グロージャンのF1バーレーンGP事故調査報告:67Gの衝撃、出火、脱出までの経緯が明らかに

2021年3月7日(日)7時35分 AUTOSPORT web

 2020年F1バーレーンGPでハースのロマン・グロージャンが見舞われたアクシデントについて調査を続けてきたFIAは、世界モータースポーツ評議会会合を開催した3月5日、調査報告書を公表した。


 決勝オープニングラップでバリアに直撃したハースのマシンは真っ二つに割れ、出火し大きな炎が上がった。グロージャンは67Gの衝撃を受け、27秒にわたり炎に包まれた後、手に火傷を負いながらも車外に自力で脱出、無事に救助された。


 調査結果によると、ハース車はガードレールに192km/hで激突、衝撃は最大時で67Gに達したという。


 なぜマシンから出火したのかについては、次のような報告がなされている。
「車両は衝突において大規模なダメージを負い、パワートレインアセンブリがサバイバルセルから分離した」


「シャシー左側に位置する燃料タンクのインスペクションハッチが外れ、エンジン燃料供給コネクションが燃料タンクの“セーフティ・ブラダー”から引き裂かれた。そのふたつが、タンクから燃料が流出する主な経路となった」


「バリア衝突の最後の瞬間に、火がついた。炎はサバイバルセル後部から、勢いを増しながらドライバーのいる前方に向かって広がっていった」

2020年F1第15戦バーレーンGP決勝 ロマン・グロージャン(ハース)が大クラッシュ、マシンが炎上

2020年F1第15戦バーレーンGP決勝 ロマン・グロージャン(ハース)が大クラッシュ。マシンが真っ二つに

 クラッシュヘルメット、HANS、安全ハーネス、サバイバルセル、シート、ヘッドレスト、ヘイローは、想定どおりの機能を発揮し、グロージャンを守ったことが分かっている。しかしマシンの半分がバリアにめり込み、損傷を負ったことで、脱出するのは簡単ではなかったということだ。


「バリアの上部レールとサバイバルセルの位置関係から、ドライバーの脱出経路は著しく制限された」と報告書には記されている。


「サバイバルセルとコクピット内の多数のコンポーネントがダメージを負ったことで、グロージャンの左足が引っ掛かった状態になった」


「彼はレーシングシューズから足を引き抜き、シューズをその位置に残したまま、足を動かすことに成功した。そしてヘッドレストとステアリングホイールを外して車両から抜け出したのだ」

2020年F1第15戦バーレーンGP決勝 大クラッシュ後、救出されたロマン・グロージャン(ハース)

 クラッシュから5.5秒以内にレースが中断され、11秒以内にメディカルカーが現場に到着。炎のなかから現れたグロージャンをスタッフが救出した。


 グロージャンは手に火傷と怪我を負ったが、手術は無事に成功、2021年にはインディカーに参戦することが決まっている。


 2020年、FIA安全部門はグロージャンのクラッシュを含む19の大きな事故について調査を行った。その結果を受けて、FIAは、2021年のサーキットレーシングの安全性向上のため、車両、サーキット、ドライバーの安全装置、メディカル/レスキューに関して多数の分野に取り組んでいくことを決め、その広範なリストを公表した。


 そのなかには、サバイバルセル、バックミラー、ステアリングコラム、ヘッドレストアセンブリ、セーフティ・フュエル・ブラダーなどについてのさらなる見直しが含まれている。

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