羽生結弦が「エンタメで勝利した凄味」とは 2・26東京ドームは新たな伝説の幕開け

2023年2月28日(火)17時3分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 2月26日、東京ドーム。羽生結弦さんの華麗なる極上のエンターテインメントを見つめながら、昨年7月19日の記者会見での言葉を思いだした人も、多いのではないでしょうか。

 あの日の未明、一部スポーツ紙が「羽生引退」と報じて迎えた会見で、羽生は競技生活を終えてプロフィギュアスケーターに転身することを表明し、「引退」との報道にこう語ったのでした。

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「実際、甲子園の選手が野球をがんばっていて、甲子園で優勝しました。プロになりました。それは引退なのかなと言われたら、そんなことないじゃないですか」

 そう。「引退」どころではない。「成長」であり「進化」。五輪においてメダルの色は3つしかないけれど、東京ドームで観客が見たのは、羽生さんが表現する万華鏡のような多彩さであり、感動の境地でした。

 音楽部門を統括したのは、あの武部聡志氏です。終演後、ツイッターにこう投稿しました。

「羽生結弦『GIFT』東京ドーム公演が無事に終わった。今日の公演を成功させるために日夜練習を積み重ねてきた彼に最大限の賛辞と敬意を送りたい。1夜限り東京ドームに張られた氷上をたった1人で滑り切る体力、気力。そして渾身の滑りに胸が震え、ピアノを弾きながら涙が溢れた」

 ユーミン、吉田拓郎を始めとする大物ミュージシャンのコンサートを成功に導いてきた大御所が、「ピアノを弾きながら涙が溢れた」とつづってしまう羽生さんの凄味。それはそもそも「競技会」という枠の中で収まるものではなかった。表現の可能性を拡げる上でも、プロ化は必然でした。「2・26」はあの日の決断が正しかったと証明した一日だったとも言えるでしょう。

 本物は本物を知る。そんな羽生さんのもとには凄腕のクリエイターが「仲間」として集結しました。Perfumeなどでも知られる人気演出家・MIKIKO氏とタッグを組み、オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。一流と一流が火花を散らして最高の空間を作ろうとする「真剣勝負」に、ファンが魅了されたのは必然と言えるかもしれません。

 スポーツ紙のデスクは言います。

「日本人は五輪が大好きで、メダルが全てのような価値観がどこかにある。でもエンタメの世界も、それに優るとも劣らない真剣勝負の場なんです。冬の寒い中、チケット争奪戦を制した上で、全国から3万5000人もの人々が東京ドームへ集結した。チケットは買えなくても、臨場感溢れる中で体感したいと、韓国、香港、台湾も含めて3万人もの人々が映画館でのライブビューイングに馳せ参じた。たった一人で滑りきり、人々をここまで熱狂させた羽生結弦という男は本当に凄い。2・26はゴールではなく、新たな一歩とも言えるのではないでしょうか」

 オーディエンスの誰もが、同時代を生きる喜びを実感した「2・26」。「エンタメ」という、ゴールのないレースを走る羽生さんにとって、今回の賛辞はさらに前へと進む、大きな原動力となるに違いありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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