侍J、勝利の立役者・千賀の勇気ある降板「失投して1点取られるより…」

3月16日(木)7時30分 フルカウント

「ゼロの回を1個ずつ増やしていこう」というシンプルなアプローチ

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で決勝ラウンド進出を決めた野球日本代表「侍ジャパン」。15日に行われた2次ラウンド第3戦ではイスラエルを8-3で撃破し、1次ラウンドから合わせて負けなしの6連勝で1位通過を決めた。負ければ最悪2次ラウンド敗退の可能性もあった日本を救ったのは、大一番で先発を任された千賀だった。

 ソフトバンクでは先発ローテの一角を担うが、今回の侍ジャパンでは早い段階から中継ぎ起用を言い渡されていた。「どこでも言われたイニングでゼロに抑えるだけ」と話す24歳は、WBC開幕後もリリーバーとして登板。1次リーグ第2戦のオーストラリア戦、2次リーグ初戦のオランダ戦でマウンドに上がり、それぞれ2イニングを無失点救援で、試合の流れを日本に引き寄せる重要な役割を果たした。

“お化けフォーク”とも呼ばれる落差の大きいフォークに、対戦打者は手も足も出ず、バットはただ空を斬るだけ。パフォーマンスの安定感は、日本を代表する投手陣の中でも群を抜いていた。その一方で、1次ラウンド第3戦に先発した武田は格下の中国打線を相手に苦戦。順当にいけば武田の順番だったイスラエル戦で、自力で決勝ラウンド進出を決めたかった小久保監督が、千賀に勝負を託してみたくなったのも無理はない。

 2月22日に集合して以降、侍ジャパンでは先発としての準備をしてこなかった。長いイニングを投げることに不安がなかったと言えば嘘になるが、シンプルに「ゼロの回を1個ずつ増やしていこう」とボールを握った。「僕の目標では4回というのがあった」というが、初回に右前打、2回に四球、3回に死球と走者1人ずつを背負っただけ。気が付けば、目標を超える5回を1安打2四死球4奪三振で無失点に抑えていた。

「正直、今日は僕の代名詞と言われるフォークがよくなかった」

「正直、今日は僕の代名詞と言われるフォークがよくなかった」と言いながら、5回を無失点で投げ終えて球数は63球。制限の80球まで余裕はあった。小久保監督にも「6回を任せる」と言われたが、ここで千賀の責任感が状況を冷静に判断させた。

「6回も任せるって言われていたんですけど、前の回からちょっと足がつっちゃって。0-0の展開だったんで、それで失投して1点を取られるよりは代わってもらった方がいいかなと」

 投球動作で踏み出す右足のふくらはぎがつったのは「初めてだった」。順調な投球が続いていただけに、6回のマウンドに戻る道を選んでもおかしくなかったが、チームの勝利を考えた時、いらないリスクは取るべきではないと判断。千賀の勇気ある降板の後を継いだ2番手・平野が6回を3者凡退とし、その裏に4番・筒香が均衡を破る先制ソロをセンターへ運んだ。

 もし千賀が6回のマウンドに上がっていたら——。ピシッと抑えていたかもしれないし、イスラエル打線が失投を見逃さずに先制していたかもしれない。スポーツで「たられば」の話をするのはナンセンスだが、確かなことはリスクを回避した千賀の選択は正しかったということだ。

 安定化ある投球、そして勇気ある判断で侍を勝利へ導いた千賀の功績は、数字以上の大きさがあると言えそうだ。

フルカウント

「千賀健永」のニュース

BIGLOBE
トップへ