独特なノーズ形状、鋭角フィンなど興味深いアイデア散見。巻き返しを図る中団勢に注目/全チーム戦力分析(8)

2020年3月11日(水)18時0分 AUTOSPORT web

 スペインのバルセロナ-カタロニア・サーキットで行われた2回のテストを終えて、各チームの新型マシンに様々な特徴が見えてきた。今回は2020年F1開幕戦オーストラリアGPに向け各チームの実力を数値化して分析。連載最終回はアルファロメオ・レーシング・オーレン、ハースF1チーム、ロキット・ウイリアムズ・レーシングの3チームだ。


■アルファロメオ・レーシング・オーレン


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■アルファロメオのチーム戦力:100点満点中80点
■テストでの最速タイム:1分16秒942 9番手/全10チーム中(ロバート・クビサ/C5タイヤ/テスト第2回目・初日午前)
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 全チーム戦力分析の最終回は、2019年シーズンのコンストラクターズ選手権8位のアルファロメオと9位のハース、そして最下位に終わったウイリアムズの3チームを一気に検証していきたい。


 まず、アルファロメオ。昨年の終盤戦から投入しているイカヒレ型スポイラーはC39も踏襲。その後方のノーズ下に吊り下げられているターニングベインの下端に1枚の別フラップが装着され、その前方に切り込みが入れられているのが興味深いアイデアだ。

アルファロメオ・レーシング・オーレンの2020年型マシン『C39』
イカヒレ型スポイラー(赤矢印)と、切り込みの入ったフラップ(水色矢印)


 前身のザウバーが先鞭をつけた、ユニークな3穴形状の鼻孔ノーズは今年も継続。ただし、中央の穴のみ長方形から逆三角形状に変更されている(IMG_2315.JPGの赤矢印)。またフロントウイングの上段のフラップが、昨年は小型と大型の2枚構成だったのが、今年は小型3枚構成に変更され、進化してきている。

(赤矢印)3穴形状の鼻孔ノーズ。中央の穴のみ長方形から逆三角形状に変更/(水色矢印)フロントウイング上段のフラップが3枚に変更


 今年はリザーブドライバーにロバート・クビサがウイリアムズから移籍してきたことも、マシン作りにはプラスとなるだろう。


■ハースF1チーム


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■ハースのチーム戦力:100点満点中81点
■テストでの最速タイム:1分17秒031 10番手/全10チーム中(ロマン・グロージャン/C4タイヤ/テスト第2回目・最終日午前)
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 次にハース。昨年はレースでのタイヤのマネージメントと空力のアップデートに苦しんだ。今年は、昨年の最終戦アブダビGPでロマン・グロージャンのマシンに投入する予定だったが、フリー走行でバルテリ・ボッタス(メルセデス)とクラッシュしてお蔵入りに終わってしまった「へ」の字型のフロントウイングにフラップを変更。

ハースの2020年型マシン『VF-20』。フロントウイングのフラップが「へ」の字型に変更


 またノーズは昨年までの親指型を踏襲しているが、昨年のシンガポールGPでフェラーリが進化させてきたように、親指ノーズの両サイドに底面を追加。ただし、フェラーリがイカヒレ型のスポイラーも追加してきたのに対して、ハースはイカヒレ型のスポイラーはプレシーズンテストの段階では投入してこなかったのが気になる。

親指ノーズの両サイドに底面を追加


 興味深いのはノーズ下に吊り下げられているターニングベインの底面に、サメの歯のような鋭角な小型フィンが増設しているところだ。

ターニングベイン底面に、サメの歯のような鋭角な小型フィンが増設されている


■ロキット・ウイリアムズ・レーシング


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■ウイリアムズのチーム戦力:100点満点中78点
■テストでの最速タイム:1分16秒871 7番手/全10チーム中(ジョージ・ラッセル/C5タイヤ/テスト第2回目・最終日午前)
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 最後はウイリアムズ。2019年のウイリアムズはコンストラクターズ選手権で2年連続の最下位に終わったが、すでに昨年後半から今年に向けて、空力パーツをどんどん進化させていた。2019年1年間で最もマシンのペースが上がったチームで、今年は中団グループの争いの輪の中に入ってくる可能性は十分考えられる。

ウイリアムズの2020年型マシン『FW43』


 今年のウイリアムズの新車『FW43』で最も特徴的なのは、後端がなだらかに後傾しているロールバックダウン型のサイドポンツーン。このほかにも、ウイリアムズはイカヒレ型のスポイラー、ブーメラン型の大型フィン、ハイマウント・サスペンションと、現在のF1のトレンドを積極的に採用している。まとめ方次第では、面白い存在になるかもしれない。

『FW43』のロールバックダウン型サイドポンツーン
イカヒレ型のスポイラー、ブーメラン型の大型フィン、ハイマウント・サスペンションなど現在のトレンドを積極的に採用


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