テスト中の主なトラブルはたったの1度。盤石の信頼性を武器に開幕戦に臨むルノーF1/全チーム戦力分析(5)

2019年3月9日(土)7時15分 AUTOSPORT web

 第2回F1バルセロナテストを終えて、徐々に新車の実力が明らかになってきた。今回はF1開幕戦オーストラリアGPに向け各チームの実力を数値化して分析。第5回目はルノーF1チームだ。


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■ルノーのチーム戦力
100点満点中80点
■テストでの最速タイム
3番手/10チーム中 1分16秒843(ヒュルケンベルグ/C5/3月1日午後)
■予想される本来の実力
4番手/10チーム中 1分16秒5(トップとの差±1秒)
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 2019年のルノーはワークスチームとして復活して以降、最も落ち着いてテストしていた印象が強かった。


 最大の理由は供給チームが3チームから2チームとなったこと。さらにここ数年、関係が悪化していたレッドブルへ供給する必要がなくなったため、ワークスである自チームを最優先してプログラムを立てることができたからだろう。


 そのことを物語っていたのは、各日の担当するドライバーだ。テストでは各チーム1台しか走らせることができない。したがって、チームは通常ふたりいるドライバーを1日ごと交代でテストさせる。


 1日にふたりを走らせるには、シートやペダルのポジションを変えることはもちろん、マシンのセットアップやパワーユニットのデータを調整するなど、やるべき仕事の量が増えるからだ。それでなくとも、新車によるテストではやるべきことが多いため、1日ごとにドライバーを交代させて走行させるチームがほとんどだ。


 ところが、今回のバルセロナテストで、ルノーは午前と午後でドライバーを交代させてテストを行うというプログラムを立てた。しかも、初日や最終日に限定することなく、8日間ともふたり体制を取ってきたのはメルセデスとルノーだけだ。これはルノーがワークスとしてF1復帰後4年目にして、チーム力がついてきた証左でもある。


 例えば、新車のテストでは、セッションスタートして走らせると、マシンにちょっとした不具合が見つかって、長い時間ガレージの中にとどまるというケースが起きることは珍しくないが、それでは午前を担当するドライバーがほとんど走れず、ふたり体制をとる意味はなくなる。


 1回目のテストでは2日目の午前中にDRS稼働中にリヤウイングのアッパーフラップが外れるという不具合を発生させて、そのセッションを担当していたダニエル・リカルドの周回数は28周にとどまったが、トラブルはそれぐらいで、2回目のテストではメルセデスの580周(2699.900km)に次ぐ、528周(2457.840km)を走破してみせた。


 もうひとつ、ルノーが今年ふたりのドライバーを1日の中で交代で走らせることができたのは、ふたりのドライバーのレベルが同じように高かったからだ。


 リカルドの加入はルノーにとって、テストプログラムだけでなく、シーズンを通した戦いにおいてもプラスとなるだろう。その中で最も期待されるのが、ヒュルケンベルグの覚醒だ。

ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)


 ヒュルケンベルグが、優勝経験者をチームメイトに迎え入れて戦うのは、ルーキーイヤーの2010年(ルーベンス・バリチェロ)以来となる。デビュー以来158戦表彰台未登壇出走記録の歴代1位保持者であるヒュルケンベルグが、7回の優勝と29回表彰台に上がった経験を持つリカルドをチームメイトに迎え、不名誉な記録に終止符を打つ日が訪れても不思議はない。


 最終日にヒュルケンベルグが記録した1分16秒843は、ハミルトンよりも遅い午後5時過ぎだったことを考慮すると、まだ伸び代はある。


 心配なのはロングランはしているが、いわゆるフルレースシミュレーションをやった形跡がないこと。コンセプトを変えた2019年型F1パワーユニットの『E-Tech 19』に信頼性のトラブルが起きなければ、2018年同様、中団グループをリードしていくことは間違いないだろう。


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