レスリングのパワハラ疑惑 吉田と伊調は一歩も引けない関係

3月9日(金)11時0分 NEWSポストセブン

パワハラ告発の目的はどこに

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 オリンピック4連覇を成し遂げた女性レスリングの伊調馨選手(33才)に対するパワハラ疑惑が、『週刊文春』で報じられた日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57才)。疑惑のきっかけは、1月18日に内閣府の公益認定等委員会に提出された告発状だった。


「2004年のアテネ、2008年の北京で金メダルを獲得した伊調が、北京後の2009年に、高校時代から指導を受けた栄氏のもとを離れて拠点を東京に移し、別のコーチに師事した。その頃から、“伊調の指導をするな”など栄氏からの圧力が始まったと記されています」(スポーツ紙記者)


 伊調を指導したのは、アテネ五輪で銅メダルを獲得した田南部力コーチ(42才)。2009年当時、全日本男子のコーチを務めており、伊調は田南部氏のつてで男子選手に交ざっての練習を続けた。


「伊調は2012年のロンドンで3連覇を果たしましたが、その後、パワハラはひどくなり、全日本男子の合宿への参加も栄氏らによって妨げられるようになったとされています。2016年のリオ五輪で伊調が4連覇した際には、栄氏が“吉田(沙保里)の4連覇より、伊調が負けるところを見たい”という趣旨の発言をしたと告発文に記されており、埋めがたい溝ができていたようです。リオ後には、伊調は田南部氏が所属する警視庁レスリングクラブの出入りも禁止に。同時に、田南部氏も警視庁と全日本男子のコーチを外されたとされています」(前出・スポーツ紙記者)


 伊調の練習場を奪い、コーチへ圧力をかけたというのが、栄氏の疑惑の要点だ。伊調が達成した五輪4連覇は女子の個人種目で史上初。次回東京五輪では前人未踏の5連覇も期待されていたが、告発の内容が事実ならば、記録更新は不可能だろう。


◆密度が濃すぎる師弟関係


 告発状は五輪経験者を含むレスリング協会関係者からの依頼で弁護士が作成したものだが、当事者である伊調自身は《『告発状』については一切関わっておりません》とコメントしている。


 何が目的なのか、真実はどこにあるのか──。取材を進めると、栄氏の愛弟子である吉田沙保里と袂を分かった伊調馨、国民栄誉賞選手2人の相関が浮かび上がってきた。レスリング関係者が明かす。


「吉田と伊調のスター性を利用した場外乱闘ですよ。吉田の成績と共に認められた栄氏と、コーチとベッタリするのが嫌いな伊調と距離を置きつつうまくコントロールして名をあげた田南部氏のいわば代理戦争です。吉田と伊調の仲は悪くはなかったのですが、今や両者とも一歩も引けない状況だと思います」


 双方、コーチとの結びつきは強い。



「栄氏は、練習時は鬼のように厳しい半面、普段は奄美大島なまりで選手に冗談を飛ばすことも多い。吉田とは夫婦漫才の域です。選手たちのためにローンを組んで寮を作ったというのは有名ですが、特に吉田には練習場を離れても異常なまでに心血を注いできました。2010年頃に住んでいた愛知県内のマンションでは吉田と栄氏は隣同士の部屋を購入して住んでいましたし、2016年頃に引っ越した際も、別のマンションでお隣さん同士でした」


 一方、伊調と田南部氏もまた、強力な信頼関係で結ばれている。


「もともと、伊調は姉の千春も含めて群れないというか、孤高の求道者のような存在でした。現在のレスリングが西日本で隆盛なのに対して、青森出身だったというのもうまく溶け込めなかった原因だったのかもしれません。伊調は、合宿や遠征時に吉田たちとは別々の行動を取ることが以前から多かったです」(別のレスリング関係者)


 学生時代や全日本で指導は受けていたものの、伊調と栄氏では目指すものは同じ勝利でも、競技への考え方やアプローチの仕方は決定的に違っていた。練習法や試合の戦略も、栄氏の指示に従わないこともあったという。


「対して、田南部氏は現役時代から超ストイックで、チームの輪や協調よりも個人の能力を伸ばすことに力を注ぐタイプ。北海道出身で、伊調と地元が近かったのも波長が合った要因だったんでしょう。吉田と栄氏のように、いつも一緒というわけではありませんが、伊調と田南部氏の信頼関係もより強くなっていた」(前出・別のレスリング関係者)


 コーチと選手に当然相性はある。吉田は栄氏と相性は抜群だったが伊調は違った、そんな単純なことだったはずだ。しかし、2015年に栄氏がレスリング協会の強化本部長に就任したことで、一気に雲行きが怪しくなったという。


「それまで女子だけを見ていた栄氏が、男子も見るようになったわけです。何人も五輪に送り込んでメダルを取ってきた実績を考えれば当然でしょうが、男子の関係者からは、“練習方針には口を出すくせに、結局は女子選手の強化しか頭にない”という不満が出るようになった。今回の告発は、栄氏の権力を弱めようという動きの表れだと思います」(前出・別のレスリング関係者)


 リオ五輪で、吉田が銀メダル、伊調が金メダルという結果も影響を及ぼした。


「リオの結果が出た瞬間、階級は違えど単純にいえば“吉田より伊調が上”ということになり、同時に、“指導者としての能力は田南部氏の方が上”と、栄氏との序列が逆転した。スポーツの世界では、指導者の実力は選手の実績で判断されます。吉田も伊調も、それは充分理解していたと思います。自分が勝てばコーチの名声に繋がるし、負ければ名誉に傷がつく。つまり、お互いのコーチを“男”にするための闘いだった。伊調は勝って、吉田は負けた。そこから今回の告発状という場外乱闘にまで発展してしまったのでしょう」(前出・別のレスリング関係者)


 伊調や栄氏には、近日中に第三者による調査が行われる。


※女性セブン2018年3月22日号

NEWSポストセブン

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