開催国としてEUROに臨むフランス。メンバー発表前最後の試合で“滑り込み”を狙う選手たち

3月14日(月)17時0分 フットボールチャンネル

ゼロではないEUROでのベンゼマ招集

“セックステープ事件”の影響で、ベンゼマをEURO2016に招集できない可能性が高まっているフランス代表。だが、そのほかの選手たちもポテンシャルも高く、各ポジションで本大会メンバー23人の枠を巡る争いは熾烈を極めている。

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 EURO2016開催まで90日を切った。今月末の国際親善マッチデーでフランスはオランダとロシアと対戦する。この2試合は5月12日に予定されている本戦出場メンバー発表前の最後の実戦、つまり、23人を絞る上で非常に重要な選考の場だ。

 3月12日発行のレキップ紙とのインタビューの中で、フランス代表のディディエ・デシャン監督は、本戦行きのメンバー構想はほぼ頭の出来上がっている、と話している。

 その上で、ここから5月までの間のコンディションや、パフォーマンスの好・不調を見極めて、足したり、引いたりの調整をして最終リストを完成させる予定だ。

 GKのロリスとマンダンダ、守備陣のバラン、コシエルニー、サニャ、エブラ、ディーニュ、中盤のキャバイエ、シュナイデルラン、ポグバ、マテュイディ、シソコ、攻撃陣のグリーズマン、ジルー、マルシャル。

 このあたりは怪我さえなければ確実に招集される鉄板メンバーだ。

 ここ最近の招集傾向からいってDFマンガラ、MFディアラ、FWジニャックらのメンバー入りも濃厚。

 あとは『セックステープ事件』の影響か心身ともに低調なバルブエナや、3年半の代表ブランクはあったが今季ニースで大活躍中のベン・アルファらが加わるかどうか、と言ったところ。

 関心事ナンバー1ともいえるベンゼマについては、「ノエル・ル・グラエ会長(FFF)次第」とデシャンは答えている。

「ベンゼマを招集したい」という言明を誘い出そうとするインタビュアーの誘導質問をうまくかわして、

「わたしの使命は最強のメンバーでフランス代表を構成すること。そのために必要な選手は確実に手に入れたい」と答えた。おそらくデシャン監督は、ベンゼマの謹慎処分を解くようル・グラエ会長を説得しているのだろう。

 予選でも大会でも、ビッグマッチではあまり得点のないベンゼマではあるが、「ビルドアップへの貢献度が絶大」とデシャン監督は彼を高く評価している。「素質もなく、数々の名監督のもと、レアル・マドリーのようなクラブで5年間もプレーできるはずはない」と。

 ベンゼマ出場の可能性は、確率的にはまだなんとも言えないが、ゼロでもないということだ。

プレミアで大活躍のパイエ、代表復帰はあるか

 一方、ここ最近の代表戦ではお声がかかっていないが、所属クラブでの活躍が目覚ましく、ユーロ出場はどうなるのかと気になる人材も浮上している。

 その筆頭が、ウェストハムに所属するMFディミトリ・パイエだ。

 昨シーズンのリーグ1のアシスト王(16アシスト)は、今季からプレミアリーグのウェストハムに加入し、すでに8得点と昨シーズンの7得点よりも多くの得点を挙げてチームのトップスコアラーに君臨している。

 ゲーム展開のペースがとにかく速く、独特のテンポがあるプレミアリーグにはすぐに馴染めない選手が多い中、入団直後から主力級のパフォーマンスを発揮しているパイエは、もともと持っていた素質がこのリーグに合っていたということだろう。

 スピードを武器に、前線を広く動いて攻撃に絡む攻撃的MF、あるいはウィンガー型のアタッカーで、高速ドリブルでスペースを引き裂いては相手ディフェンスを引きつけ、そこでフリーになった味方にすかさずパスを出す。よってボックス内での決定力が高いCFがいると彼の威力も十二分に生きる。

