【東京五輪・2020への予習ノート】プロ2年目の森島司、存在感を増す技巧派MFは“のほほん系”だった/第3回

3月17日(金)18時18分 サッカーキング

左ひざのケガを乗り越え、今季は開幕戦から出場機会を得ている森島 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

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「良い意味でも悪い意味でも“ひょうひょう”としている」

 ニュアンスの差や表現の違いこそあれど、森島司に対する周囲の評価は大体同じだ。普段から取材するサンフレッチェ広島の記者は「基本、不思議ちゃんなんですよね」と評していたが、確かに不思議な空気感は持っている。それをピッチ外のみならず、ピッチに立っているときでも漂わせているのが、森島が持つ独特の個性だ。

 四日市中央工業高校で3年間にわたって森島を指導した樋口士郎監督は、視野の広さと正確なキックを持つMFについて入学早々から「きっとプロになる選手だ」と直感した一方で、「どこか“のほほん”としたところがあるんだよなあ」と不安視もしており、時に厳しく戒めてきた。もっとも、強く要求され続けた運動量や勝敗に対する責任感を持つことなどは3年間で大きく改善した。特にその精神的成長を願って主将を任せた3年目は言動も変化したのだが、まとう空気に根本的な変化は起こらなかった。慌てず騒がず、動じない。存外、強固に“のほほん”な男だった。

 そんな森島は高校卒業後に加入した広島で、初年度の出場はカップ戦を含めて完全に“ゼロ”。実戦から離れる中、U−19日本代表からも落選の憂き目を見た。ただ、周囲の心配とは別に、本人はむしろ「プロでもやれる」という手ごたえを得たシーズンだったともいう。今季開幕前のキャンプからシャドーのポジションで起用されるようになると、「意外に自分がドリブルできることに気付いた」と独特のとぼけた言い回しをしながら、自信に満ちたプレーを披露して周囲を驚かせた。迎えたJリーグ開幕戦では5人抜きドリブルを披露するなど、新たな武器を見せ付けた(ちなみにこの5人抜きについて聞いたとき、「4人くらい抜いたよね?」と言ったところ、「“5”です」とすかさず訂正された)。

 3月7日から8日にかけて行われたU−20日本代表候補合宿には、広島でのプレーを認められて久々の復帰。内山篤監督はシャドーで起用されていたことも意識したのだろう。従来のボランチではなく左MFとしてピッチに立った。「中に入ってギャップで受ける」(森島)意識も、ゴールにつながるPKを誘ったフリーランニングも、まさに広島のシャドーとしてプレーする中で磨かれたもの。“のほほん”とした様子とは裏腹に、真摯な努力を積み重ねてきた成果を感じさせるプレーぶりだった。見事に続くドイツ遠征のメンバーに生き残り、U−20ワールドカップ出場の可能性を残すこととなった。

 シャドーの位置で培われた感覚はボランチに戻ってからも残っているようで、15日のルヴァンカップ・ヴァンフォーレ甲府戦では、試合後「無難なプレーばかりしてしまった」と頭を抱える様子も見られた。「もっとドリブルで運んで仕掛けに行っても良かったのに、散らすだけになっていた」と猛省。以前の森島にはなかったであろうプレー感覚を語る様は、まさに成長の証だった。

 となれば、次は代表チームでより進化した姿を見たくなるところだ。「いまU−20代表で課題に感じていることは何だろう?」と聞いてみた。その回答は即答だった。「友達が少ないんです。仲の良かった選手も落選してしまっていて……」。大きな成長を見せてなお、やはりどこか“のほほん”とした“不思議ちゃん”だった。

文=川端暁彦

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