもファン心理だといえよう。野球評論家の広澤克実氏はこう評す。


「実戦練習をしていない現段階での評価は難しいですが、カミネロの獲得を含め、巨人の補強はピンときません。澤村(拓一、28)を信頼していればカミネロは獲っていないでしょう。澤村、山口(鉄也、33)、森福(允彦、30)、マシソン(32)、カミネロでリリーフを回すつもりのようですが、みんなが良いところで投げられるはずもなく、誰かが敗戦処理となる。それじゃあ補強したようでしていないようなものです」


 春の“打ち上げ花火”に胸を躍らせていると、開幕した後の落胆はより深くなるので、ゆめゆめご注意を。


※週刊ポスト2017年3月10日号

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