甲子園注目の履正社・安田 実はPLに行きたかった

3月18日(土)16時0分 NEWSポストセブン

安田の兄はかつてPL学園野球部に在籍していた

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 3月19日に春のセンバツこと、第89回選抜高校野球大会が開幕する。大会初日の第2試合で登場するのが、昨秋の神宮大会を制した優勝候補の一角、履正社(大阪)だ。プロのスカウトも注目する履正社の4番バッターについて、新著『永遠のPL学園 六〇年目のゲームセット』を上梓した柳川悠二氏(ノンフィクションライター)がレポートする。


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 開幕が目前に迫ったセンバツの優勝候補・履正社には、早稲田実業(東京)の清宮幸太郎と並ぶ左の大砲、安田尚憲(ひさのり)がいる。


 全国屈指の激戦区・大阪で、大阪桐蔭と2強をなす履正社にあって、安田は1年生の夏からベンチ入りし、昨年夏には甲子園の土を踏んだ(結果はベスト16、国体は優勝)。さらに最上級生となってから、チームは昨秋の近畿大会を制し、秋の日本一を決する神宮大会では、決勝で早実と対決。安田はライトスタンドに本塁打を叩き込んで勝利に貢献した。


 188センチの長身でスケール感は先輩のT-岡田(現オリックス)をしのぎ、ボールを手元まで引きつけ、身体の軸を回転させて遠くにはじき返す。大柄な割に、やはり同校の先輩である山田哲人(現ヤクルト)のような器用さも併せ持つ。


 彼の本塁打を初めて目にしたのは、昨春の大阪私学大会だった。相手はPL学園で、場所は履正社のグラウンドだった。


 その第1打席。左バッターボックスに入った安田がつぶやいた言葉を、PL学園の捕手で、主将だった梅田翔大から聞いたことがある。


「自分もPLに入りたかったんです」


 安田は、1980年代から2000年代にかけて、大阪の高校野球を牽引してきた名門・PL学園に入学予定だったというのだ。実は、安田の11歳上の兄である亮太が、かつてPL学園の野球部に在籍し、1歳下の前田健太(現ドジャース)とバッテリーを組んでいたというのである。兄は現在も現役を続け、三菱重工名古屋で主将を務めている。昨秋の大阪大会の際、安田はこう語っていた。


「自分が誰よりも憧れている野球選手は兄で、今も尊敬しています。時々、兄からもアドバイスをもらっています」


 その兄と同じ道を歩もうとしたが、安田が中学3年生だった2014年10月、PL学園は翌年からの新入部員の募集停止を決定し、安田は履正社に進学した。


 憧れのPLとの試合で、安田はバックスクリーンの左に建つブルペンの天井に当たる、推定130メートルの特大本塁打を放った。同年夏以降の「休部」が決まっていたPLに対する、いわば惜別の一打となった。


「やっぱりPLが相手で、気持ちが入りました。手応えはありました」


 ちなみに、彼の父親である功さんは、大阪薫英女学院陸上部の監督を務め、昨年12月の全国高校駅伝女子の部では2014年以来、2度目となる日本一に導いた名将である。母も元アスリートだといい、こういうスポーツ一家のDNAが、安田を大きく成長させた。


 選抜で履正社は大会初日に早くも登場する。相手は、東京の日大三。同校には、昨秋の東京大会決勝で、早実の清宮を5打席5三振と、完膚無きまでに抑え込んだエース左腕・櫻井周斗がいる。「東の清宮、西の安田」と、常に同級生のライバルと比較される安田だが、清宮が打ちあぐねた櫻井との対決は、大きな注目を集めることはもちろんのこと、彼自身、期するものがあるはずだ。


 安田は言う。


「神宮大会で優勝することができたので、春も、夏も無敗で高校野球を終えたい」


 目指すは“三冠”である。

NEWSポストセブン

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