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【試乗記】BMW M240i、M2クーペに比べ簡単に言えば、細マッチョ!:山田弘樹

日本版Autoblog3月19日(日)17時0分
画像:【試乗記】BMW M240i、M2クーペに比べ簡単に言えば、細マッチョ!:山田弘樹
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 世の中はとかく"飛び道具"にばかり反応するもので、その実一番使い心地が良いのは"中庸"であることを知らない。いや、本当に己を知る人ならばそれは知った上での余興を楽しみ、日々の営みは粛々としているものなのだろう。商売柄自分にはそういった上ずった声ばかりが多く聞こえてくるのだとは思うのだが。



 BMW2シリーズクーペ。いまやとびきり大きくなってしまった3シリーズに対するアンチテーゼのようなこのスペシャリティも(BMWにとっては補填だろう)、やはり人気はトップレンジの「M2」なのだが、ボクはこのM240iが、かなり高得点だと思っている。



<M235i>

 M240iはそれまで「235i」と名乗り、M2が登場するまで2シリーズクーペの看板を張っていたモデルの後継。搭載されるユニットにはBMWのストレート6を表す「N55型」の型式が与えられており、M2はもちろん、M3やM4もこのヘッドを使っている。



<M2>

 M2と240iの違いは、M2が強度に優れるクローズドデッキの専用ブロックを手始めに、専用のトップ形状を持つピストン、M直系のクランクシャフトを装備していること。その他にもサーキット走行を前提としたラジエターやトランスミッションオイルクーラー、オイルポンプなど、専用イクイップメントが細かく盛り込まれている。

<M2>

 こう書くとなんだかM2クーペの宣伝になってしまっている気もするが、ボクが言いたいのはそんなことじゃない。こうした補強を施されたM2のエンジンは、確かにM240iに比べ高回転で炸裂するパワー感や、その回転フィールがスカッと気持ち良いのだが、その分シャシー剛性も並行して高められ、ロードユースではそのウマミを存分に味わいきれないと感じるのだ。



<M2>

 正確にいうならばこれにはちょっと注釈が必要で、M2クーペもその凄み(すごみ)だけなら十分にストリートで味わえる。ただしこれをシャブリ尽くそうとなると、かなり頭のネジを緩ませるか、もしくは何本か外さなくてはならない。それほどM2はサスペンションを含むシャシー剛性が高く(トレッドなんかフロントで70mm、リアで65mmもワイドなのだ)、ちょっとやそっとじゃ"駆け抜けて喜びを感じられない"のである。簡単に言えば、ちょいマッチョ過ぎ。

 対してM240iは、(それでもオーバークオリティかと思うけれど、)そのパワーに対してシャシー剛性が絶妙にバランスしている。簡単に言えば、細マッチョである。

 サスペンションの剛性はスポーツカーを意識させるちょうどよいたくましさで、乗っていると元気が湧き上がってくるようなシッカリ感がある。そして「SPORT+」を選べば減衰力がさらに高まり、よりシャープな反応を楽しむことができる。



 またその直列6気筒のツインスクロールターボエンジンも、言っても340ps/500Nmものパワー&トルクを炸裂させるわけで、245幅の18インチタイヤ、ミシュランのパイロット・スーパースポーツをねじれさすほどの実力は持っている。

 これはM2クーペもそうなのだが、BMWの美点として「FR」(フロントエンジン・リアドライブ)と、「マニュアルトランスミッション」を称えることが多い。FRは確かに昨今得がたい駆動方式で、それに対する異論はあまりない。



<M2>

 ただ現状のBMWが出すMTに対しては、みなの賛美は過剰だとボクは思っている。M2もM4もそのプラットフォームはATやDCTを前提とした巨大なフロアトンネルを持っており、ここに手動式のシフトレバーを配したところで、遠くで操作をしているフィーリングは全然スポーティじゃない。また実際のサーキットだと、やりにくいとすら感じる。本国仕様ではない右ハンドルとなればなおさらだ。実はこのシフト操作に一体感がない傾向はE36時代からの伝統だが、プラットフォームが大作りな現行モデルではよりそれが顕在化した。



 マニュアルトランスミッションを残してくれる気概に対しては、BMWに賛辞を送りたい。そしてだからこそ、ボクはATやDCTの出来映えが際立つと評価したいのである。



 そう、M2がM240iに優れるポイントとしては、デュアルクラッチ式の素晴らしいレスポンスが上げられる。ただM240iの8速ATだって変速スピードはかなり速いし、ロックアップ機構も強力だ。それはニュルブルクリンクを走るM235iのレーシングカーが、この8ATを基本としていたことからも伺い知れる。



<M2 / M240i>

 となるとM2クーペは「サーキット」を視野に入れた2シリーズクーペであり、M240iはストリート用か? というとそうでもないからややこしい......もとい面白い。

 両者を筑波サーキットで走らせた経験からいうと、絶対的な速さと刺激こそM2クーペには及ばないものの、M240iはストリートで感じたバランスの良さが全面に現れ、走らせるのがすこぶる楽しいのである。アクティブディファレンシャルがない分だけM240iは駆動輪の空転が多く、簡単にいうとドリフト走行を維持して楽しめないが、FRスポーツとしての自由度は非常に高く、タイヤのスリップアングルをいかに使って走るかという、知的なスポーツドライビングを存分に愉しむことができる。



 ちなみにサイズこそ違えどM2クーペも240iも、リアの方がタイヤは太い。これはBMWがその高出力を幅広いユーザーへ提供するための、ある種の保険だと思うのだが、感触的には前後同サイズの方がバランスは良い。縦に長い直6をフロントに積むせいもあるだろう、つまりコーナーのターンインではフロントタイヤのグリップが不足しがちになり、本気で走るとアンダーステアが強いのだ。

 そしてこの傾向は、M2クーペの方が強く感じる。M240iは強烈なスピードや、高いスプリング剛性を持たない分、アマチュアでも進入スピード時にゆとりができ、その操作においてフロントタイヤのキャパシティを確保するようにターンインする余裕が生まれやすいのだと思う(もちろん前後同サイズの方が走りやすいけれど)。



 だからボクにとってM240iは、M2よりも身近かつリアルな憧れといえる存在なのである。もしこれでM2の7速DTCを搭載するマニアックな仕様なんかが出てきたら、一日中ソワソワしてしまうはずである。......出て欲しいなぁ。

【ギャラリー】BMW M240i (63枚)

■BMW Japan 公式サイト
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