全日本ロード復帰1年目は苦戦のモリワキ清成龍一。2018年は「ようやくスタートラインにつけた段階」

2018年3月6日(火)16時2分 AUTOSPORT web

 2017年から全日本ロードレース選手権JSB1000クラスへと戦いの場を移した清成龍一。15年ぶりの全日本参戦となった初年度は苦戦を強いられ、ランキング11位でシリーズを終えた。復帰1年目、清成は「普通に走ることができなかった」というが、2018年シーズンに向けてはどのように感じているだろうか。


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 清成には、屈託というものがない。もっとも身近なライバルであるチームメイトの高橋裕紀を、「あいつはスゴイんですよ!」と繰り返し称賛する。


 昨年から清成は、高橋と同じモリワキMOTULレーシングでホンダCBR1000RRモリワキ改を走らせ、全日本ロードJSB1000クラスに参戦している。


「裕紀とペアを組めれば、自分もライダーとして成長できると思った」と言う清成は、高橋より2歳年上だ。自身もイギリススーパーバイク選手権で3度、アジアロードレースで1度のシリーズタイトルを獲るなどして、世界を舞台に活躍した。スライドを厭わないアグレッシブな走りで、レースの本場・欧州にも「キヨファン」は多い。


 それでも、MotoGPで9シーズンを戦ってきた高橋のことを、素直に尊敬しているのだ(高橋は2005〜2008年を250ccクラスで、2009年をMotoGPクラスで第7戦まで、そして2010〜2013年をMoto2クラスで、MotoGPを戦っている)。


「僕なんかより、レベルが全然上なんですよね」と、爽やかに笑う。「一緒にテストしてて、状況がコロコロ変わったりしても、最終的に裕紀はしっかり合わせ込んでくるんです。刺激を受けますよ。チームメイトが強いと、気を抜けませんしね」


 自身にとって全日本復帰イヤーだった昨年、清成は思うような成績が挙げられずに苦しんだ。シーズンを通しての最上位は、第6戦もてぎと第9戦鈴鹿・第2レースでの7位。ランキングは11位に終わった。

復帰1年目は「ビックリするぐらいバタバタしていた」と語る清成龍一


「自分でもビックリするぐらいバタバタしてしまいました。シリーズも、マシンも、タイヤも変わって、自分にとって新たなチャレンジとなりましたが、とにかく普通に走ることができなかったんです。チームのレベルが高いおかげで、どうにか形になったけど、自分としては全然ダメだった」


 マシンパッケージとサーキットとの相性に手こずった。清成自身も、マシンを自分好みに仕上げることができなかった。レースを戦いながら、マシン開発にもかなりの時間を割く必要があり、それが清成の言う「バタバタ」を招いた。


 だが後半戦にかけて、少しずつ光明が見えてきた。セッティングの方向性を変えたことで、フィーリングは格段によくなった。それでも満足度は「5割」。間もなく2018シーズンの開幕を迎える清成は、「ようやくスタートラインにつけたかな、という段階」と分析する。

清成龍一/MORIWAKI MOTUL RACING


 今の時点ではまだ、「自分で納得できる自分」ではない。だが清成は、「目標は優勝すること。それだけです」と頂点だけを見据えている。


 その道は険しい。これまでのヤマハに加え、ホンダもワークス体制でJSB1000に挑む。「同朋」も高く厚い壁となり、清成の前にそびえるだろう。


「ワークス勢をどう倒そうとか、まったく考えていません」。きっぱり言って、清成は笑う。


「手強いことは分かってるけど、何も考えないようにしてます。余計な心配事はしない方がいいんです(笑)。シンプルに、自分にプレッシャーをかけていきたい」

森脇護監督と会話をする清成龍一


 今年9月で36歳になる。現実も見据えながら、レーシングライダーとしての目標も忘れない。過去に2シーズンの参戦経験がありながら、タイトルを手にしていないスーパーバイク世界選手権(SBK)への復帰だ。


「ビックリするほど衰えてますよ。太りやすくなったし、ケガも治りにくいしね(笑)。でも、SBKに出たいという思いは、常に持ち続けています。全日本でも勝ちたいし、鈴鹿8耐でも勝ちたいけど、その先に意識してるのはSBKです」


 チームメイトの高橋に最大限の敬意を払いながらも、「僕の前でゴールされるのはやっぱりイヤですよ」と、やはり屈託のない笑顔を浮かべる清成。たぎらせているのは、爽やかな闘志だ。


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