FIA、中国GPでリヤウイングの取り締まりを強化へ。一部チームが許容範囲を超えたたわみを活用
2025年3月18日(火)18時0分 AUTOSPORT web

FIAは、F1チームが空力レギュレーションの限界を押し広げていることに対して不満を募らせていることから、今週末の第2戦中国GPを前に、リヤウイングの柔軟性に対する新たな取り締まりの実施を発表した。
この動きは、先週末の第1戦オーストラリアGPでミニDRSの乱用疑惑が浮上したことを受けてのものだ。F1の統括団体であるFIAの忍耐も限界に達しつつあるようで、改めて監視が行われることになる。シーズンオフの間にさりげない警告として始まったものが、今や本格的な取り締まりへとエスカレートし、FIAは巧妙で不適切なルール利用を根絶する決意を固めている。
■オーストラリアGPの映像により、より厳しいテストへ
FIAはオフシーズンから空力弾性に関するレギュレーションを厳格化しており、当初はフロントウイングとリヤウイングの両方に対してより厳しい荷重たわみテストを設定していた。
強化されたフロントウイングテストは、5月末の第9戦スペインGPまで行われることはないが、より厳しいリヤウイング規制は先週末のメルボルンですでに実施された。
FIAはオーストラリアの映像を分析した結果、依然として一部のチームが許容範囲を超えたリヤウイングのたわみを活用していると結論付けた。これに対する措置として、FIAは中国GPに向けてさらに厳しい基準を導入し、75kgの垂直荷重がかかった場合のメインプレーンとリヤウイングフラップ間の最大スロットギャップ幅を、2mmからわずか0.5mmにまで縮小した。
FIAの決定は、チームがレギュレーションを回避しようとする試みを続けていることに対し、連盟内で不満が高まっていることを反映している。FIAはオーストラリアでのフリー走行セッション中に、コース上での変形を撮影するためにカメラを使用するよう、すでにチームに要請していた。FIAのガレージで記録された映像と、静的たわみの両方を綿密に検討した結果、一部のチームが依然として抜け穴を見つけていることが明らかになった。
FIAは声明のなかで、このような行為を根絶する意志を表明した。
「リヤウイングの変形と、メルボルンのFIAガレージ内で測定された静的たわみとを組み合わせた映像を分析した結果、FIAは、今後の中国GPから上部リヤウイングに対してより厳しいテストを導入する十分な根拠があると結論付けた」
■中国GPでは許容範囲を設けることに
ルール変更の通知が遅くなったため、FIAは今週末の中国GPで0.25mmの許容範囲を認め、チームに短い調整期間を与えることを決定した。月曜日の朝に全チームにこの決定が通知され、FIAはオーストラリアGP中に以前の制限に違反した車両は発見されなかったと明らかにした。
それでも、FIAからのメッセージは明確だ。空力弾性を不当に利用しようとするいかなる試みも、迅速かつ断固たる措置によって対処されるだろう。
F1のパドックが上海に到着次第、各チームは新しいレギュレーションに適応しなければ、これまで以上に厳しくなるスポーツの技術基準に違反するリスクを負うことになる。