“ジョーカー”投入も期待外れのプジョー9X8。足まわり改良は「エアロマップ活用のため」と明かす

2025年3月5日(水)21時2分 AUTOSPORT web


 WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦するプジョーのテクニカル・ディレクター、オリビエ・ジャンソニーは、開幕前テスト“プロローグ”ではプジョー9X8が速さを見せていたため、第1戦カタールではもっといいパフォーマンスを期待していたことを認めた。


 ポール・ディ・レスタ/ミケル・イェンセン/ジャン-エリック・ベルニュの93号車プジョー9X8は、2月28日にカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われたWEC開幕戦『カタール1812km』で、トップからほぼ90秒遅れとなる9位でフィニッシュ。


 ロイック・デュバル/マルテ・ヤコブセン/ストフェル・バンドーンの94号車は、2台のファクトリー・ポルシェに続き1周おくれの12位でチェッカーを受けた。


■カタールはジョーカーが真価を発揮しないコース?



 このレースは、オフの間に“エボ・ジョーカー”を行使してサスペンション重視のアップデートを行った9X8にとって、最初のレースだった。


「正直に言うと、プロローグで見たものから期待していたほど、ペースは良くなかった」とジャンソニーはレース後に語った。


「それでも、現時点ではすべてが非常に接近していることは認識している。トップの車両と戦うことはできなかった。我々は、自分たちにできることを最大限活用しようとした。普段からこの種のゲームではそれほど悪くなく、これが我々のレースにおける強みだった」


 9X8の両クルーはレース中にドライブスルーペナルティを受けていた。93号車はレース序盤のフルコースイエロー中にディ・レスタがスピード違反をしたため、94号車はポイント獲得の最終ポジションを争うバトル中にデュバルが5号車ポルシェ963をコース外に追いやったため、残り2時間でペナルティを受けた。


 ペナルティにつながったバトルについてコメントを求められたジャンソニーは、次のように振り返った。


「我々のクルマとポルシェのパフォーマンスは非常に接近していたので、ここではどのポジションも手にするのが難しいのは驚くことではない。オーバーテイクはかなり困難だ」


「車両(の性能)が接近していて追い越しができないと、コース上でこのような状況に陥ってしまう。(ペナルティが)厳しすぎると言う人も、そうでないと言う人いるかもしれないが、我々にとってはあれはレースだったんだ」





 ジャンソニーはレース前に、カタールは9X8の新しいサスペンションアップグレードが大きな影響を与えると予想していたサーキットのひとつではなかったことを認めていた。次の第2戦イモラでより多くのメリットが期待できるかどうかについては、次のように答えた。


「判断は難しい。昨年はイモラで良いレースができたが、そのコースでのレースは初めてだったからね」


「我々はこれからレース前にそこでテストして、自分たちの位置を確認するつもりだ」


 カタールでのレースに先立ち、ジャンソニーは開幕戦に向けて9X8のフロントとリヤのサスペンションに変更を加えた理由を説明した。WECのルールでは、開幕戦までにエボ・ジョーカーのアップデートを行うことが義務付けられている。


 ジャンソニーは、このアップグレードはほとんどのサーキットでメリットをもたらすはずだが、とりわけプジョーが2024年に苦戦したサーキット・オブ・ジ・アメリカズなどのトラックをターゲットにしていると述べた。


「これはしばらく前からテストしているものだ」とジャンソニーは語った。


「これはクルマの改良だ。サスペンションを最適化して、エアロがクルマに対してにうまく機能するようにする。プラットフォームを安定させ、エアロにもっと効果が出るように努めているのだ」


「エアロを変更するのではなく、プラットフォームを安定させることで、車両のエアロマップをもう少しうまく活用しようとしている」


「オースティン(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)など、パフォーマンス面で特に劣っていたトラックがいくつかあるので、このアップデートにより、この種のトラックは我々にとってより良いものになるはずだ」




■イモラ、スパでも事前テストを実施へ


 ジャンソニーはまた、プジョーが8日間(2台の車を使用できる2日間を含む)という規則により制限されたテスト割り当てをどのように活用するかという点で、イベントごとの準備に重点を置くという哲学の変更を明らかにした。


「昨年はテスト日数が残っていたので、2025年のル・マンに向けた検証の一部は、(2024年)12月に行われた」と彼は説明した。


「2025年に入ってからは、我々はそれを行う必要はない。シーズンを通したパフォーマンス開発に集中できるように、それ(ル・マン向けの検証)を非常に早い段階で行うという考えだったのだ」


「また、2024年には行わなかった、特定のイベントに対する準備として、適切なWEC開催サーキットでの(事前)テストをさらに行うことにした。イモラとスパで、テストを行う。また、たとえば1月にはここ(カタール)にもテストに来た」


 ジャンソニーは、プジョーがこれまでに使用したエボ・ジョーカーの数については明言を拒んだが、2022年から2023年の冬に少なくともひとつは使用されたことは認めた。彼らは2024年初頭にもリヤウイングに関する変更を行っているため、今回の改良は、同ブランドにとって3度目のジョーカー使用だった可能性がある。


 また彼は、与えられた5つのジョーカーのうち、まだひとつ以上が行使せずに残されているかどうかについても、明言を拒んでいる。

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