「ふたを開けてみないと分からない」2022年王者TEAM IMPULは岡山公式テストを淡々とこなす

　3月11〜12日、岡山国際サーキットで行われたスーパーGT公式テスト。GT500クラスでも各チームがそれぞれのテストメニューをこなし、開幕に向けて準備を行っていたが、総合結果を見るとホンダNSX-GTがワン・ツーを占め、3メーカーの中でも少し抜け出ているのではないかという声も聞こえてきたが、GT500クラスのディフェンディングチャンピオンであるMARELLI IMPUL Zの平峰一貴とベルトラン・バケットは、シーズン開幕に照準を合わせ、淡々と自分たちのテストメニューをこなしていた。

　2022年、27年ぶりのチャンピオン獲得を果たしたTEAM IMPULは、今季カーナンバー1をつけ大きな注目を集める中で臨む。そんなシーズンに向けて、ドライバーに手応えを聞いた。今回の公式テストは天候に恵まれたこともあり、各車とも2日間でかなりの周回数を走り込んでいたが、MARELLI IMPUL Zも合計で246周を走破し、初日には総合5番手、2日目は総合8番手のタイムとなった。

「正直このタイミングで勢力図を把握するのは難しい。それぞれのチームで異なることをやっている。でも、僕たちとしてはリザルトも悪くない」そう語るのは、TEAM IMPULで2年目となるベルトラン・バケット。1号車としては手応えあり、課題ありの岡山テストになったようだ。

「1周のペースは良いと思うし、ロングランのペースは課題があったけど、だいたい原因はつかめているから、そこも改善されるだろう。来月ここで行われる開幕戦までにできることをやって、現状でトップだとは思っていないけど、ライバルとの差は大きくないと思っている」

　また今季から導入されるカーボンニュートラルフューエルに関しては「悪くないと思っているよ。エンジンのフィーリングやパワーに関しても良いと思っている。ニッサンもしっかりと対応しているから、今のところ僕たちは大きなトラブルに見舞われていない」と語った。

「GT300の一部のチームは苦戦しているようで、コース上でも煙を上げながら走っているけど、僕たちに関しては今のところ新燃料に対して不満はない」とバケット。特にネガティブな印象は持っていないようだ。

　それでも、冬のメーカーテストから好調な走りをみせているホンダ勢に対する印象について、バケットも「彼らは速いね！」と即答。「今年はどんなコンディションでも、安定して速いと感じている。冬のテストは当然速かったし、暖かくなったテスト1日目でもホンダ勢がリザルトの上位を占めていた。今年は空力パーツの変更があまりできないから、エンジン面が良くなってきたのか……詳しいことは分からないけど、彼は手強いという印象だ」と、ライバルの動向をかなり警戒していた。

　初のスーパーGTチャンピオン獲得ということで、冬の間も周囲から祝福されることが多かったというバケット。「今シーズンも（平峰）一貴とともにタイトルを防衛したいけど、ライバルが昨年以上に強くなっているから、タフなシーズンになるだろう。だけど、チャレンジしていかないといけないから、僕たちのベストを出して、2年連続のチャンピオンを狙っていく。ライバルは手強いけど、僕たちも底力を持っているということは確実に言える。ロングランに関しては改善が必要だけど、一貴やエンジニアらと分析を進めて、開幕戦に備えたい」と気合は十分だった。

　一方、チームメイトの平峰一貴にもテストでの感触を聞くと「ぼちぼちです。結局は、ふたを開けてみないと分からないですね」と、バケットとほぼ同意見のコメント。その中でも、2日間を通してトラブルなく順調にメニューをこなせていることについては、ポジティブに捉えていた。

「大きなトラブルもなかったですし、チームもちゃんとクルマを作ってきてくれたので、メニューはしっかりとこなしていけたので良かったかなと思います」

　ライバルの仕上がり具合については「ホンダが速いのはたしかだと思います」と断言していた平峰だが、「もしかすると（開幕戦の岡山は）僕たちが追いかける立場になるかもしれません。実際のところは、自分たちが速いのか遅いのかは、まわりのみんながどのくらいの余力を持っているのかは、シーズンが始まってみないと分からないです。その中でも、やるべきことをしっかりやっていきたいです」と、あくまでもまわりを気にするのではなく、開幕戦までは自分たちのテストメニューに集中したいという様子だった。

　冷静に現状の立ち位置を分析しているように見えたふたりだが、特に楽観視も悲観視もしていない様子なのが印象的だった。シーズンを通してみると、今年も手強い存在となるのかもしれない。