MLBへのエース流出球団 翌年の成績が悪化しなくなった背景

3月16日(日)16時0分 NEWSポストセブン

 いよいよ、3月28日にプロ野球が開幕する。さまざまな見どころがあるなか、昨シーズン24勝0敗1Sと無双の活躍をしたエース・田中将大の抜けた東北楽天ゴールデンイーグルスがどのような戦い方をするのかも、注目のひとつだ。


 1995年の野茂英雄(近鉄→ドジャース)を皮切りに、メジャーに挑戦する日本人エースが増えている。ここでは、エースの定義を、移籍前の過去5年で3度以上2ケタ勝利もしくは25セーブを記録した投手としよう。


 すると、野茂を始め、1997年の伊良部秀輝(ロッテ→ヤンキース)、1998年の吉井理人(ヤクルト→メッツ)、2000年の佐々木主浩(横浜→マリナーズ)、2006年の松坂大輔(西武→レッドソックス)、2008年の黒田博樹(広島→ドジャース)、2012年のダルビッシュ有(日本ハム→レンジャース)などの17投手が該当する。


 松坂と井川慶(阪神→ヤンキース)がメジャー挑戦した2007年までは、エースの流出したのべ10チーム中8チームが順位を落としていた。1995年、野茂の抜けた近鉄は2位から一気に最下位に。伊良部のいなくなった1997年のロッテ、小宮山の消えた2002年の横浜も最下位に転落。1998年、FA(フリーエージェント)で吉井理人が抜けたヤクルトも、4位に落ちてしまった。そして、松坂という大黒柱を失った2007年の西武は、26年ぶりのBクラスとなる5位に低迷したのだ。


 だが、こうした情勢は、2008年以降変わってきている。エースが流出したのべ7チーム中5チームが、翌年の順位を上げているのだ。スポーツライターはこう分析する。


「以前と比べ、エースの抜けたこととチーム順位は比例しづらくなっていますね。その理由はいくつかありますが、まず1990年代と比較した場合、外国人枠の増加が挙げられます。1997年までは一軍出場3人まで、1998年から2001年までは一軍出場は投手2人、野手2人の計4人に限られました。2002年以降は投手3人野手1人、野手3人投手1人というケースも認められるようになり、チーム事情により、使い分けができるようになりました。


 黒田を流出させてしまった2008年の広島は、この制度を上手く利用しました。3人の外国人投手を獲得。ルイスが15勝と完全に黒田の穴を埋め、シュルツ、コズロースキーは中継ぎで大車輪の活躍を果たし、前年の5位からクライマックスシリーズ進出へあと一歩の4位に順位を上げました。


 2002年の横浜や2007年の西武も、外国人投手を3人在籍させましたが、すべてが計算通りに活躍とは行きませんでしたから、広島のスカウティング能力が高かったとも言い換えられます」


 エースが抜けてもチームが躍進できる理由は他にもあるという。


「1990年代に日本からメジャーへ渡った選手たちが活躍したことで、日本球界の価値が見直されたことも大きいでしょう。アメリカで上手くいかなかった選手でも、日本で活躍すれば、もう一度メジャーから声がかかるので、外国人選手の目の色が明らかに変わったのです。良い例が、2008年から2年間広島に在籍したルイス。2003年にレンジャーズで10勝して以降、メジャーでは鳴かず飛ばずでしたが、広島で2年連続2ケタ勝利を挙げると、2010年に古巣のレンジャーズと契約。いきなり12勝とメジャーで大活躍しました。


 もちろん、プロ野球界全体のレベルアップも挙げられます。ローテーション投手とそれ以外の投手の差が、1990年代と比べると、かなり縮まってきた。2009年、中日は屋台骨だった川上憲伸がメジャー移籍。それでも、前年まで1勝しか挙げていなかった5年目の川井雄大が開花。前年の川上の9勝を上回る11勝を挙げ、チームも3位から2位へ浮上しました。2012年、ダルビッシュがいなくなった日本ハムも、過去3年間未勝利の吉川光夫が14勝(5敗)防御率1.71と覚醒し、MVPに輝きました」(同前)


 そして、もうひとつ。ルーキーのレベルが格段に上がったことも大きい。


「2012年の楽天は岩隈久志が海を渡りましたが、高卒のドラフト2位・釜田佳直がいきなり7勝。前年の岩隈は6勝ですから補って余りある活躍で、チームは5位から4位に浮上しました。昨年の阪神も、ストッパーの藤川球児が抜けたものの、高卒ドラフト1位のルーキー・藤浪晋太郎が2ケタ勝利を挙げ、5位から一気に2位に。彼がいなければ、先発の一角だった久保康友を後ろに回すという発想も生まれなかったでしょうね。


 そういう意味では、今年の楽天は田中将大が抜けたものの、スーパールーキー松井裕樹が入団した。さすがに、24勝0敗1Sだった田中の穴を完全に埋めるのは難しいでしょうが、オープン戦の投球を見ても、活躍の期待は十分。新人に過度な期待は酷ですが、それだけファンに夢を見させてくれる存在です」


 田中が抜けた楽天だが、今年も見どころは多そうだ。

NEWSポストセブン

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