「本田が間違った姿勢で臨むことはない」。監督は全幅の信頼も…勝利への意欲欠いたミランは再出発へ

3月20日(日)15時11分 フットボールチャンネル

「勝利への意欲が足りない」。アバーテが口にした厳しい言葉

 ミランは現地時間20日、セリエA第30節でラツィオと対戦する。スコアレスドローに終わった前節のキエーヴォ戦後、イニャツィオ・アバーテは「勝利への意欲が足りない」と厳しい言葉を残した。シニシャ・ミハイロビッチ監督は本田圭佑に信頼を寄せるが、ミランはこの試合で再出発を切ることになる。(取材・文:神尾光臣)

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「ミステル(監督) とともに、僕たちは戦術面でも技術面でもいい練習を積むことができたと思っている。僕たちとコーチとの間には、素晴らしい協調性ができている。足りなかったのは勝利への意欲。もう目標を達成した気になって安心してたら間違いを犯した。とにかくミハイロビッチ監督は僕たちに、ハードワークの文化を植え付けてくれた。今チームの中には、正しい規律ができている。そこをまた一からやり直し、というのは誰にとっても簡単なことじゃない。もちろん、僕らミランのグループにとってもね」

 19日、ラツィオ戦(20日)の前日会見の主役はイニャツィオ・アバーテだった。彼はドローに終わった前節のキエーボ戦後、「勝利の意欲に著しく欠けた。ミランでこんなことはあってはならない」とチームに厳しい言葉を残した。内部批判かと一部の地元記者は色めき立ち、この日の記者会見でも鋭い質問を浴びせていた。しかし彼は改めて、問題は監督の手腕ではなく選手たちのメンタル面にあると強調した。

 そして彼は冒頭のように、シニシャ・ミハイロビッチ監督の仕事ぶりを擁護し、噂される監督更迭にも反対の立場を取った。政治遊説先で「シーズン終了までは現場に落ち着いて仕事をしてもらいたい」と言いつつ「(監督の処遇は)シーズン後までの成績を見て判断したい」などとプレッシャーを掛けるシルビオ・ベルルスコーニ名誉会長に疑問を呈した格好だ。

 近年ミランには、結束とチームプレーというものが欠けていた。選手間の距離がバラバラで連係プレーが成り立ちにくかったことも、イレブンが動きを揃えて守備のために走らなかったことも、突き詰めれば集団としてバラバラだった、というところに帰結するのかもしれない。

 会見中、ミハイロビッチ監督も「問題はミランでどうプレーするかということではなく、一生懸命働くかどうかの話だ」と、ハードワークの重要性を強調していた。「練習や試合で姿勢についてどうのこうのと話題になるのはイタリアぐらいなもの。本来なら、選手がピッチで全力を出すのは当たり前のはずなのだ。誤った態度で臨む選手はミランのみならず、他のチームでもプレーできないだろう」。

ミハイロビッチ監督、本田に全幅の信頼

 ハードワークを重視して順位を立て直した現在のチームの方向性が正しいことを、勝利という結果を添えて証明する。ミランの選手たちがラツィオ戦に向けて掲げている目標とは、そういったものなのかもしれない。

 さて、その意味では本田圭佑のパフォーマンスも当然重要視される。「よく練習している。彼は間違った姿勢で臨むことはない」とミハイロビッチ監督は改めて褒めたが、監督が要求するハードワークを体現することで、全幅の信頼を寄せられていることの証である。

 前節ではゴール前の場面で点へ向かう意欲がもう少し欲しいように感じられたが、相変わらずの献身ぶりと、チームの組み立てが混乱する中で整然と組み立ては光った。

 前節では分断気味で、ビルドアップのままらなかった中盤にはリッカルド・モントリーボの復帰が濃厚。本田自身としても高いポジションが取りやすくなるはずなので、その分攻撃の絡みが増えることに期待したい。

対するはラツィオ。まさかのEL敗退も難敵には変わらず

 対戦するラツィオだが、こちらも非常に大変な状況である。17日に行われたELスパルタ・プラハ戦第2レグでは、なんと序盤にホームで3点を喰らって敗れた。

 守備の慢性的な脆弱さと心理面での崩落ぶりに修正が効かず、昨季は3位にチームを押し上げた戦術家のステファーノ・ピオーリ監督の評価もガタ落ち。ミラン戦に敗れれば、シーズン終了を待たずに解任されるのではなどとも報じられている。

 とはいえ、前線と中盤には選手の駒が揃っており手強いチームに変わりはない。本田が位置する右サイド、つまりラツィオの左には、昨季はセリエAを席巻したドリブラーのフェリペ・アンデルソンと、イタリア代表のインサイドMFマルコ・パローロがいる。モントリーボやアバーテをサポートし、中盤のプレスでこの連動を絶てるかどうかがまず一つのポイントだ。

 そして奪ったボールはカウンターに持ち込む。プレスを効果的に行うため、ピオーリ監督は組織守備のために最終ラインを高めに張らせる。だが最近の試合では、その分後ろにスペースをガラ空きにするという不安定さの方が目立った。

 そこをいかに、攻守の入れ替えから突くことができるか。「スピードがない」というイメージがイタリアでも付けられている本田だが、瞬発力の勝負はともかくロングカウンターではマーカーに走り勝って前に出るシーンも多い。それこそ昨季の開幕戦ゴールのように、的確な展開の読みで前線をフォローし、ゴールへと絡みたい。

 ハードワークをゴールに結びつける攻防一体のプレー。そうやって結果を出し、名誉会長も現在の戦いぶりを評価せざるをえなくなるような方向へと持っていければ良いのだが…。

(取材・文:神尾光臣)

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