WTRが念願のル・マン出場へ。62台が出場する2025年大会の暫定エントリーリストが発表

2025年3月3日（月）19時30分　AUTOSPORT web

　FIA国際自動車連盟とともにWEC世界耐久選手権を開催するACOフランス西部自動車クラブは3月3日、今季2025年も6月に開催される『ル・マン24時間レース』の暫定エントリーリストを発表した。

■ハイパーカーは8メーカー計21台による戦いに

　1923年の初開催から今年で102年。“世界三大レース”のひとつであるフランス伝統の耐久レースは、6月11から15日にかけて、ル・マン市内のブガッティ・サーキットと公道を組み合わせたル・マン24時間サーキット、通称サルト・サーキットで開催される。

　全部で62に上ったエントリーのうち、第93回大会の総合優勝を目指しプロトタイプで覇を競うハイパーカークラスには、全体の約3分の1以上を占める21台が名を連ねた。その大半はWECにフルシーズン・エントリーしている車両たちで、トヨタ、ポルシェ、フェラーリ、アルピーヌ、BMW、キャデラック、プジョー、そして今シーズンデビューしたアストンマーティンの計8メイクスが揃う。

　この中でポルシェとキャデラックは追加のエントリーを行い、それぞれ4号車963と311号車・101号車Vシリーズ.Rをグリッドに並べる。いずれもIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスを戦うマシンであり、前者は昨季2024年にシリーズタイトルを獲得したポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが、後者の2台はアクション・エクスプレス・レーシングが運営するキャデラック・ウェーレン（311号車）と、前年までアキュラARX-06で北米シリーズを戦っていたウェイン・テイラー・レーシング（WTR）のキャデラックWTR（101号車）が走らせる。WTRは以前よりル・マンに挑戦する願望を繰り返し語っており、ついに悲願がかなったかたちだ。

　一方、サードカーの投入を検討していたBMWは既報のとおりエントリーを見送っている。

2024年11月に公開された第93回（2025年）ル・マン24時間レースのオフィシャルポスター

■ヨーロッパ、アジア、北米から多数の有力チームが参戦

　昨季2024年に引き続きル・マンのみの登場となるLMP2クラスには、ELMSヨーロピン・ル・マン・シリーズでシリーズチャンピオンを獲得するなど、好成績を収め自動招待枠を獲得したAO・バイ・TFやインターユーロポル・コンペティション、RLR Mスポーツなどの出場が決定。

　さらに、先月閉幕した2024-2025年AsLMSアジアン・ル・マン・シリーズでタイトルを獲得したアルガルベ・プロ・レーシングも自動エントリーの権利を行使し、テオ・プルシェールを起用するELMSキャンペーンの同チーム車と合わせ2台のマシンをグリッドに並べることとなった。

　この他、このフィールドの常連であるユナイテッド・オートスポーツやTDSレーシング、来季2025年にハイパーカーに参戦するジェネシスの開発パートナーを務めるIDECスポールなどがエントリーしているLMP2クラスでは、全部で17台が出場し、すべてのチームがオレカ07・ギブソンのパッケージを使用することが明らかになっている。

　LMGT3クラスは、ハイパーカーと同じくその大半がWECの年間エントリーと同じだが、ここにも各地のル・マン・シリーズで好成績を収めたチームが加わっている。

　その代表的な例は、2日にメルセデスAMG GT3エボの3台目を投入することを発表したアイアン・リンクスだ。彼らは昨年のELMSでGTクラスのチャンピオンに輝いている。また、北米からはボブ・エイキン賞（最優秀GTDブロンズドライバー賞）を受賞したオリー・フィダーニを擁するデイトナウイナーのAWAレーシングが、13号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rで今年2度目の24時間レース優勝を狙う。

　この他にも、リシャール・ミル・AFコルセやジッゴ・スポーツ・テンペスタ、AsLMSのGTクラスを制したマンタイが加わったGTカテゴリーは、8つのLMGT3メーカーがサポートする都合24台によって争われる予定だ。この中には日本人ドライバーの佐藤万璃音がドライブする95号車マクラーレン720S GT3エボ（ユナイテッド・オートスポーツ）と、同じく木村武史が搭乗する57号車フェラーリ296 GT3（ケッセル・レーシング）が含まれている。

　ル・マン24時間の決勝レースは6月14日土曜から15日日曜にかけて、一部公道セクションを含む全長13.626kmのトラックで開催される。レースウイークの前週には恒例のテストデーも設定されており、8日日曜に予定される同セッションがル・マンでの今年最初のトラックアクションとなる。