世界ラリークロス:2017、18年の2連覇王者ヨハン・クリストファーソンがシリーズ復帰へ

2020年3月13日(金)23時0分 AUTOSPORT web

 3月11日にWorldRX世界ラリークロス選手権の2020年エントリーリストが発表され、シーズン全10戦にエントリーする13名のドライバーが確定。2019年王者ティミー・ハンセン擁するチーム・ハンセン兄弟や、アンドレアス・バッケルド、リアム・ドーランの“モンスターエナジーRXカルテル”に加え、2017年、2018年にシリーズ連覇を達成したヨハン・クリストファーソンの復帰が決定した。


 WRC世界ラリー選手権元王者のペター・ソルベルグ率いるPSRXフォルクスワーゲン・チーム・スウェーデンに所属し、2017、18年と2年連続でWorldRXタイトルを獲得したクリストファーソンは、2017年に7勝、2018年は12戦中11勝と圧倒的な強さでシリーズを席巻した。


 そのキャリアと並行して地元スウェーデンではTCR規定に移行したSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権にもエントリーし、2018年には2度目のシリーズチャンピオンを獲得すると、2019年はPSRXチームのWorldRX撤退を受け主戦場をツーリングカーの舞台に移し、TCR規定最高峰のWTCR世界ツーリングカー・カップで戦ってきた。


 しかし、WTCRではこの2019年オフシーズンに「内燃機関を使用する全モータースポーツカテゴリーでのファクトリー支援を終了」としたVWグループの方針を受け、所属チームのSLR(セバスチャン・ローブ・レーシング)がシリーズでの活動終了を発表。


 ラリークロス時代から一貫してフォルクスワーゲンとの強いパイプを持ち、ゴルフやポロなどをドライブしてきたクリストファーソンとしても、2020年シーズンに向け新たな道を模索するか、慣れ親しんだラリークロス界へのカムバックを果たすか、その去就が注目されていた。


「ここ数カ月は本当に目まぐるしい期間になったし、このラリークロス復帰も一番簡単な決断ではなかった。僕には多くの選択肢があったけれど、でも今は本当に満足しているんだ」と、WorldRXカムバックを決めたクリストファーソン。


「たしかに、ラリークロスが僕の心の中心に位置しているのは間違いない。今は自分自身の全精力を、このWorldRXに集中したいと思っている」

PSRX時代のヨハン・クリストファーソンは、VWが開発したワークス仕様のポロR RXで連覇を達成
復帰決定の2020年はVolkswagen Dealerteam BAUHAUSからエントリー。KMSが開発したスペックを使用する
全10戦中5戦併催のEuroRXでは、引き続きソンドレ・エブジェンがKMSから出走し2台体制を敷く


■元2連覇王者はファミリーチームから参戦


 2020年WorldRXシーズンに向け、クリストファーソンはSTCCやスウェーデンの国内ラリー選手権でも活動母体としたファミリーチーム、KMS(クリストファーソン・モータースポーツ)からエントリー。『フォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウス(BAUHAUS)』として、父トミー・クリストファーソン代表のもとでカスタマー仕様のポロGTI RXスーパーカーをドライブする。


「現在のライバルたちに追いつくには数戦が必要だろう。僕の見立てでは、彼らは(自身が不在だった)この2019年の間にも大きく進歩を遂げたように見えるからね」と続けたクリストファーソン。


「でも、僕もラリーやツーリングカー・レースから多くを学んできた。それらのミックスこそ、このラリークロスという競技だからね。スパやアブダビのような新規トラックでの挑戦も楽しみにしている」


 ヨハンの父であり、チーム代表を務めるトミー・クリストファーソンは、このKMSはプライベーターであり、2020年に直面するであろう課題を「充分認識している」と、シーズンへの決意を語った。


「世界選手権のレベルで家族チームを運営するのは、想像を絶することだ。そのシートにはダブル世界チャンピオンが座るというんだから、プレッシャーはなおさらだよ。だからこそ早い段階で良い結果を得て、シーズン後半の追加サポートの機会を得たいと考えている」と、全10戦へのエントリーを予定するトミー代表。


「このマシンの開発拠点は(ドイツの)ハノーヴァーではなく(地元スウェーデンの)アルビカで、VWモータースポーツのサービスを受けようとすれば有償になる。しかしVWとの仕事は常に特権的なもので、開発部門とともに仕事をし、将来的にその一翼を担えれば良いね」


「それにラリークロスは“電動化”方針に最適なフォーマットであり、モータースポーツを通じた開発ほど実効性のある方法は他にないだろう。我々が現在も恩恵を受けている自動車という製品は、これまでもそうして研究開発が進められてきたんだからね」

2019年王者ティミー・ハンセンと弟ケビンを擁するチーム・ハンセンは、引き続きプジョー208WRXで戦う
GCKのルノー艦隊は陣営内でシャッフルやジョイントがあり、メガーヌ3台、クリオ2台がエントリー
Monster Energy RX Cartelのふたりは、EKS由来のアウディS1からGCKのルノー・メガーヌにスイッチする


■2020年シーズンは6メーカーがエントリー


 この他、FIAがリリースした2020年公式エントリーリストでは正規エントリーが5チーム、インディビデュアル登録3チームの全8チーム13名が記載され、プジョー、ルノー、セアト、ヒュンダイ、アウディ、そしてフォルクスワーゲンの6メーカーが名を連ねた。


 王者ティミー・ハンセンとケビンのハンセン兄弟は、引き続きチーム・ハンセンとしてプジョー208WRXスーパーカーで参戦し、タイトル争いを展開したバッケルドは僚友ドーランとともにモンスターエナジー“GCK”RXカルテルとして、EKS製のアウディS1からルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカーへとスイッチ。


 そのGCK創設者であるゲラン・シシェリは、リトアニア出身のロカス・バチスカと組みGCKアンコラプテッド(UNKORRUPTED)としてルノー・クリオR.S.RXスーパーカーを投入。さらにインディビデュアル枠としてGCK BILSTEINチームを登録し、3台目のメガーヌでスウェーデン人のアントン・マルクランドを走らせる。


 同じくパーマネント・インディビデュアル枠最後のチームもスウェーデンに拠点を置くチームJCレーステクニークで、2019年EuroRX王者のロビン・ラーソンがアウディS1でエントリーを果たす。


 その他、ALL-INKL.COMミュニッヒ・モータースポーツは、代表のレネ・ミュニッヒと元DTMドイツ・ツーリングカー選手権王者のティモ・シャイダーがセアト・イビーザRXスーパーカーで。ヒュンダイi20 WRXスーパーカーのGRXタネコは、引き続きニクラス・グロンホルムとティマー・ティマジャノフがステアリングを握る。


 このパーマネントドライバー以外にも、今後ラウンド・バイ・ラウンドの参戦ドライバー発表が予定されている。

昨季のベルギー・スパ戦でシリーズ初優勝を飾ったティマー・ティマジャノフはチームに残留
2019年EuroRX王者のロビン・ラーソンもステップアップし、WorldRXにフル参戦
転向組の元DTM王者ティモ・シャイダーは、すっかりRX界に定着。今季もミュニッヒから参戦が決定した


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