ラスベガスGPのチケット売上減少で第4四半期は下落も、フォーミュラワン・グループの2024年総収益は前年から6%増加

2025年3月4日(火)7時10分 AUTOSPORT web

 リバティ・メディアは、総収益の増加が特徴的な2024年度のF1の記録的な財務実績を発表した。


 フォーミュラワン・グループは、2024年12月31日までの12カ月間で36億5000万ドル(約5497億5900万円)の収益を上げた。これは2023年の32億ドル(約4819億8000万円)から6%の増加となる。


 第4四半期は若干の落ち込みが見られているものの、継続的な進化と戦略転換の年と言えるだろう。年末のつまずきにもかかわらず、F1は主要な収入源全体で成長し、世界中にファンの基盤を築いている。75周年を迎える2025年に向けて準備を進めるなかで、シリーズが順調に発展していく様子がうかがえる。


■収益の内訳と成長の原動力


 F1の収益構成はよく見られるパターンとなっており、トップはメディア権益で32.8%、次いでレースプロモーションが29.3%、そしてスポンサー料が18.6%となっている。通年の総営業利益は4億9200万ドル(約741億4500万円)に達し、調整後のOIBDA(Operating Income Before Depreciation and Amortization:償却前営業利益)は7億9100万ドル(約1191億4000万円)に上昇した。


 F1の会長兼CEOであるステファノ・ドメニカリはこの結果を称賛した。


「F1は、レース数、収益、調整後OIBDAにおいて記録的な2024年を締めくくった」


「2025年はF1の75周年にあたり、ブランドにさらなる勢いをもたらすことになるため、我々は同様に楽観的でいる」


「我々のスポンサーリストは、スポーツ史上最も強力なものとなっており、ビジネスにおけるパイプラインも引き続き堅調だ。この商業的成功は、コース上の興奮と組み合わされている。昨シーズンは選手権において激しい競走があったが、さらに熾烈な競争が行われることが予想されているからだ」

F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリ


 中国GPがカレンダーに復帰し、2023年は豪雨の影響で中止になったエミリア・ロマーニャGPも2024年に復活したため、2023年(22レース)と比較して2024年(24レース)の収益は増加した。これらのイベントと契約料の値上げにより、レースのプロモーション収益は増加したが、ラスベガスGPのチケット収益に減少があった分、利益が抑えられた。


 メディア権利収入は、新規契約および更新契約による手数料の増加と、『F1 TV』加入者数の着実な伸びにより増加した。スポンサー収入も、新規スポンサー、契約額の増加、および追加レースによるスポンサー増加により急増した。


 しかし、最終四半期は障害に見舞われた。第4四半期の収益は、レースのプロモーションとメディア権利収入の減少により、2023年の12億3000万ドル(約1852億6100万円)から11億7000万ドル(約1762億2400万円)に減少した。営業利益は1億2600万ドル(約189億7800万円)に減少し、調整後OIBDAは2億ドル(約301億2400万円)となった。近年のシーズンのハイライトであったラスベガスGPは、予想外のチケット収入の減少があり、2023年第4四半期と同じレース数(6レース)だったにもかかわらず、下落の一因となった。

2024年F1第22戦ラスベガスGP 角田裕毅(RB)


■ファンエンゲージメントと戦略的動き


 バランスシートを超えて、F1の世界的な影響力は急上昇した。このシリーズは2023年に累計テレビ視聴者数16億人、ソーシャルメディアフォロワー数9700万人を誇り、2024年には観客動員数が9%増加して650万人に達した。


 パートナーシップの面では、F1は複数年にわたるローテーション制のベルギーGP、2026年までのオランダGP、2030年から2031年までの中国GP、イタリアGP、モナコGPなど、重要な契約更新を確保した。新たな商業契約には、Crypto.comとの2030年までの提携延長や、世界的な宝くじ運営会社Allwynとの新たな契約が含まれている。


 リバティメディアは、将来の成長に向けた基盤も築いた。同社はMotoGP買収の規制承認期限を2025年6月30日まで延長し、リバティ・ライブ・グループを別会社に分割することを発表した。リバティ・メディアの新社長兼CEOであるデレック・チャンは、将来に向けて自信を表明した。


「CEOとしての最初の1カ月を振り返ると、リバティ・メディアとポートフォリオ企業の今後の機会に活気づけられる」


「取締役としての私の任期は、2025年に向けた戦略的優先事項の達成に向けて迅速に行動する上で、効率的な移行を可能にした。これには、継続的な成長を推進するための主要な構成要素によってF1の成功を活用すること、MotoGPの買収を完了すること、そしてリバティ・ライブの体制に対処することが含まれている」


「私は現在の勢いを維持し、リバティのチームと協力して株主の利益を高める戦略を実行することに全力を尽くしていく」

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