ついに開花した堂安律。急成長で欠点克服、進化する19歳がハリルJの切り札に?

3月14日(水)10時42分 フットボールチャンネル

迷いがあった開幕直後。ぶつかった欧州の壁

 ロシアワールドカップまで約3ヶ月。徐々に日本代表メンバーは固まりつつあるが、まだ招集されていない選手たちの中にも目覚ましい成長を遂げ、虎視眈々とチャンスを狙う者がいる。開幕直後の停滞が嘘のような驚異的な進化を遂げ、オランダ1部のフローニンゲンで中心選手となった20歳の堂安律はロシアの地で日本の切り札になれるだけの巨大なポテンシャルを開花させつつある。(取材・文:中田徹)

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 欧州挑戦1年目となった今季、オランダ1部リーグ開幕戦でスタメンデビューを果たした堂安律だったが、思うようなパフォーマンスを発揮できず、第2節のアヤックス戦はベンチに座ったままだった。後に堂安は「開幕戦は、ただただ緊張してました」と振り返っている。結局、第6節までは試合に出ることが出来なかった。

 冬にも一度、堂安には苦しい時期があった。第14節のADOデンハーグ戦で今季2ゴール目を決めた堂安だったが、実際にはボールタッチのフィーリングが悪く、調子が下り坂であるのを感じていた。そして豪雪の中で行われた第15節のローダJC戦(12月2日)で調子を完全に落とし、第17節のエクセルシオール戦は発熱で休むことになった。

 今季のフローニンゲンは、なかなか思うようなサッカーが出来ず、堂安も守備に奔走する時間が長かった。「このチームに、果たして自分は合うのかな……」と思ったこともあったという。
 
 壁にぶつかるごとに、堂安は強くなっていった。第27節を終えて、堂安が決めたゴールは6つ。この数字は、ミムン・マヒの7ゴールに次ぐ、チーム2位タイだ。今やフローニンゲンの攻撃は、堂安とマヒの2人に頼っている。

 夏のプレシーズンマッチで、スペインのグラナダと戦った後、堂安はこう自己分析していた。

「今まで自分は相手を跳ね除けて、ゴリゴリ行けた。しかし、今日の相手は腕が強く、逆に跳ね返されてロストした。あのワンプレーが『これが強さか』と感じました。ただ、これまで自分は“上の世代”でやることが多かった分、最初は出来ないことがあるけれど、慣れるスピードが速いタイプなんです。だからまず、試合に出ることに意味があると思う」

倒されても立ち上がる。不屈の精神で急成長

 つまり、オランダリーグの開幕戦、フローニンゲン対ヘーレンフェーンの時の堂安はまだ、“上の世代”に昇格して戦ったユースプレーヤーの19歳だった。そんな堂安にとって、ここまで27節中22試合1665分間プレーした経験は、スポンジが水を吸い込むように力となった。

 フローニンゲンでの“1665分”の意味は、堂安にとって重い。2016年のJ3で、ガンバ大阪U-23の一員として、堂安は21試合1877分間出場し、10ゴール7アシストという素晴らしい結果を残したが、「あの時のチームには『律にボールを預けろ』という意識がありました」という。翌年、J1では10試合547分間と出場機会が伸びず、しかも、周囲のレベルが高いため、周りにお膳立てをしてもらいながらプレーをしていた。

 フローニンゲンでの堂安は、J3の頃のような信頼が最初からあったわけでなく、J1のように気の利いた選手に囲まれてプレーしているわけでもない。相手に押し込まれる苦しい時間帯が続く中、わずかなプレー機会で己を証明しながら、堂安はチーム内でのステータスを上げていったのだ。

 堂安の話を聞いていると、頭の中に2つのシナリオを用意していることが分かる。開幕の頃の堂安はチームをチャンピオンズリーグに導くくらい活躍してみせるという意気込みがあった。「苦労しようと思ってオランダに来ているわけではない」。そう言ったこともある。しかし、「もし困難にぶつかったら、挫けず折れずに頑張ろう」という思いも同時に持っていた。

「開幕の頃の自分と、今の自分は違う」

 今年2月のフェイエノールト戦のように、試合はすでに0-3となって勝ち目がなくても、諦めたチームの雰囲気に巻き込まれずに、自分は最後まで楽しんでプレーしようと心がけ、タイムアップのホイッスルが鳴った後は「チームはともかく、自分は楽しんでプレーできた」と充実した表情を見せていた。マッチアップしたのはカリム・エル・アーマディ。ロシアワールドカップにも出場するであろうモロッコ代表MFと互角以上に渡り合えたことに、堂安は手応えを掴んでいた。

「もう開幕の頃の自分と、今の自分は違う。間違いなく成長しています」

 そう、堂安は言い切る。彼には「試合から消える時間帯が長い」という欠点があった。しかし、最近3試合の堂安は、守備での貢献度がすこぶる高く、仮にボールタッチが少なくても試合に関与し続けることが出来るようになった。これも、欠点の解決策の一つだ。

 開幕戦は緊張し、試合のレベルについていけなかった堂安だが、課題の解決能力はものすごく高い選手だ。2列目なら右・中央・左とどこでもこなせ、その左足はクリエイティビティとシュートのパンチ力が備わっている。上背はないかもしれないが、フィジカルの強さは自慢の武器だ。

 堂安は、即戦力というよりも、少し中・長期の目を持ってA代表に呼んでみたい選手だ。彼の成長の速さを鑑みれば、もしかしたらロシアワールドカップに出場する日本代表へ滑り込むことが出来るかもしれない。 

(取材・文:中田徹【オランダ】)

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