IMSA:「優勝可能なペースが築けていた」マツダ、セブリング12時間はトラブルとアクシデントに泣く
2019年3月19日(火)19時13分 AUTOSPORT web
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権は3月16日、2019年シーズン第2戦セブリング12時間の決勝レースがアメリカ・フロリダ州のセブリングで行われ、マツダチーム・ヨーストは55号車マツダRT24-P(ジョナサン・ボマリート/オリビエ・プラ/ハリー・ティンクネル組)が総合6位、77号車マツダ(オリバー・ジャービス/トリスタン・ヌネス/ティモ・ベルンハルト組)はクラス11位/総合37位でチェッカーを受けた。
マツダが歴代最速タイムでポールポジションを獲得した、開幕戦デイトナ24時間から7週間後の開催となった第2戦セブリング。2019年大会で67回目を数える伝統の一戦に、チームは2台のマツダRT24-Pを投入し悲願の初優勝を目指した。
迎えた決勝はあいにくの雨模様。レースはセーフティカーの先導でスタートが切られると、そのまま長いSCランが続いていく。この間にコース上ではブロワー車を使ったコンディションの回復作業が行われ、その甲斐あってスタートから約40分後にグリーンフラッグ振動となった。
前日の予選で2番手グリッドを獲得した77号車マツダは、ヌネスが好スタートを切り1コーナーでポールシッターのアキュラ・チーム・ペンスキー、6号車アキュラARX-05をオーバーテイクしてトップに浮上する。その後、77号車はリスクを避けるためペースを落としたことで3番手に順位を落とすが、表彰台圏内をキープしたままベルンハルトに交代した。
助っ人参戦のベルンハルトもヌネスと同様に良いペースで周回を重ねていくが、スタートから2時間過ぎに突如コース上でストップしてしまう。77号車の車内からは白煙が上がり、オフィシャルの消火作業を受けてガレージに戻されてしまった。
チームはすぐさま、このアクシデントの原因が電気配線のショートであることをつきとめると、当該箇所を修復。時間を要することにはなったものの、レース中盤にマシンをコースに復帰させることに成功した。最終的に77号車はクラス11位でチェッカーフラッグを受けることになったが、その終盤のペースは時に上位を走るクルマを上回るものだった。
「僕のホームグラウンドであり、もっとも好きなセブリング12時間でトップを走れたのは、素晴らしい体験だったよ」と語ったヌネス。
「雨のレースはいろんなことが起きるけれど、やりがいはある。このレースのオープニングスティントを任せてもらったことは、僕のキャリアにとって最大のチャレンジだったと思うんだ」
「また、“飽くなき挑戦”精神でクルマを修理してくれたチームに感謝しているよ。彼らのおかげで、クルマをフィニッシュラインまで運ぶことができたのだからね」
チームメイトのジャービスもまた「クルマをリペアしてくれたクルー達に感謝している」とスタッフを労う。
「僕はトリスタン(・ヌネス)のすごい予選タイムや、雨のなかのオープニングラップを見ていたので、僕たちのクルマにはこのレースで勝利する資格があると確信していたんだ」
「(事実、)修理後にはレースリーダーと同等の速さで走れていた。(マツダRT24-Pの)ポテンシャルは間違いなく高いので、(次戦)ロングビーチ戦に戻ってくることを楽しみにしているよ」と抱負を述べている。
■速さはあり、上位走行もまさかのクラッシュ
一方、7番手からスタートした55号車マツダRT24-Pは序盤に順位を落としトップからラップダウンとなるも、その後レースペースを取り戻し、リードラップに復帰する。さらに上位を狙うチームはピットタイミングを駆使して一時はレースリーダにもなった。
しかし、レース折り返しを迎える直前に総合3番手を走行中だったボマリートがコントロールを失ってコースアウト。マシンはフロントからタイヤバリアにクラッシュしてしまう。
幸いリタイアに至る大きなダメージはなく、チームはフロントノーズを含むカウル交換作業だけでマシンをコースに復帰させるが、イレギュラーのピット作業とクラッシュからの復帰に要した時間により55号車はトップから3周遅れとなった。
それでもレースはまだ約6時間を残しており、チームと3人のドライバーは必死でロスタイムの挽回を図っていく。ラップダウンを2周に減らして迎えた10時間目には、ティンクネルが1分47秒472のファステストラップを記録してみせた。
しかし、レース後半は天候の回復もあってSCの出動が減り、挽回のチャンスがなかなか訪れず。結局、55号車はそのままトップから2周遅れの総合6位でフィニッシュすることとなっている。
痛恨のクラッシュを喫してしまったボマリートは、レース後次のように語った。
「今回、僕たちのクルマにはスピードがあった。しかし、終盤に勝利を争える位置にいられなかったことが残念だよ」
「僕のミスでイレギュラーなピット作業を強いられてロスしてしまい、大変申し訳なく思っている」
「しかし、クルー達は素早い作業でマシンを修理してくれ、また、チームメイトのオリビエ(・プラ)とハリー(・ティンクネル)も信じられないペースでロスを挽回してくれた。彼らには心から感謝しているよ」
マツダUSAモータースポーツのトップを務めるジョン・ドゥーナンは「セブリング12時間では毎回、予想していなかったことが起こるが、今回は序盤のヘビーレインがレースの行方を大きく左右したと言えるだろう」とコメント。
「明らかに我々のマツダRT24-Pは速く、ウイニングペースが築けていたと思う。レース終盤の10時間目にティンクネルがファステストラップを記録したことで、それを証明しているだけに(このような結果は)残念だ」
「それでも、諦めることなくマシンの修復やピット作業に全力で取り組んだチーム、ラップダウンのロスを挽回するためハイペースで走ったドライバーたちを誇りに思うよ」と語った。
今戦はトラブルとアクシデントに泣いたマツダチーム・ヨースト。彼らの次なる戦いは4月11〜13日、カリフォルニア州ロングビーチ市街地コースで行われる、第3戦ロングビーチのスプリントラウンドだ。なお、今回マツダの助っ人ドライバーとしてセブリング12時間を戦ったベルンハルト、プラ、ティンクネルの3名は、6時間レースが行われる第6戦ワトキンズグレンでチームに再合流する予定となっている。