【2023年大会】青森FCがベガルタ仙台との激闘を制し、5大会ぶりの優勝!《JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN東北》
2023年3月8日(水)11時30分 サッカーキング
東北6県それぞれの4種委員会から推薦された2チームずつ、計12チームの3〜5年生(大会開催時)が参加。5月3〜5日に、神奈川県横浜市で開催される『JA全農杯チビリンピック2023 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会』の東北ブロック予選も兼ねている。参加12チームは優勝と、地域代表として上位2チームが出場できる全国の舞台を目指した。
試合は8人制で行われ、12分×3ピリオドで行われる。第1ピリオドと第2ピリオドで選手を全員入れ替え、第3ピリオドは自由に交代ができる。小学生年代のサッカーは多くの選手に出場機会を与えることが重要との考えから、より多くの選手がプレー経験を積むことができるしくみとなっている。
4日の予選リーグでは、3チームずつの4グループに分かれ、総当たりで対戦し、各グループの上位2チームが5日からの決勝トーナメントに進出。その決勝トーナメントを勝ち上がって、決勝戦に進出した2チームが5月の決勝大会に出場する。予選リーグで3位に終わったチームもフレンドリーマッチが組まれ、子どもたちは貴重な実戦経験を積んだ。
予選リーグ、決勝トーナメントともに熱戦が繰り広げられ、決勝に駒を進めたのは、過去3大会連続優勝しているベガルタ仙台ジュニア(宮城県/以下ベガルタ仙台)と青森FC U-12(青森県/以下青森FC)の2チーム。
ベガルタ仙台は予選リーグで、向中野FC(岩手県)に4−0、バンディッツいわきジュニア(福島県)に1−0で勝利し、Dグループ1位。決勝トーナメントでは準々決勝で山形FCジュニア(山形県)に3−1、準決勝でモンテディオ山形ジュニア村山(山形県)に5−1と順調に決勝の舞台まで登りつめた。2013年の決勝大会では全国優勝したこともある強豪で、昨年就任した、現役時代テクニシャンとして知られた永井篤志監督の下、技術を磨いてきた。
もう1チームの青森FCは、予選リーグでスポルティフ秋田(秋田県)に5−2、モンテディオ山形ジュニア村山には0−0の引き分けでBグループ1位。決勝トーナメントでは準々決勝で昨年準優勝の会津サントスFC(福島)に2−1、準決勝でバンディッツいわきジュニア(福島県)に2−1で勝利するなど、接戦をものにする粘り強さが見られた。
14時40分、決勝が始まった。第1ピリオドは互いに多くの決定機をつくり出したが、先制したのはベガルタ仙台。7分、右サイドからのクロスを庄司瑞人(4年)がゴールに押し込み1−0とリードを奪った。過去3大会連続優勝のベガルタ仙台が今回も優勢かに見えた。
しかし第2ピリオド、青森FCも粘りを見せる。2分にゴール前で越田一輝(5年)からパスを受けた三上昇暉(5年)がゴールを決め、同点に追いつく。ベガルタ仙台も5分に伊藤來輝(5年)のシュートをファーサイドで浅井桐哉(4年)がゴールに押し込み、再び突き放すが、第2ピリオド終了間際の12分、CKから青森FCの田中葵人(5年)がヘディングシュートを決めて同点に追いつき、2−2で第3ピリオドに突入した。
第3ピリオド5分、ベガルタ仙台は自陣でパスを回す中、バックパスが自陣のゴールに入ってしまい、オウンゴールという思わぬ形で青森FCが逆転。その後は、何とか追いつきたいベガルタ仙台の猛攻を青森FCがしのぐ展開となったが、ベガルタ仙台は9分、CKから浅利皐生(5年)がヘディングシュートを決めて追いつき、3−3のまま3分ハーフの延長戦へ。延長戦は互いに必死に攻めたが、ゴールは生まれず、試合はPK戦に突入。ベガルタ仙台の2人目がゴール左にPKを外すと、3人全員が成功した青森FCが激闘を制し、PKスコア3−2で5大会ぶり2回目の優勝を決めた。
現在、青森山田高でキャプテンを務め、年代別代表の経験も持つDF山本虎を擁した世代以来の優勝に、青森FCの伊藤豪監督は喜びもひとしお。「ハラハラドキドキしました」と激闘を振り返った。「相手は東北では頭一つ抜けていて、技術、走力、キックに優れ、良いサッカーをします。しかしリスペクトし過ぎるのも良くありません。自分たちの持っている力を全部出そうと選手たちに話しました」と、これまでの練習の成果を全てぶつけて勝利をつかみ取った。
そして苦しい時もボールをキープし、多くの決定機をつくったのが、昨年から主力として活躍してきた背番号10の鳴海善之介(5年)だった。「彼のお兄さんも6年前(5大会前)のチビリンピックに出て憧れもあったようです。上の学年と一緒にプレーしていた時は自由にやっていましたが、新チームになってからはリーダーシップをとるようになり、人間的に成長しました」と、伊藤監督はエースの成長を喜んだ。
鳴海自身は「決勝は絶対勝ちたいと思って臨みました。嬉しくて今まで努力してきた甲斐がありました」と語り、「自分が背負わなければいけない責任感もあったので、チームを支えて勝ちきれるように頑張りました。チームメイトが悔しがっている時も大丈夫だよ、次頑張ろうとプラスの声かけを頑張りました」とキャプテンシーを見せ、チームをけん引。決勝大会に向けては、「全国でも張り合えるような選手になって、みんなを目立たせてチームで優勝したい」と意気込んだ。
一方、4連覇を逃したベガルタ仙台の永井監督は、「PK戦で負けたのは問題視していませんが、3ピリオドで決着をつけられなかったのが残念」と語った。それでも、「常にミスを恐れずにしっかりやろうと言っています。(第3ピリオドで起きたオウンゴールの)ミスを取り返そうとプレーしたのは評価しています」と、自分たちのミスで逆転された後、全力プレーを見せて同点に追いついた選手たちを讃えた。
「今、選手たちは悔しいと思いますが、その悔しさを持って行く先は決勝大会です。昨年も出場したメンバーが結構いるので、勝つために何をしなければいけないかは肌で体感して分かっているはずです」。4連覇を逃した悔しさを決勝大会へぶつけて欲しいと、永井監督は願っている。
参加したどのチームの選手たちも元気でハツラツとしたプレーを見せてくれた。そうした東北のチームの代表として決勝大会で戦うベガルタ仙台、青森FC両チームの活躍と、今大会に出場した全ての選手たちが、今後の成長につなげてくれることを期待したい。
取材・文=小林健志
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