イチローが日本で現役引退…会見終了はなんと午前1時23分…日本公式開幕戦ヒストリー【その2】
2025年3月18日(火)11時0分 スポーツ報知
現役引退会見をするイチロー(2019年3月21日撮影)
◆2019年3月20日 マリナーズ9—7アスレチックス、3月21日 マリナーズ5—4アスレチックス(東京ドーム)
ドジャースの大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希、カブスの今永昇太、鈴木誠也。過去最多5人の日本人選手が参戦する、カブス—ドジャースの「東京シリーズ」がいよいよ開幕する。メジャーの日本公式開幕戦は6年ぶり。前回19年に日米通算4367安打のイチローが引退した歴史的シーンを振り返る。
7年ぶりの日本開幕シリーズは、前回と同カードながら、この2試合でユニホームを脱ぐと予想されたマリナーズのイチロー選手の引退試合の様相となった。前年5月に会長付特別補佐となりプレーを中断。年が明けて復帰したイチローはオープン戦無安打ながら「9番・右翼」で先発出場が発表されると東京ドーム内に大歓声が起こった。
フリー打撃では26スイングでサク越え7本を放ったが、打席では二飛と四球。4回の守りで、イチローは一人右翼に向かった後、交代を告げられた。「いやいや、(試合前に2打席と伝えられ)知ってましたよ」とイチロー。ベンチ前に出迎えたナイン、サービス監督と抱き合った。アスレチックスのベンチも総立ちで拍手。指揮官が「彼に対して敬意を表したかった」と感動シーンを演出した。試合は現在ヤクルトでプレーしているサンタナの満塁本塁打などマリナーズが5発で打撃戦を制した。
そして迎えた第2戦は菊池雄星投手のメジャーデビュー戦でもあった。5回途中4安打2失点で降板すると、ファンの注目はイチローの集中していった。再び「9番・右翼」で出場も試合途中に「引退」のニュースが流れ、打席に立つ度にボルテージが上がったが三邪飛、二ゴロ、見逃し三振、遊ゴロ。8回裏の守備に就いたところで交代が告げられた。試合終了から時間が経過しても、ファンは帰らない。午後11時23分、イチローが三塁側ベンチに姿を現し球場を一周。客席を見渡す目は潤んでいた。2試合で安打を放つことはできなかったが「記録なんて小さなこと。何年かたって今日の試合が一番印象に残るのは間違いない。死んでもいいという表現はこんな時に使うんですね」。
そして試合終了から1時間後、イチローが会見で正式に引退を表明した。「今日の試合を最後に現役生活に終止符を打ち、引退することになりました。最後にこのユニホームを着て、この日を迎えられたことを大変幸せに感じる」。会見が終わったのは午前1時23分。1時間22分、ハイテンションな“イチロー節”で伝説となった現役時代は幕を閉じた。