独立LからNPB復帰を目指す前ホークス助っ人右腕「千賀の存在が刺激になる」

3月20日(月)13時28分 フルカウント

NPB連続ホールド記録を持つバリオスが臨む新たな挑戦

 野球日本代表「侍ジャパン」が第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で見せる快進撃に沸く日本だが、同時にNPBや独立リーグの各球団とも目前に迫る今季開幕に向けて着々と準備を進めている。そんな中、3月16日に30時間以上の旅を経て来日したのが、今季からルートインBCリーグの富山GRNサンダーバーズ入りした右腕エディソン・バリオスだ。昨季までソフトバンクに所属した28歳は「日本は野球が自分には合っているし、大好きだから」と、再び独立リーグからNPBへの道を探ることにした。

 バリオスが日本での野球人生を歩み始めたのは、2011年、関西独立リーグ・神戸サンズからだった。高校卒業後にMLBパイレーツ傘下のマイナーでプレーしたが、昇格は果たせず。母国ベネズエラのウインターリーグを経て、2011年に神戸入り。ここでは主に先発を務め、9試合に投げて6勝1敗、防御率1.66でチームを前期優勝に導いた。この活躍を見逃さなかったのがソフトバンクだった。

 シーズン途中の7月末にソフトバンク入り。そこからは昨季まで足掛け6年をホークスの一員として過ごした。「大好きな街。第2の故郷のようなもの」と愛着を示す福岡では、いろいろな経験をした。支配下から育成へ、育成から支配下へ。右肘靱帯を断裂し、いわゆるトミー・ジョン手術も受けた。山あり谷あり。決して順風満帆ではなかったが、2015年には開幕1軍入りを果たし、17試合連続ホールドというNPB記録に並ぶ活躍でオールスターにファン選出された。

 3軍まで持つソフトバンクは選手層が厚く、1軍入りをかけてチーム内での競争が激しいことでも知られる。「自分は投手枠だけではなく、外国人枠も争わなければいけなかったから、さらに一層厳しい競争だったけど、おかげでいろいろなことを学べたんだ」と話す。チームメイトとも日本語で積極的にコミュニケーションを図り、レベルアップにつながることなら盗めるものは盗もうとした。

育成出身の“同期”入団、千賀の活躍で高まるモチベーション

「ベテランの五十嵐(亮太)はえげつないカーブを投げるから、握り方やボールを抜くコツを聞いて、一生懸命コピーしようとしたよ。面倒見よく教えてくれるんだけど、なかなか彼が投げるような威力を発揮するのは難しいんだ。攝津、武田、松坂……ホークスには見習うべき投手がたくさんいたから、彼らを参考に自分が大きく成長できる場になったと思うよ」

 その中でも大きな刺激を受けるのは、侍ジャパンの一員としてWBCに参戦中の千賀滉大だ。第4回WBCでは、これまで3試合に登板して失点ゼロ。特に、2次ラウンド突破を自力で決めた第3戦イスラエル戦では、先発としてマウンドに上がり、5回を1安打無失点に抑える活躍で、メジャー球団からの評価はうなぎ上りだ。時の人となりつつある千賀だが、その原点は育成選手。育成から侍ジャパンに上り詰めた右腕の姿を、バリオスにとって自分を奮い立たせるモチベーションになっている。

「とてもナイスガイで努力を惜しまない千賀の活躍は、自分のことのように嬉しいよ。自分はシーズン途中だったけど、ホークスに入ったのは同じ2011年。彼が頑張る姿、活躍する姿を見ると、自分も頑張ろう、自分にもできるってモチベーションを上げることができる。日本に来てから投げるようになったフォークを磨くために、投げ方を教えてもらったこともあるんだ。いい刺激を与えてくれる大好きなチームメイトの1人だよ」

 愛着のあるソフトバンクだが、昨季終了後に球団から退団が発表された。不調が続いた昨季は、2軍でこそ25試合に投げて防御率2.59の成績だったが、1軍では11試合の登板にとどまり、防御率も7点台に低迷。日本を離れる時、「今度はいつ来れるんだろう? 2度と日本の景色を見ることはないのかもしれない」とセンチメンタルな気分になったが、縁あってBCリーグの富山と契約を結ぶことができた。

ウルグアイで続けたトレーニング、「またNPBと契約したい」

「日本に帰って来られて本当にうれしいよ。富山がどんなチームか、どんな街か、まだ知らないことはたくさんあるけど、野球をプレーできる環境を与えてもらえただけで感謝。ここで最高のパフォーマンスを見せて、またNPBのどこかの球団と契約がしたい。まずは富山のために、全力のピッチングを見せるよ」

 神戸からソフトバンクへの道を切り拓いたのが2011年。その6年後、また同じ形でチャンスを掴みたい。1度掴んだ経験があるからこそ、「やるべきことをやっていれば、必ず誰かが評価してくれる」という自信がある。

 オフは自宅のある南米ウルグアイでトレーニングを重ねた。母国ベネズエラは政情不安定が続くため、家族を連れてウルグアイに移住。人気スポーツと言えばサッカーで、野球はほとんど普及していない国だが、「トレーニング施設とグラウンドがあれば大丈夫」と、ウエイトトレーニングなどで体を追い込み、捕手経験のある兄を相手にキャッチボールを繰り返し、状態を仕上げてきた。富山では先発起用される可能性もあるというが「それもまた楽しみ。やる前からできない、とは思いたくないんだ」と、チャレンジ精神を前面に押し出し、NPB復帰に向けて猛アピールしていく。

 大きな体をエコノミー席に沈めて再び日本に降り立ったバリオスは、2つの大きなスーツケースの中に野球用具と衣類、大好きなベネズエラ料理「アレパ」の材料、そして大きな期待と自信を詰め込んできた。富山で活躍し、再びNPB球団との契約を勝ち取り、スポットライトの当たるマウンドに立つことができるのか。28歳右腕のチャレンジが始まった。

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

フルカウント

復帰をもっと詳しく

BIGLOBE
トップへ