NPBでも顕著な投手の「高速化」 深刻な負担増加に“人類最速男”チャップマンが警鐘「身体を限界まで酷使しているからだ」

2025年2月28日(金)7時0分 ココカラネクスト

ダイナミックな投球フォームから剛速球を投げ込むチャップマン。(C)Getty Images

 主要球界での投手の球速向上、いわゆる“高速化”が顕著だ。

 昨季に「世界最高峰」とされるMLB全体で記録された投手の平均球速は、94.3マイル(約151.7キロ)を記録。これはMLB公式のデータページ『Baseball Savant』が計測を始めた2008年以降で最速であり、過去16年で2.4マイル(約3.9キロ)も上昇した。

【動画】世界愕然の170キロ チャップマンが15年前に投じた快速球シーン

 また、NPBでも変化は目立っている。昨季の平均球速はメジャーのそれには及ばないものの、実に146.7キロ。2010年代前半に140キロ台前半だったボールの高速化が明らかになった。

 要因はさまざまに考えられる。投手分業制の確立による負担軽減や、映像などのデータ解析が進み、投手のメカニクスが格段に上がったことが主要な理由と言えよう。一方で投手の身体に及ぶ負担は増加しており、米スポーツ専門局『EPSN』は「球速アップを追い求めることが慢性的な負荷を増加させ、怪我の一番の理由」となっているリポートしている。

 打者をねじ伏せるための進化が、怪我の原因にもなる。この現状に警鐘を鳴らす関係者は少なくない。現在レッドソックスに所属するアロルディス・チャップマンもそのうちの一人だ。

 レッズ時代の2010年にMLB史上最速となる105.8マイル(約170.3キロ)のハイスピードボールを投げ、「人類最速の男」と称された剛腕も36歳となった。いまだ平均97.8マイル(約157.3キロ)の4シームを投げ込むチャップマンは、MLB公式サイトのインタビューにおいて、球界の“投手事情”に持論を展開した。

「選手たちが怪我をするのは、身体を限界まで酷使しているからだと思う。俺はただ、無理強いしないように、そういうことを監視するようにしている。とにかく自分の身体と腕を大切にすることを誇りにしている。その2つのことは、まるでカネのように扱っているよ。とくにマウンドにいる時は、自分の腕を限界まで使わないようにしている」

 15年に及ぶMLBキャリアで、100マイルの快速球を投げてきたからこその矜持か。「今は弱点だったコントロールを向上させることに重きを置いている。とくに今年に入ってからは重点的に取り組んできた」と語るチャップマン。球速が全てではないと示唆する彼の言葉は、球界のあり方にくぎを刺すようでもあった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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