現代サッカーを象徴。激戦生んだアッレグリのプランとペップの采配。戦況変えた“ユーベの選手”

3月17日(木)12時8分 フットボールチャンネル

たった1つ、バイエルンが抱える弱点

 チャンピオンズリーグ(CL)のベスト16、2ndレグ。ホームのバイエルンに対して、ユベントスは前半を2-0とリード。苦境の中にありながら予想を覆す戦いを繰り広げたが、後半にはグアルディオラ監督による選手交代を機に戦況が一変。現代サッカーを象徴する激戦はバイエルンが制した。(文:海老沢純一)

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 過去、チャンピオンズリーグでは眠気も吹き飛ぶ素晴らしい試合が何度も繰り広げられてきた。2ndレグでの大逆転、予想を覆すダークホース…。現地時間16日、ミュンヘンで行われたバイエルン対ユベントスも、この激戦のラインナップに加わる一戦となった。

 トリノでの1stレグを2-2で終えており、表面上はドローながらアウェイゴールを2点奪ったバイエルンが圧倒的有利な立場でこの試合を迎えた。さらにユベントスは今季加入してチームをけん引する活躍を続けていたディバラやマルキージオ、キエッリーニといった柱を負傷で欠くなど苦しい状況にあった。

 しかし、アッレグリ監督はこの状況をプラスに変える采配を見せる。トップを務めるモラタのやや後ろにポグバを配置。本職はセントラルMFのポグバを通常よりも高い位置で起用することで前線の守備力を上げ、カウンターの威力をさらに高めた。

 さらにスピードのあるクアドラードやモラタを中心にバイエルンの高いDFラインの裏を狙うことで度々混乱を招いていた。このプランは前半の早い時間帯から効果を発揮し、5分にはポグバ、28分にはモラタのカウンタードリブルからクアドラードが得点を決めて2-0と一気にアウェイゴールを取り返した。

 これまでグアルディオラ監督のもとで圧倒的強さを手に入れ、現在ではバルセロナと並んで優勝候補筆頭と目されているバイエルンだが、たった1つだけロングカウンター対応に弱点を抱えている。

 前半のスタッツは支配率76.6%:23.4%とバイエルンに圧倒されながらも、ユベントスは的確に相手の弱点を突くことで内容・スコアともに上回る45分間を演じ、イタリア王者の強さを見せつけた。

戦況を大きく変えた“ユーベの選手”

 通常であれば、このままユベントスが残りの45分を守りきって勝利となるが、グアルディオラのチームがそう簡単に敗れることはなかった。

 バイエルンは後半の開始からCBのベナティアに代えてベルナトを投入。左SBで先発していたアラバをCBに回して、ベルナトを左SBに入れることで支配力をさらに高める策を取った。

 これに対して、ユベントスは左SHとして先発していたアレックス・サンドロを本職の左SBに降ろして、エブラを中へ。最終ラインに5人並べてゴール前を固めた。

 完全に攻撃のバイエルンと守備のユベントスという構図となったことで、グアルディオラはシャビ・アロンソを下げてウインガーのキングスレイ・コマンを投入。ユベントスからレンタルで加入している、ある意味では現在でも“ユーベの選手”であるこのコマンが戦況を大きく変える存在となった。

 コマンが右ウイングに入ったことでドグラス・コスタが中へ。これまで右サイドで孤軍奮闘状態だったドグラス・コスタだが、中央へ移ったことでパスの出し手となり高いチャンスメイク能力を発揮する。

 中央のドグラス・コスタから左右へボールが振り分けられることでユベントスは時間を追うごとに後ろに釘付けになる。そして、スピードのあるコマンが縦への突破で徹底的に攻め込む。

 すると73分、ベルナトからそのコマンにロングボールが渡ると、バイエルンのDFがコマンに引き付けられてドグラス・コスタがフリーに。自らの背後にいるドグラス・コスタへコマンがボールを渡すと、そのクロスに合わせてレバンドフスキが頭で1点を返す。さらにアディショナルタイムにはコマンのクロスからミュラーがヘディングで決めて土壇場で2-2。スコアを完全なタイに戻した。

早朝の眠気と寒さを忘れさせてくれる熱戦

 前半の45分間で10本だったバイエルンのクロス本数は、後半の45分間で24本を数えていた。

 ポゼッション、3バック、0バック、可変式システムなど様々な戦術を生み出してきたグアルディオラのバイエルンだが、この一戦のような紙一重の接戦ではサイドを突破してのクロスというサッカーの歴史で長く続くシンプルな攻撃を繰り出す。このふり幅の広さが強さの要因なのかもしれない。

 ユベントスは後がない前半の45分間では得点を奪うためのカウンターという、“攻撃的な守備意識”を持っていたため鋭さを発揮できていたが、後半に入るとやはり引いてしまったため延長戦で再び鋭さを出すことが困難な状況となってしまった。

 結果、108分にはカウンターの流れからチアゴ、110分には再びカウンターからコマンが自ら決めて4-2。バイエルンがラウンド16中最もハイレベルな激戦を制して駒を進めた。

 前半の45分間、アッレグリの的確な戦術プランでリードを奪ったユベントスだが、勝ち抜けるためには90分で決着をつけなければならなかった。そして、グアルディオラの選手交代による戦術変更がそれを阻止した結果となった。
 
 選手の身体能力、技術、戦術理解、そして監督のゲームプラン、采配が高いレベルで激突し合う“現代サッカー”を象徴する激戦は、早朝の眠気と寒さを忘れさせてくれる熱戦となった。

(文:海老沢純一)

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