元世界王者に見せつけられた“差” MMAから参戦のガヌーが語った衝撃KOの瞬間「パンチをもらったとは感じなかった」

2024年3月10日(日)12時19分 ココカラネクスト

ジョシュアの一撃を食らい、リングで呆然とするガヌー。どれだけの衝撃であったかはこの表情が物語る。(C)Getty Images

 やはり何事も極めた人には敵いはしない。現地時間3月8日にサウジアラビアの首都リヤドで実施された元WBA、IBF、WBO世界同級統一王者で、現WBC、WBO1位のアンソニー・ジョシュア(英国)と、米総合格闘技団体『UFC』の元同級王者で、WBC世界同級10位のフランシス・ガヌー(カメルーン)によるボクシングマッチは、まさにそれを体現していた。

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 それは他でもない当人も実感していた。

 序盤からジョシュアに圧倒されたガヌーは、1回に右ストレートでダウンを奪われると、2回にも右ストレートからの左フックを被弾してダウン。グロッキーとなりながらも何とか立ち上がったが、眼前に立ちはだかった英戦士の勢いに成す術なし……。再開直後に繰り出された右ストレートをこめかみ付近にもろに受け、リングに膝から崩れ落ちた。

 試合後のリング上でジョシュアから「ボクシングを辞めないでくれ。俺はあなたを誇りに思っている。何かあったら言ってくれ」と言葉をかけられたガヌー。ボクシング参戦後に初の敗北を知った巨漢戦士は会見で「あれは綺麗な、完璧な一撃だった」と吐露。救護班が駆けつけるほどの衝撃があった元ヘビー世界統一王者からの右ストレートを回想した。

「実際のところパンチをもらったとは感じなかったんだ。でも、ノックアウトっていうのはそういうものなんだ。まるで痛みを感じない。でも、ノックアウトされたとわかるんだ。今日は俺の日じゃなかった。最悪だけど、それが試合ってものさ。遊びじゃない。試合なんだ」

 昨年10月にボクシング界に電撃挑戦をしたガヌー。初陣ではタイソン・フューリー(英国)には大健闘の末に判定負け。そして今回のKO負けと連敗を喫した37歳は、今後も挑戦を続けるのか。彼はこう語っている。

「(総合格闘技との)両立はできると思っている。けど、今はいったん家に帰って物事を整理しようと思うよ。でも、帰ってくるよ。危険なことをやっているのは百も承知だ。初めからトップの選手に挑んでこうなったんだ。今日は朝から地獄のような1日だった(笑)。もしかしたらMMAをやるかもしれないけど、まだ(ボクシング人生は)終わってはいない。絶対にね」

 負けっぱなしでは終われない。業界に驚きを提供したガヌーの意気込みに戦士としての矜持を見た。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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