本田が抱える「ヤバいこと」を指揮官も危惧。“汚れ仕事”に徹した10番のジレンマ

3月21日(月)11時52分 フットボールチャンネル

本田、攻撃でミス多発

 ミランは現地時間20日、セリエA第30節でラツィオと対戦して1-1で引き分けた。本田圭佑は先制点を演出するも後半はミスを多発してしまい、ミランは1得点にとどまった。“汚れ仕事”に徹した本田だが、そこにはジレンマもあった。(取材、文:神尾光臣)

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 後半34分だった。右サイドの縦のスペースに出た本田圭佑は、ドリブルでボールを運ぼうとした。しかしスピードが上げられなかったところで、リカバーに来たラツィオFWフェリペ・アンデルソンに追いつかれ、ボールを奪われた。

 密集地で鋭いクサビのパスをルイス・アドリアーノに通して先制点を演出したり、正確なクロスでジャコモ・ボナベントゥーラの決定機を創出したりなどの好プレーもあった。ただその一方で、ラツィオ戦ではミスも多かった。

 しかも目立つ場面のミスが多かっただけに、印象を悪くしたのは否めないところだった。前線に走り込み、欲しいタイミングでパスをもらいながら大きく外した後半9分のシュートはいただけなかったし、直接FKを壁に当て続けてからはスタンドのブーイングもやや大きくなっていた。

 チームとしても、攻撃のチャンスはそれなりに作りながらも1得点にとどまる。「プレーに臨む姿勢は皆正しかった。ただいつものことだ。沢山チャンスを作りながらゴールに叩き込めない」。試合後の記者会見でシニシャ・ミハイロビッチ監督は渋い表情で語った。

 当然のことながら、ゴールチャンスを確実に仕留めることはチームの勝利に直結する。ミランを勝たせるプレーヤーを目指すのならば、やはりフィニッシュの質も追求して欲しかった。

 そういう意味で、ラツィオ戦での本田のパフォーマンスは批判の対象になり得るし、21日朝の地元紙の中には本田を酷評するところも出てくるかもしれない。

“汚れ仕事”に徹した本田。守備も全力でカバー

 ただ、ミスには明確な理由があることは認識されなければならない。ミスはほぼ後半に集中していた。それはつまり、体力が持たなくなったということである。記者会見では地元記者から本田、そしてボナベントゥーラの状態を問う質問が飛んだが、ミハイロビッチ監督はこう答えた。

「彼らは“汚れ仕事”を相当やってくれている。攻撃面での鋭さには欠けたが、あれだけエネルギーを費やしていれば疲れてくるものだし、溌剌とキレがプレーにも失われてくるのも仕方がない。ただアウトサイドには、他に手がない。彼らが立っていられる限りは、頑張ってもらわなければならない」

 “汚れ仕事”とはつまり、ボールを持たないところでのハードワークである。これまでの数試合と同様に、本田は戦術上の要求に従い走りまくっていた。

 SBイニャツィオ・アバーテが上がればその裏をカバー、2枚のセントラルMFが前か左に飛び出せば、中央に絞ってスペースを埋める。相手が攻めて来れば下がって2ラインの形成に努め、カウンターを食らって数的に不利になると読めば全速力で戻って最終ラインのカバーにまで入っていた。

 ボールを持っていないところでの動きは、攻撃面でもまた激しかった。中盤に絞り、パスを離した後で決して止まってはいない。そのまま前線をフォローしたり、あるいは右サイドのスペースへと飛び出す。彼はこうした動きを連続して行い、チャンスの創出に努めていた。

ミハイロビッチ監督も本田の疲労を懸念

 実際のところ、後半になってもこの動きをサボった様子はなかったのである。象徴的だったのは、後半11分のプレーだ。ラツィオの左SBエドホン・ブラーフハイトに体を寄せられながら、右サイドへ流れていたルイス・アドリアーノへパスを出す。その後ルイス・アドリアーノは縦に突破を仕掛けたのち前線へパスを出すが、そこにいたカルロス・バッカの背後にはもう本田が詰めていたのである。

 それに加え、ウイングとして縦の突破にもチャレンジ。相手のプレッシャーがきつい中で、本田はこうしたプレーをずっと続けている。これをサボると、チームが機能しなくなるからである。しかし毎試合のようにこんなインテンシティの高いプレーを続け、しかも交代もなければ、いつかはスタミナが切れる。実際この日のミスは、走り終えた後でボールを貰い、ゴールに近づいた時に頻発していたものだ。

 攻撃面でのキレを残したいのなら、動きの量を減らせばいい。しかしそうすると、チームが機能しなくなる。現在の戦力ではアウトサイドにバランスを取ってもらわなければ成り立たず、しかも交代要員もいない。そこにジレンマがある。

 ここでリーグ戦は、代表ウイークのために中断期間を迎える。だがミランにとって厄介なのは、リフレッシュが必要なボナベントゥーラはイタリア代表に、そして本田は日本代表に招集されるということだ。

 もちろんミランの都合ばかり考えるわけにはいかないのだが、クラブにとっては心配事になるのは間違いない。ミハイロビッチ監督は会見中「本田って代表に招集されたんだっけか?」と、臨席した広報担当者に2度にわたって確認。そして「疲れないで帰ってくることを望む。さもなければヤバいことになっちまう」と俗語を交えて笑わせていたが、内心気が気ではないように見て取れた。

(取材、文:神尾光臣)

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