 昨シーズンのマルセイユには、ジニャックというフィニッシャーがいた。彼が決めたフィールドゴールのうち3分の1はパイエのアシストによるものだ。

 デビューシーズンにしてアップトン・パークのサポーターをすっかり魅了しているパイエには、さっそくチャントも作られた。

 歌詞の中には『ジダンよりすごいんだぜ♪』という一節もあるが、パイエ本人は「ジダンより凄いなんてありえない。おこがましい」と謙遜している。

 来たるユーロへのメンバー入りについては、「とにかくここで頑張るだけ。それで選ばれなくても後悔はない」と潔い。

 2014年のワールドカップでも本戦出場メンバーには選ばれず、そのとき「努力不足だった」と痛感したため、今回は悔いのないよう全力を出しきっているのだという。

 カリム・ベンゼマの招集が難しく、ジニャックを起用することになるなら、彼と相性の良いパイエの存在は有効なオプションだ。

人材豊富で激戦区となるアンカー

 パイエは過去にメディアに対して「なぜ自分が呼ばれないか理解できない」と発言し監督の心象を悪くしたことで、代表キャリアは終わっている、と報じるフランスのメディアもある。だが、チームにプラスをもたらす存在であれば、デシャン監督が選考の対象にするのは間違いない。

 ただ、サンテティエンヌやマルセイユ時代も、所属クラブでは常に好パフォーマンスを見せるが、そうして代表に呼ばれるとまったく同じ輝きが出せないのが彼の残念な特徴でもある。指揮官としては一発勝負のトーナメントで使うには、ギャンブル的な存在であるのも確かだ。

 そして、ブンデスリーガのウォルフスブルグに所属するジョシュア・ギラボギ。
守備的MF、あるいはピッチの中央で攻守の切替を担うポジションを定職とする。

 デシャン監督はパワーと俊敏さを兼ね備えたギラボギに早くから注目し、22歳だった2013年の夏にはフランス代表に招集し、親善試合のブラジル戦では先発で起用している。

 しかし翌年の本戦では、直前に右腿のハムストリングを負傷してメンバー入りは叶わなかった。

 育成クラブのサンテティエンヌからアトレティコ・マドリーに移籍した後、昨年からウォルフスブルグに2年間のローン中で、リーグ、欧州カップ戦とも主力として出場回数を重ね、安定したパフォーマンスを見せている。

 彼の場合、問題となるのはレ・ブルーの同じポジションにすでに人材が豊富なことだ。キャバイエを筆頭に、マンチェスター・ユナイテッドでレギュラーのシュナイデルラン、そして、今季マルセイユに加入して以来、ハイレベルのパフォーマンスを持続している31歳のベテラン、ラサナ・ディアラもいる。

 ディアラは5年ぶりに招集された昨年10月のアルメニア戦で先発フル出場し、周囲をあっと言わせる質の高いプレーを披露した。PSGで同じポジションを務めるチアゴ・モッタもつい最近「このポジションで彼は現在世界トップクラス。どのチームも彼のようなプレーヤーを必要とする」と絶賛している。

レンヌで爆発中の“ラッキーボーイ”候補

 今大会ではディアラの経験を重視し、若いギラボギはユーロ後のW杯予選から、という策も、2018年まで契約を延長したデシャン監督の脳裏にはあることだろう。次回のロシア大会でも27歳と、ギラボギはまだこれから先がピークだ。

 国内組では、レンヌで9得点と18歳にしてチームのトップスコアラーのウスマン・デンベレも注目の的だ。つい先日のナント戦ではハットトリックを決め、彼の招集を望む声は日増しに高まっている。

 スピードスターで、単独ドリブルからマーカーを振り切ってゴールを決めるのが得意のパターンだが、まだ荒削りで、自分のフォームも完成されていない感じだ。ただ、ゴールへのどん欲さとあれこれ考えずシンプルにプレーする活きの良さがうまく回っている、いわゆる“持ってる”男。

 デシャン監督も彼については観察を続けていると語っている。

 ビッグな大会ではラッキーボーイが登場するものだが、往々にして彼らはそのときの「旬」の選手だったりする。

 能力に加えて、その選手がその時味方につけている「運」や「勢い」を同時に呼び込むことも、チーム選考にとってはひとつの重要な要素だ。

 3月の親善試合、デシャン監督はどのようなメンバー表を用意してくるだろうか。

フットボールチャンネル

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