岡崎慎司に漂う“危険な臭い”。「怖さが出た」ストライカー、さらなるゴールへの期待感【現地レポート】

3月16日(水)11時20分 フットボールチャンネル

劇的オーバーヘッドで脚光を浴びた岡崎。目指すは「10得点以上」

 日本代表FW岡崎慎司は、ニューカッスル戦で劇的なオーバーヘッドによるゴールを決め、世界中から脚光を浴びる存在となった。そして、レスター・シティはいまだ首位に立っている。しかし、岡崎がプレミアリーグで決めた得点は5点。さらなるゴールを奪うために、岡崎の中には周囲も驚くほど意識の変化が見られていた。自らも「怖さが出てきた」と語った岡崎には、ストライカーとして危険な臭いを漂わせている。
(文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 )

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 直近のリーグ戦、第30節の対ニューカッスル戦では、勝負を決する劇的なオーバーヘッドで日英のみならず、躍進レスターに注目する世界中のメディアからも脚光を浴びた岡崎慎司。

 シーズン佳境に入る3月中旬時点だが、大方の予想を反していまだに首位をひた走るレスターにおいて、今季がプレミアリーグ初挑戦となる岡崎は28試合に出場。そのうち先発起用は21試合で、直近のリーグ戦は10戦連続スタメンを飾っている。いわば、暦が新しくなって以来、11戦中10試合で先発ラインナップに名を連ねているわけである。

 はたから見ればレギュラーを奪った感もあるが、本人は「いつでも代えられる可能性がある」と常に危機感を持ってプレーし続けている。そんなストライカー岡崎慎司にとっての最大の悩みの種は、やはりゴールの少なさである。

 開幕から一貫して、起用される際は4-4-2の2トップの一角となるセカンドトップ。重要な試合でスーパーゴールを放ちチームを勝利に導いたとはいえ、ホームでの得点は先日のニューカッスル戦が初だった。さらに総得点数にしても、シーズンが始まって7ヶ月間経過した現時点で5点(FA杯を含めれば6点)では、フォワードとしては心もとない数字と考えられても仕方ない。

 もちろん、前述のとおり、岡崎自身はこの数字に満足はしていない。ブンデスリーガで2季連続二桁得点を達成した自負もある。そのために岡崎はシーズン途中からモデルチェンジをして、さらに「リーグ戦だけで10点以上を目指す」という明確な目標を定めたわけだ。

周囲も驚いた意識の変化

 具体的には、昨年12月19日のエバートン戦から、よりゴールに近い位置で「点を取ろうという意識を強くした」。この試合で岡崎は1得点+PKを獲得するなど、マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍を見せて、地元マスコミをうならせた。

 元々、今季の岡崎のスタンスは「プレミアに慣れること。そしてハードワークでチームに貢献して、信頼を得て試合に出ること」を前提に、そのうえでゴールを増やしていければと考えていた。しかし自身の狙いとは裏腹に、10月下旬ごろから1月初旬にかけて、クラウディオ・ラニエリ監督は「修繕屋」のニックネームよろしく、岡崎とレオナルド・ウジョアを交互に起用する機会が多くなった。

 守備や組み立てでの貢献度は高いとはいえゴールに絡むシーンが少ない岡崎に対して、前線でのポストプレーや高さのあるウジョア。どちらも献身的にチームに貢献するのだが、指揮官にとってはどちらも“帯に短したすきに長し”であった。

 だが前述のエバートン戦に向けたトレーニング時から、岡崎はアグレッシブさを前面に押し出していくことを決断。「周りは『どうした』みたいな感じ」だったと驚いていた。これが奏功して、その後1月中旬まで、岡崎は出場した公式戦で2戦ごとにゴールを決めている(1月10日のFA杯トッテナム戦、1月16日のリーグ第22節アストンビラ戦)。

奇跡の優勝へ。怖さが出た岡崎が漂わせる危険な臭い

 この頃の岡崎には危険な“臭い”が感じられた。だがこのタイミングで波に乗り切れなかったために、前節まで7戦連続ノーゴールを強いられ、チームの勝利よりも自身の得点不足を嘆き、フラストレーションを募らせていた。

 だが今月5日のワトフォード戦では、まるで異なったトーンでチームの勝利を素直に喜ぶ岡崎の姿があった。

「ここまできたら、チームとしては優勝かチャンピオンズリーグ(CL)は確保したい。俺に関しては1年目で首位での戦いをしているわけで。たしかに、この首位争いのなかで自分が決めれば、ヒーローになれる。でも、こういう立場になるのは仕方ない。だって次、来年もまたチャレンジできるわけだし」

 そしてこう続けた。

「ただ、掴みとしてはいい掴みをしていると思うので、自分としては。こんなにゴールとか、多少の強引さとか、ドリブルのコース取りとかで、自分の怖さが出ていると思う。それは本当に、個人的にはちょっとずつのところなので。これでがっくりはしていられない。残り9試合頑張りたい」

 常々「(ジェイミー)ヴァーディーやリヤド(マレズ)が得点できなくなった時に流れを掴むことが肝要」といったニュアンスの言葉を使い続け、必要な場面で自分の得点力を発揮したいとも話してきた岡崎。さらに1日のウェストブロムウィッジ戦後には、「決めたときにその流れを掴むというのが、FWとして大事」と述べている。

 そしてその2週間後に、待望の今季5点目を奪取した。資金力が圧倒的に少ないスモールクラブが首位を維持し、「現代サッカーでは奇跡」との声も聞かれるレスターの優勝争い。

 その中で、日本代表のエースはついに波に乗り、流れを掴み切ることができるのか。そして残り8試合で5得点以上を挙げて目標とする二桁得点到達、さらにクラブ史上初となるリーグ制覇は叶うのか。佳境を迎えたプレミアリーグから目が離せない状況が続く。

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