「A代表基準の先にパリ五輪がある」 競争激化を予感させる初陣、まずは個々のレベルアップを

2022年3月10日(木)8時10分 サッカーキング

甲田英將 [写真]=川端暁彦

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 2024年のパリ五輪を目指す戦いがスタートした。7日から9日にかけて集まったU−21日本代表候補はこの合宿から指揮を執る大岩剛監督の下で汗を流し、最終日には横浜F・マリノスのエリートチーム(サテライトチーム)と初の対外試合も実施した。

 合宿初日、最初のミーティングで大岩監督は、選手たちにこう語りかけたと言う。

「A代表経由のオリンピックであり、オリンピック経由のA代表じゃない。A代表の合宿に参加した鈴木唯人やチェイス・アンリはいろんなものを感じたと思うので、それをスタンダードとしてわれわれもレベルアップしていこう」

 五輪代表の同世代の中で完結するのではなく、それを飛び越えてA代表基準に達していく選手が出てくること。「その先に五輪がある」ということを改めてシェアして合宿に臨んだ。リーグ戦開催期間中ということもあり、実質的なトレーニングは火曜日の1回だけ。しかも「強度は上げきれない」(大岩監督)難しい状況だったが、選手たちの意欲は外から観ていても感じられるほどに高く、活気のある練習となった。

 9日の練習試合では、月末に予定され、欧州組の合流も想定されるドバイカップ(UAE開催)に向けてのサバイバルレースも本格化。「何ができて何ができないのかを見極める」(大岩監督)ことを一つのテーマに、攻守で形の異なる複数のシステムを使い分けながら選手を起用。疲労の蓄積がある選手は20分程度の出場にとどめる難しい形にはなったが、攻守が噛み合う時間帯もあり、5−1の快勝となった。

 1トップで先発したFW藤尾翔太(徳島ヴォルティス)が2得点、途中出場で入ったMF鮎川峻(サンフレッチェ広島)も2得点を決めたほか、全年代を通じて初めての代表入りとなったFW小堀空(栃木SC)も後半にゴール。「すごくフレッシュな姿勢で臨んでくれた」と指揮官を喜ばせた。この小堀の得点をアシストしたMF宮城天(川崎フロンターレ)や前半のピッチで躍動を見せたMF平岡大陽(湘南ベルマーレ)も代表歴はそれほど多い選手ではないだけに、あらためて今後の競争激化を予感させる試合となった。

 また、二つ下の年代から参加したMF甲田英將(名古屋グランパス)が「(松木)玖生だったり、中野伸哉だったりは(同じ高校3年生でも)しっかりレギュラーを張っている。チームでもしっかりアピールしないといけない」と危機感をあらわにしたように、下の年代や今回招集されなかった選手、そして既に欧州でプレーしている選手にも実力者は数多い。チームとして練習できる時間は今後もほとんど取れないことが予想されるだけに、まずは競争の中で個々がレベルアップしていけるかが最大のポイントとなりそうだ。

 チームは3日間の合宿を経ていったん解散。月末には欧州組も加わる形で、初の海外遠征となるドバイカップU−23(UAE)、6月にはU−23アジアカップ(ウズベキスタン)、そして9月にはアジア競技大会(中国)と続いていくことになる。

取材・文=川端暁彦

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