“崖っぷち”からの脱却なるか。ジュリアーノ・アレジの個人アドバイザーに片岡龍也が就任

2023年3月10日(金)21時55分 AUTOSPORT web

 3月6〜7日に鈴鹿サーキットで行われたスーパーフォーミュラの第1回公式合同テスト。今シーズンはドライバーの移籍は比較的少なかったものの、エンジニアとの組み合わせの変更や、チームの監督が変わるなど新たな動きも見られた。


 そんな中、VANTELIN TEAM TOM’Sのピットには、昨年までdocomo business ROOKIEの監督を務めていた片岡龍也の姿があった。今季はジュリアーノ・アレジの個人アドバイザーとして、スーパーフォーミュラの各大会に帯同するという。


 このテストでも2日間トムスのピット内にいることが多かったため、一見するとトムスからのオファーなのかと思われたが、あくまでジュリアーノ個人からの依頼とのことで、片岡はトムスのチームウェアではなくTOYOTA GAZOO Racingのウェアを着てテストに臨んでいた。


 ジュリアーノは2021年に全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦するかたわら、当時WECのドライバーも務めていた中嶋一貴の代役としてスーパーフォーミュラにも参戦を開始し、同シーズンの第3戦オートポリスでは初優勝を飾るなど、鮮烈なデビューイヤーを過ごした。


 初のフル参戦となった2022年は更なる活躍が期待されたのだが、第2戦富士での8位(3ポイント)を獲得して以降、入賞を逃す結果となり、シーズン終盤には翌年のシートはないのではないかという噂まで流れた。


 最終的に今年もレギュラーシートを獲得できたのだが、自身のパフォーマンス向上を目指すため、片岡に白羽の矢が立ったというわけだ。


「本当は昨年12月のルーキーテストから来てほしいと言われたけど、所属が向こうに残っていたので……」と話す片岡。彼の現場に帯同するのは今回が初めてとなったが、早速課題となる部分は見つかっているようだ。


「ちょっとまだ悩んでいるところも多いですし、課題もはっきり見えてきた感じです。昨年のいろいろなデータを見せてもらって、なんとくなく問題はここかなというのは見えていきました」


 片岡はテスト中、ジュリアーノのドライビングだけでなく無線のやりとりも逐一チェックし、気になったところをアドバイスしていた。


「事前にミーティングはしていますけど、まだそこに課題がちょっとあるなという感じです。まずはドライビングの部分もそうですし、日本のレースはエンジニアと二人三脚でやっていかないといけない中で、多分今まではそういうことをしていなかった分、表現力とか、どこが必要で不必要かというところが、まだ自分で判断しきれていないところがあります」


「そこは(僕に)キャリアがある分、『今のコメントはいらない!』とか『もっと、こういうことを言って』というのをアドバイスしています。トップカテゴリーではあるんですけど、日本でレースをやる上での、比較的初歩になるところを確認しながら進めています」


 ドライビングやチームへのフィードバックの仕方はもちろん、精神面でのケアも行なっている。


「昨年は、ジュリアーノ自身がもっといけると思っていたなかで、うまくいかなかったので、どうしても焦りがドライビングに出てしまっています。そういう意味では、落ち着かせるところは落ち着かせて、足りないところはブラッシュアップというか、ビルドアップしながらやっているという感じです」


「もちろん才能あるドライバーなので、何か独特なクセみたいなものを攻略して掴めれば、一気に結果が出るのではないかなと思っています」と分析する片岡。冷静に現状を見極めて、ジュリアーノが成長するきっかけづくりに取り組んでいる様子だ。


 できれば、サーキット以外でもミーティングやシミュレータートレーニングなどを一緒に行えるのがベストなのだが、片岡自身もスーパーGTやスーパー耐久、インタープロトシリーズなどさまざまなカテゴリーに関わり多忙を極めていることもあって、実現できていないことも多いとのこと。


 それでも「事前のミーティングにはできるだけ参加するようにしていますし、走り終えた後もデータやオンボード映像を解析しながら、やるべきことを進めていっています」と片岡。


「彼自身も感じていると思うのですけど、今は非常に崖っぷちの状況で、日本でレースを続ける上で、今シーズンは非常に大事になります。藁にもすがる思いで、僕も頼まれているので、少しでも力になれればなと思っています」


 そのためにも、友達付き合いの延長としてではなく、仕事として帯同すると決めている片岡。「どちらかというと(ジュリアーノとは)友達というところのノリが強いのですけど、これに関しては仕事だから、ちゃんと(お金を)ペイしてもらってやっています」という。


 元F1ドライバーであるジャン・アレジの息子ということで、来日当初から大きな注目を集めているジュリアーノ。片岡がアドバイザーに就任することは、ヨーロッパにいる家族に報告済みのようで、片岡も「直接はないですが、ジュリアーノは毎日お父さんと連絡しているので、今シーズン僕が帯同することになったことに関しては、お父さんにとっても安心材料になっているようです。その期待を裏切らないようにしたいなと思います。少しでも早くきっかけを掴みたいなと思います」と気を引き締めていた。

ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S) 2023スーパーフォーミュラ公式合同テスト 鈴鹿

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