2戦連発中の乾貴士…アラベスで好調の理由を探る

2019年3月15日(金)19時15分 サッカーキング

アラベスで活躍する乾貴士 [写真]=Getty Images

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 日本代表MF乾貴士が、新天地アラベスで強烈なインパクトを残している。3年間過ごしたエイバルに別れを告げ、昨年夏に加入したベティスでは不遇の時を過ごした乾だが、この冬のマーケットでローン移籍したアラベスでは5試合連続でスタメン出場。とりわけ、3月に入ってからは2試合連続ゴールを記録するなど、前半戦の鬱憤を晴らすかの如く躍動している。

 リーグ戦で3試合連続完封負けを喫していたチームも、アジアカップを終えて合流した乾が出場し始めてからは、2勝3分と完全に復調。7位まで落ちていた順位もヨーロッパリーグ出場圏内の5位まで回復するなど、乾の加入効果は明らかだ。失意から復活を遂げた乾の、好調の理由を探ってみたい。

■エイバル時代のフィーリングを取り戻せた

 乾が新天地で持ち味を発揮できているのには複数の要因があるが、アラベスというチームの戦い方が、自身が慣れ親しんだエイバルのスタイルに近いことが最も大きいだろう。3バックのシステムを採用し、ボールポゼッションを軸に戦うベティスでは、ペナルティエリア付近の狭いスペースでの決定的な仕事という、持ち味とは異なるプレーが求められた。だが、4バックのシステムを採用し、カウンターを軸に戦うアラベスでは、比較的スペースがあるサイドで攻撃の起点になっており、エイバル時代に近いフィーリングを得られる。

 地元紙の『ディアリオ・バスコ』も、乾が新たな環境に違和感なく適合できた背景として、「エイバルでホセ・ルイス・メンディリバル監督の下で戦っていた時と同じように、アラベスでもアベラルド・フェルナンデス・アントゥーニャ監督のフィロソフィーにフィットしている」と挙げている。

■スムーズだった、チームメイトとの関係構築

 また、早々にチームメイトと良好な関係を築けたことも、伸び伸びとプレーできている大きな要因だろう。「イヌイはロッカールームの人気者だ。チームメイトの“いじり”からは逃れられていないが、一人の選手として迎えられている」と同紙が明かした通り、補強の目玉として特別視されることなく、自然にチームに溶け込むことができているという。

 この事はピッチ上でも顕著に現れており、とりわけチームの看板選手であるスペイン人MFホニーとの関係は特筆すべきものがある。乾はこれまでフランクフルトやエイバルで務めてきた左サイドのアタッカーではなく、右サイドで起用されるであろう点が懸念されていた。だが、逆サイドのホニーと臨機応変にポジションチェンジを行うことで、攻撃に流動性をもたらしながら、効果的なプレーができている。

 二人はこれまで何年も一緒に戦ってきたかのような連係を見せており、実際、乾が挙げた2ゴールは、いずれもホニーのアシストによるものだ。現地9日のエイバルとの一戦でも、セットプレーのキッカーであるホニーが、サインプレーで度々乾にシュートを狙わせたことからも、両者の間の厚い信頼が伺える。攻撃の要との相互理解をいち早く構築できたことは、乾にとって非常に心強いことだろう。

 攻撃力不足解消の切り札としてアラベスに迎えられた乾だが、ゴールという最高の結果を残し、アスレティック・ビルバオに引き抜かれたスペイン人MFイバイ・ゴメスの穴を補って余りある活躍を見せている。相手GKを完全に欺いたエイバル戦でのゴールは、大手紙の『アス』をもって「アニメの世界のようなゴール」と言わしめるなど、手厳しいスペインのメディアを唸らせた。再び輝きを放ち始めた乾から、ますます目が離せない。

文=北村敦
写真=Getty Images

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