バンパー脱落の影響は「感じなかった」と勝田貴元。GRヤリスの形が空力に好影響か/WRCスウェーデン

2022年3月6日(日)8時50分 AUTOSPORT web

 北欧スウェーデンを舞台に、2月24日から27日にかけて開催されたWRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデンで総合4位となった勝田貴元。トヨタGRヤリス・ラリー1を駆り今季2戦目のイベントを戦い終えた彼は、トヨタの新型ハイブリッドマシンが一部のエアロパーツを失っても「特別影響はなかった」と語った。


 シーズン唯一の“フルスノーラリー”として、スウェーデン北部最大の都市ウメオを中心に開催された2022年のラリー・スウェーデン。雪と氷に覆われた森林の中をハイスピードで駆け抜けていく同ラリーの特徴のひとつに、コースの両脇に積まれた雪によってできた壁(スノーバンク)の存在が挙げられる。


 スノーラリーではこのスノーバンクを有効に使い、極力スピードを落とさずにコーナーをクリアしていくシーンを頻繁に見かける。もちろんそこにはリスクも存在し、進入角度やスピードを誤ればスピンにつながるだけでなく、最悪の場合にはスタック、クラッシュによるリタイアに直結する。


 また、アクシデントに至らずともマシンの外装パーツを失う可能性も孕んでおり、実際に今戦ではリヤバンパーが脱落した状態で走行していた車両の姿も珍しくなかった。TOYOTA GAZOO Racing WRTが2022年シーズンに向けて開発した、ハイブリッドシステムを搭載したGRヤリス・ラリー1もその中に含まれる。


 しかしながら、同マシンのステアリングを握り総合4位でラリーを終えた勝田によると、その影響は非常に小さいものだったようだ。


 リヤバンパーを失った際の走行への影響を尋ねられた彼は、「とくにそこの影響はなかったと感じています」と述べている。


 一方で彼は、ラリー1カーが新しい車両規定によって従来よりもエアロ開発部分が削減されているにもかかわらず、GRヤリス・ラリー1は依然として強力なダウンフォースを備えていると感じている。

スノーラリーでは雪の壁をうまく利用すればタイムを縮めることができる一方、アクシデントのリスクも孕む


「(2021年まで乗っていたWRカーに比べ)リヤ周りの空力関連の部分、ダウンフォースを得られる部分が減っている分、エアロやバンパー関係でのそういったクルマの挙動の変化は少なかったと言うか、とくに感じなかったです」と勝田。


「それよりも、今でもダウンフォースは実はすごく強く感じる部分もあって、リヤウイングだったりとか、クルマ自体が持っているダウンフォースをとても強く感じているのが正直なところです」


「もちろん、昨年トヨタ・ヤリスWRCよりは減っているのですが、意外と……今年スウェーデンの高速ラリーを走ってみて、『まだこれだけのダウンフォースがあるんだ!』という感じを受けました。高速コーナーでの安定感も高いです」


「(その要因は)リヤウイングの大きさも影響していると思いますが、GRヤリスの元々の形が空力も意識して作られているので、そういったところで良いエアロの効果を得られている可能性もあるかな、というふうに感じています」


 トヨタが“WRCで勝つため”に生まれたGRヤリスは当初、新規定の導入に先駆けて2021年に投入される予定だったが、新型コロナウイルスの世界的な流行の影響を受けて開発が中止に。改めてラリー1規定車としての開発が行われ、この2022年シーズンにデビュー。開幕戦モンテカルロから約1カ月後に行われたラリー・スウェーデンで、21歳のカッレ・ロバンペラのドライブによってWRC初優勝を飾っている。

勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第2戦スウェーデン
勝田貴元はトヨタGRヤリス・ラリー1で臨んだ今季2戦目のラリー・スウェーデンで総合4位入賞を果たした

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